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おばあちゃんの誕生日会

南アフリカ事業担当・現地代表兼任 渡辺 直子
2010年7月23日 更新

6月16日。この日は反アパルトヘイト運動の象徴とも言われる1976年の「ソウェト蜂起」が起きた日です。現在はこれを記念して「ユース・デー(若者の日)」として南アフリカの祝日になっています。「ソウェト蜂起」についてはJVCの広報担当・広瀬が書いてくれたブログをご覧ください。

全国でユースデーのイベントが行われているこの日(今年はワールドカップのため小規模でしたが)、JVCの現地スタッフ・ドゥドゥの家族は、今年の3月に80歳になったおばあちゃんのために遅ればせながらの誕生日会を開きました。おばあちゃんにはナイショのサプライズパーティーです。私もここに誘ってもらい参加してきました。

ドゥドゥからは「当日は準備もあるから早く行く」と聞かされていたのですが、ドゥドゥたちが私を迎えにやってきたのはお昼前・・。数時間待たされたことよりも、「サプライズだから自分たちが来ることはおばあちゃんに知らせてない」とのことで、果たしておばあちゃんが昼過ぎに家にいてくれるのかが心配でたまりません。そんな私をよそに、車中ではドゥドゥと弟のサンディレ、その嫁のヴィジーが「大丈夫だ」と断言しつつ、ワールドカップの話題などで盛り上がっています。約束をしてから、あるいはせめて「今から行くわ」くらいは告げてから親戚の家を訪問するのが普通である日本人の私としては、「その自信と確信はどこから来る・・」となかば半信半疑のままおばあちゃんの家へと向かいました。

おばあちゃんが住むところはジョハネスバーグ東部にあるマイルラ・パークというタウンシップ(旧黒人居住区)で空港からさほど遠くないところにあります。古くからあるタウンシップで大きく立派な家が立ち並んでいます。アパルトヘイト体制下においては、出稼ぎに来た人が暮らす都市部でも黒人が居住するエリアが指定されていて、その家屋はすべて政府に属していました。それらの家がアパルトヘイトが終ると同時にそこに住んでいる人たちのものとなりました。最近、南アの厳しい社会情勢等を見て、大変残念ながら「アパルトヘイト時代のほうがよかった」と聞かれることがあるのですが、これが建物の質についても当てはまり、現在立てられているRDPハウス(南ア政府が貧困世帯向けに無料提供しているマッチ箱型の家)などと比べると、昔に建てられた家は非常にしっかりとしているということです。ダンナさんに先立たれ、子どもがいなかったドゥドゥのおばあちゃん(実際には日本でいういわゆるおばあちゃんの妹にあたります)もそんな大きく立派な家に一人で暮らしています。

おばあちゃん。やさしい表情をしています。おばあちゃん。やさしい表情をしています。

おばあちゃんは・・・家にいました。私たちがついたときには近所に住むお友だちと話をしていましたが、ドゥドゥやサンディレたちの顔を見て大感激。「来るなら言ってくれればいいのに!」と早速お茶を準備し始め、やれぶどうを食べろ、お菓子はいらないかとせわしなく動き出しました。おばあちゃんというのはどこの国でも同じようなものなのでしょうか。私は最初ヨソ者の自分がこの場に参加していいものかと少し緊張していたのですが、おばあちゃんがわが子のように暖かく迎えてくれてすっかりリラックスしてしまいました。とても強く、それでいてやさしい顔をしたおばあちゃんにいつか昔話を聞かせてほしいなと思います。

そんなおばあちゃんには座っておいてもらい、早速準備に取り掛かりました。といってもそんなに特別なことをするわけではなく、皆で食事を作って、ケーキを食べて、プレゼントを渡して・・とすることは日本の誕生日会とほとんど変わりません。ご飯は南アの主食のパップに、ほうれん草の蒸し煮、豆のトマト煮ピリ辛味、野菜とレバーのスパイシー煮込みと牛肉が付け合せでした。それぞれドゥドゥのお姉さん、ドゥドゥ、ドゥドゥの弟嫁たちの手作りです。私も言われるがままにマッシュルームを刻んだり、ジャガイモをゆでたりして手伝いました。どれも違う味付けで野菜もたくさんでとてもおいしくて、思わず盛られるがままにたくさん食べてしまいました。

大量のほうれんそうを切るドゥドゥ。大量のほうれんそうを切るドゥドゥ。

ひとつだけ、少し驚いたのが、大きな家で大きな居間があり、また誕生日会であるにもかかわらず、食事を皆でテーブルを囲みながら食べるのではなく、各自座れるところに座って食べていたことでした。おばあちゃんやドゥドゥの叔父さん、年配の親族の方はソファーに座り、若い男性は外で肉を焼きながら食べ、女性陣は台所や玄関脇のソファーに座って食べて、子どもたちは食べ物そっちのけでかけずりまわっています。終った人は各自流しまでお皿を持ってきて後は女性たちが片付け・・・。食事はなんとなく始まりなんとなく終りました。食べるよりも作る過程を共有しているほうが時間が長く、人数が多い気がしました。親戚の集まりがあるところでは皆テーブルを囲んで食べるのが普通と思っていた私には不思議でしたが、それぞれのシマで相当会話がはずんでいたからいいのでしょう。

パップも大量です。ドゥドゥのお姉さんはタクシー乗り場でパップ屋さんをしているので大量に料理するのはお手のものです。パップも大量です。ドゥドゥのお姉さんはタクシー乗り場でパップ屋さんをしているので大量に料理するのはお手のものです。
とってもおいしそうです。それにしてもすごい肉の量・・・。とってもおいしそうです。それにしてもすごい肉の量・・・。

食事の後はケーキとプレゼントの登場です。サプライズパーティーで家族みんなの思わぬ訪問だけでもじゅうぶん幸せだったおばあちゃんは、プレゼントのガウンなどを肩にかけられて感極まって泣いてしまいました。ここで登場するのが南ア人ならではのすばらしい歌!ドゥドゥたち孫やひ孫がおばあちゃんの好きな歌ばかりを何曲も歌い続けました。おばあちゃんの涙をぬぐうようなやさしく、それでいて力強い歌です。それぞれのパートに分かれて美しい音色で、歌っていて皆楽しそうです。家族がこんな風に何曲もの歌を一緒に歌える、その時間を共有できるというのは本当にすばらしいことだと思いました。

ガウンを掛けられて感極まるおばあちゃん。ガウンを掛けられて感極まるおばあちゃん。
ひ孫たちとケーキカット。ひ孫たちとケーキカット。

アフリカでは「家族」の範囲がとても広く、今回もおばあちゃんの兄弟の子どもの奥さんと子ども・・など私が日本で「家族」として会ったことがない人たちも遠くから多く来ていました。といっても、家族は家族。今回の集まりに参加させてもらって、自分の祖父母の家で親戚たちと集まっているような、なんとも温かく、懐かしい気分がしました。ここのところいつも現地にいて、お盆や年明けの親戚の集まりにほとんど参加できていない私ですが、今日は自分の「家族」に会いたいな、次回は集まりに参加したいなと強く思いました。結局今年の集まりがある8月15日は南アにいてまた参加できないことが先日判明しましたが・・・。


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