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おかえりなさい

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2007年1月 5日 更新

友人の叔父が昨日帰宅しました。約1年前に2歳にも満たない子供と奥さんを残して、彼はイスラエルに連れて行かれたのでした。彼はいわゆる「政治犯」。
 イスラエルはハマスなどのイスラム集団や政党に加え左派の政党もテロリスト集団としているので、そのような政党を支持した者は政治犯となる場合がある。
 イスラエルの刑務所にいる彼と家族が会えるのは、月に一回。面会に行くためには、イスラエル軍と国際赤十字の許可を取りつける必要がある。赤十字が用意した何台ものバスのひとつに乗り早朝乗り、境界で別のバスに乗り換え、イスラエルの護衛のもと刑務所へと向かう。面会の順番がくるまでは、バスの中で待つ。面会できる時間は30分ほどなのに、何台ものバスの家族が面会を終えるのは夕方になり、帰宅は日が暮れてからとなるという。彼は仕事を失った。その上、イスラエルの刑務所はお金がかかる。
 パレスチナ人の拘置される刑務所では、食事や日用品は刑務所内の売店で買わなければいけないという。その仕送りに、家族は経済的にも多大な負担を蒙るのです。幸い彼の奥さんは出産後も学校の先生を続けていたので、多くの家庭がそうなるように家族・親族の支援に頼らずに済んだようです。

イスラエル南部に拘留されていた彼は、ヘブロンの境界で、解放されます。彼の兄弟は何時に解放されるかわからない彼を向かえに朝からヘブロンの境界で待ち続けます。午後3時過ぎに、ようやく彼は現れ、兄弟は彼を家族の待つ家に連れて帰ります。でも、久しぶりに家族とゆっくり出来るかと思ったら、それは大間違い。難民キャンプに住む彼を、キャンプ中が出迎えています。家族・親族・友人・知人が、彼を歓迎しようと待ち構えています。
 家では彼の帰宅を待ちわびていた家族・親族と夜中まで過ごし、それから少し仮眠したのち、朝までまた語り合う。彼の刑務所での話や彼が不在だった間の家族・親族の話はどうやらつきないようです。

翌日の今日は、家族・親族との昼食会。男性達は広い応接室で、食事をしながら語りあい、女性達は食事を作ったり、コーヒーを入れたりしながら、女性の部屋で食事をし、何十人もいる子ども達は子供部屋で遊んだり、小さい子供は女性の部屋で遊んだりしています。

彼は少し痩せたようです。でも、やつれてはいない。疲れているはずなのに、前より精悍にすら見えます。彼は、自分より長く拘置されている人がたくさんいるのに、自分が1年間で帰れたことを申し訳ないと思っていると言います。
 自分の身に降りかかった不幸よりも、他人のことを心配するところが、彼らしい。刑務所での生活は彼の性格を変えることはなかったようです。1年間でヘブライ語を覚えたと言う。話すだけではなくて、読み書きも出来るようになったと自慢する。でも、失業の身の彼は、しばらくは奥さんの稼ぎに頼ることになります。これから彼女より早起きして、彼女の朝ごはんを作り彼女を仕事に送り出し、愛息子の面倒を一手に引き受けることになるそうです。

現在イスラエルの拘置所または刑務所には約9000人が拘置されているとされます。
 1967年のイスラエルによる西岸・ガザの占領から、述べ65万人以上のパレスチナ人が拘置されたと言います。この数字はパレスチナ男性の約4割が、拘置された経験を持つことになるそうです。つまり、どこの家族にも拘置所・刑務所の経験者が一人はいることになります。逆に男性が拘留されていない家族は、イスラエルの協力者と疑われることもあるそうです。

しかし、それがどんなに珍しくないことであっても、一人の人間が刑務所で過ごすということは、しかも政治犯として過ごすということは、不条理であり困難であることにかわりません。彼も家族も彼が家に戻れる日を指折り数えて待ちわびてきたのです。
 でも、ようやく彼は戻ってきました。彼のままで帰ってきました。家族がまた一緒になれた。本当に良かった。おかえりなさい。


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