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10月28日(金)ブタとひろちゃんと国際協力

ラオス現地代表 名村 隆行
2005年10月28日 更新

カムアンから帰ってくるバスの中で、JVCラオスの畜産支援についてあれこれ考えていたら、ひろちゃんのことを思い出した。

自分は、10年以上前の、ほんのわずかな間、ある農場でブタの飼育を手伝っていた。ひろちゃんは、その農場に働きにきていた子だ。非常に頭がよい子だったが、鋭く切れ上がるその目の奥に、いつも琥珀色の悲しみを湛えていた。いつも心の内側に鋭いナイフを抱え込んでいて、しょっちゅう誰かとぶつかっては、その刃で自分を傷つけ、そして泣いていた。そして夜になると、いつもブタ小屋の前で、たいていひとりで飲んでいた。

ある日、ひろちゃんに誘われて、ブタ小屋前で飲んだ。彼女がほとんどひとりで一升瓶を空けるまで、たくさんの話をした。もう話の内容はほとんど覚えていないけど、彼女の抱える深い深い闇の中に、小さく輝く星を拾っていくような、そんな会話だった。

いよいよ自分が帰るという日。彼女はまた朝から誰かとけんかして泣いていた。気まずい雰囲気の中、食堂で向かい合って無言で朝御飯を食べていた。そして、泣きはらした顔をした彼女が、「ありがとう」と言い添えて、そっと手紙をくれた。最後にいろいろいいたいことがあったんだけど、なかなか言葉が出でこず、「こちらこそ、ありがとう」としかいえなかった。最後に、握手して、そして、彼女は席を立った。

手紙は、とても温かい言葉で埋められていた。それは、それまでの彼女の発言や行動からすれば、まるで別人が書いたような手紙だったし、正直、私自身が救われた気分になった。

そして、バスの中でつらつらとおもったのは、本来、国際協力って、こういうことなんじゃないか、ということ。必要なことは、一方的なブタの支援ではなく、お互いがブタ小屋の前で話をすることなのだ。我々は他人が深く抱えている問題を解決できるわけがない。でも、話をする中で生まれてきた温かい思い出の連鎖が、お互いに抱える孤独をやわらげ、明日への希望を、一歩踏み出す勇気を、ほんの少しだけでも、生み出すことができるかもしれない。

ちなみに、食堂で彼女の姿をみたのが最後で、それ以来、会うことはおろか、電話ですら連絡をとりあっていない。それもまた不思議な気がする。

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