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溶接・板金の仕事は退屈?

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2009年10月29日 更新

「溶接・板金部門なんて、もういやだ。整備の仕事に戻りたい」

9月のある日、研修生のエウィコがそう言ってきました。研修生たちは、1年間の整備士養成コースの間に1ヶ月間、溶接・板金部門を経験することになっているのですが、彼は配属されて3日間でギブアップしてきたのです。

「いったい何があったんだ?」と尋ねると、エウィコは「昨日やった溶接作業の光がまぶしくて、夜になっても目が痛くて涙はポロポロ出てくるし、眠れなかった」と言います。「ちゃんと溶接マスク(遮光グラス)を使っていたのか?」と聞くと「使っていたよ」

溶接・板金部門の責任者でこの道20年のベテラン、サミュエルさんに事情を話すと、「確かに、溶接の強い光に慣れるまでは涙が出ることもある。でも、エウィコのヤツは昨日溶接マスクを付けたり外したりしていたな。最初のうちは溶接マスクが邪魔に思えて、皆すぐに外したがる。だから目を痛めるんだ」とのこと。「だったらサミュエルさん、今後は必ずマスクを付けるようにちゃんと指導して下さいね」と頼んで、再びエウィコを呼び出しました。「エウィコ、ちゃんとマスクを付けないとダメなんだぞ。サミュエルさんが教えてくれるからな。溶接・板金部門に戻れよ」と話すと、何やらまだ不満げな顔。
「ほかにも何か問題があるのか?」
「問題というわけじゃないけど・・溶接・板金の作業は面白くないんだ」
「何だって?」
「整備部門だったら毎日いろんな修理を経験できるけど、溶接や板金は単調な作業ばかり。昨日は1日、紙ヤスリでクルマの表面を磨くだけ。ほかの研修生も、溶接・板金は作業が退屈だからやりたくないと言ってる」

電動ドリルの使い方を研修生に見せるサミュエルさん(右)と、見つめるエウィコ(中央)電動ドリルの使い方を研修生に見せるサミュエルさん(右)と、見つめるエウィコ(中央)

工場長やインストラクター、それにサミュエルさんを集めてこの話をすると、工場長は「まだ一人前にもなっていない研修生が、何をエラそうに言ってるんだ!」と一喝。サミュエルさんも「自分はこの仕事を20年以上やっているんだ。『退屈だからイヤ』なんて言うヤツに仕事なんか教えるつもりはない!」と怒り心頭です。まあまあ、皆さん、気持はわかりますが、ここは落ち着いて・・

インストラクターのアニャマから「研修生は溶接・板金の大切さが分かっていない。全員を集めて説明しよう」という提案があり、あくる日の朝礼後にミーティングを持ちました。

「整備部門だけではクルマの修理はできない。破損個所を溶接したり、傷ついたボディを叩いて平らにしたり塗装しないと修理は終わらない。大きな整備工場だったら溶接・板金部門に専門のスタッフがいるが、小さな整備工場だったらどうする?溶接や板金だって整備士が自分でやらなくてはいけない。つまり、溶接や板金の経験が少しでもあれば、就職だってそれだけ有利になる。自分の将来を考えたら、絶対にトクなんだぞ」アニャマの説明に、研修生たちは不満そうだけれども一応納得。エウィコも溶接・板金部門での研修を続けることになりました。

塗装前に研磨したクルマのボディを確認する研修生塗装前に研磨したクルマのボディを確認する研修生

それから1か月、エウィコの溶接・板金部門での研修期間もいよいよ終了。作業場で、サミュエルさんとエウィコに話を聞きました。
「サミュエルさん、エウィコは上達した?」
「1ヶ月は短かったけど、簡単な溶接ならできるようになった。あと3ヶ月も続ければもっと上達するぞ」
「エウィコ、サミュエルさんはそう言っているけど、どうする?あと3ヶ月、このまま溶接・板金部門に残ってもいいんだぞ」

しかしエウィコの答えは「いや、もう十分。早く整備部門に戻りたい」

ちょっとがっかりして苦笑いするサミュエルさん。でもサミュエルさん、あなたが教えたことは、いつかきっと彼らの役に立ちますよ。


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