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カンボジアの式典

JVCカンボジア現地代表 米倉 雪子
2006年4月 6日 更新

カンボジアでは、今年、4月14−17日がクメール正月である。
すでに我が家の近所では、一ヶ月ほど前から、夜、涼しくなると、歩道や路上でお正月のゲームや踊りに興じる若者のグループを見かける。
 カンボジアでは、今も結婚前に若い男女が二人きりでデートをすることは好ましからぬことと考えられており、プノンペンでこそデートをするカップルを見かけるようになったが、かっては、そして今も、このお正月のゲームや踊りの輪が、貴重な出会いの機会である、という。

年々、こうしたお祝いや仏教式典が、プノンペンでは華やかになってきているが、今年はさらに早くからお正月ムードがもりあがってきているのでは、と思うのは気のせいだろうか。いつも夜9時には静かになるご近所なのに、夜な夜な11時くらいまで、大音響でクメール伝統舞曲やらポップス、ヒップホップが流れる。
 皆、睡眠不足にならないのだろうか、と思うのは余計なお世話で、結構、お正月が近づき、楽しんでいるようだ。

4月3日(月)朝7時半、いつも通り出勤すると、JVC事務所の大家さんの家の塀がきれいに飾られ、お坊さんを迎え入れている。お正月前で、お坊さんを招いて、祝福のための仏教式典かな?と思いつつ、大家さんのおばあちゃんに軽く合掌と挨拶をし、仕事を始める。
と、まもなく、あいついで大家さんの兄弟が挨拶に現れた。
 なんでも彼の姉妹の一人が50才を迎え、結婚25周年記念式典の会をするので、昼食と夕食に参加してほしい、とのこと。
 仏教式典なら招待が来るかもしれないな、と思っていたが、結婚25周年とは、意外な理由、でもせっかく誘ってくださっているのに、お断りしては、失礼、と思い、「おめでとうございます。昼食、うかがいます。ありがとうございます。」と、仕事にもどる。

11時ごろ、また大家さんの弟が現れた。「昼食ができたので、ぜひ」という。
 しかし、まだ11時!である。カンボジア人スタッフは皆、会議や仕事で忙しい。
けれど、日頃、お世話になっている大家さんが、じきじきに二度も誘いに来ているのに断っては失礼だ。私が単身、うかがうことになった。

大家さんの家は、JVC事務所の両脇をはさむように2軒、建っている。
事務所を一歩出ると、すでに道も、来客とその車で、おおにぎわいである。大家さんの家の門を入ると、結婚披露宴さながらに着飾った男女が、軒先で、円卓をいくつも囲んで、昼食をとりながら歓談していた。家の中では、新郎新婦のように着飾った結婚25周年を祝うご夫婦が、次々と来客と写真撮影をしていた。
 一方、こちらはボロけた普段着である。まずい、と思うまもなく、家の中に連れて行かれ、やはり晴れ着の男女と一緒に、記念撮影。

カンボジアでは、外国人は特別なお客様として、もてなされてしまう。
 撮影の後は、円卓に案内され、大きな川魚やエビなどごちそうの一番いい部分を、両脇の女性たちが、次から次とお皿によそってくれ、わんこそば状態だ。
特別扱いは、まずい、とこちらも飲み物などを向こうに勧める。

ざっと100人くらいの客がいただろうか、話を聞くと、なんでも皆、親戚で、でも遠い親戚まで呼ぶと大変な数なので、ごく近親者に限ってのお祝いだという。
 すると、親戚以外は私だけ?と気にする私を、向こうから来たおばあさんが、「自分の子どもが日本に留学中で、日本人が来てくれて、顔を見ていたら、嬉しくなったとほおずりをされた。

ごちそうを食べ終るまで、1時間くらいだっただろうか、
その間、ご夫婦と家族や親戚との写真撮影は延々と続いていた。

帰りがけに「ぜひ夕食も」と誘われた。「何時からですか?」と訊くと、「4時くらいから、向こうの家で」と別の棟をさす。そうか、今日は一日、お祝いなのだ。
 しかし、JVCは今日は午後もずっと会議の予定。4時はちょっと厳しいな、と思い「ありがとうございます。でも、遠い親戚も全員は呼ばない、ごく近親者のご家族のお祝い事と聞いたので、お気遣いなくご家族だけでお祝いください」、と丁重に断る。しかし、大家さんはぜひ、と他のスタッフにも声をかけていた。

さらに「お正月前日の13日、新年の幸運を願う仏教行事を、JVC事務所の両脇の大家さんの家で行なうので、もし許可をいただけたらJVCの事務所でも行ないたいのですが」と訊かれる。  JVC事務所は、大家さんの家の半分を借りており、そりゃ、大家さんの棟の分だけが、祝福を受けても、残りの半分が受けないと大家さんも新年を迎えられないだろう、と思い、「どうぞお願いします。同僚に確認して、返事をしますね」と言って、大家さん宅を後にした。
新年を迎える仏教行事、うちのスタッフも喜ぶだろう。

その夜9時ごろ、仕事を終えて事務所の門を出ると、大家さんの家は、まだにぎわっていた。
そっと抜け出し、バイクタクシーで帰宅。
自宅のご近所からは、大音響のクメールポップスが流れている。
夜空を見上げると細い線のような三日月が黄金色の妖しい光をはなっている。
そう、あれが満月になる頃が、クメール正月だ。

カンボジア人はお祝い事、式典好き、という印象がある。
式典の理由は、いろいろだ。
 婚約式、結婚式、お葬式、お盆、新居建設祝い、引越し祝い、生誕祝い、毎年の誕生日、両親の長生きを祈る行事、病気完治の祈り、お寺への寄進を集める式典など、たいていお坊さんの祈祷がある。

よくJVCスタッフも「我が家の式典で忙しい」というのが、休暇を突然とる理由となっているが、私の式典リストに「結婚記念日」が加わった。

こんなにいろんな理由の式典があるのでは、忙しいだろうな〜と、改めて、納得をしてしまった一日だった。


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