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報復の名の下に行なわれる暴力に大義はない

イラク事業担当 原 文次郎
2006年9月11日 更新

2006年8月31日、ブッシュ米大統領は演説で、米国が主導する対テロ戦争を「21世紀のイデオロギーの闘いだ」と訴えた。
イデオロギーの衝突であれば妥協の余地がなく、自らの生存のために異なる価値観を持つ相手を滅ぼすことも正当化される。このような報復合戦の端緒となったのが2001年9月11日の事件であったのであろう。21世紀を迎えて冷戦も終結し、唯一の超大国としての繁栄を享受していたアメリカの人々にとって、この事件がその生存を脅かすほどの衝撃を持って受け止められたことは想像に難くない。私自身、2003年4月にニューヨークの現場に行き、ニューヨークの人々の持つ喪失感について聞かされたことを鮮明に記憶している。

それから5年経ち、報復合戦に終わりは見えたのだろうか。
もとよりアフガニスタンへの攻撃は9.11との直接の因果関係を見出すのは難しい。イラク戦争も開戦原因として当初はサダム・フセイン政権とアル・カイダとの関係が示唆されたこともあったが、根拠に乏しく、大量破壊兵器の保有が「国際社会」への脅威になるという理由、イラクを圧制から解放し「民主化」をもたらすとした目的へと次々と差し替えられた。このような無理を続けて、世界がより平和になったとは言えないのが今の現実である。

攻撃された一般家屋(ファルージャ、2004年)攻撃された一般家屋(ファルージャ、2004年)

私の現在滞在しているヨルダンは東にイラク、西にイスラエル・パレスチナ地域に接し、中東の要に位置しているので、ここに居ると必然的に支援先のイラクのことだけではなく、西アジアと中東の全体の情勢に関する報道に触れることが多くなる。アフガニスタンでのタリバン勢力の復活とも言われる治安の悪化、イスラエルとヒズボッラーの対決したレバノン「戦争」、イスラエルによるガザ地区およびヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人に対する暴力的な行い、等々。日本からは遠く見えるかもしれないこの地のできごとだが、米国の主導する対テロ戦争が世界化しているだけに日本もまた当事者であることも忘れてはいけない。

イラクに関しては私が無駄な言葉を連ねるよりも当事者のことばを聞いて欲しい。

「宗派対立から内戦化」などと言われるイラクの現状の中で最も多国籍軍と地元勢力の衝突の激しい地域であるアンバール県からの声だが、権力闘争に無縁な一般市民は平和を欲している。報復の名の下に行なわれる暴力に大義はない。

【8月15日ファルージャ発 Mさん 50代男性】
「世界はより刺激的な映画を見ることに興味を向けている。私はここのところ世界で起きていることにひどく落胆している。人々はみな自分自身の問題に眼を向けるのに精一杯で忙しく、他人のことを構わなくなっている。アンバール県で現在起きている悲劇は、問題を平和的に解決しようとか、市民社会について語ろうという声を人々が聞かなくなってきていることにある。多国籍軍は将来の平和の可能性をことごとくつぶしている。特にここアンバール県ではそうだ」

人気のない道(バグダッド、2006年)人気のない道(バグダッド、2006年)

「米軍とイラク政府による新しい治安対策の作戦は間違った方法で行なわれている。彼らはバグダッドのスンニ派地域でのみ掃討作戦を遂行しているが、それはバグダッドの治安の安定を図るためではなく、彼ら自身の安全の確保のために行なわれているに過ぎない。作戦は4日目に入り、ガソリンも調理用のガスも電気もなく、遂にはきょうは水もなくなった。かつては平和を呼びかけていた知人が、今日はこう言った『犯罪的な行為はより大きく厳しいものになってきた。私たち一般市民に残された唯一の方法は戦い、尊厳のために死ぬことでしかなくなった』

【9月6日ラマディ発 Sさん 30代男性】
今年6月。事故で負傷したSさんの兄の命は失われた。病院に運ぶ途中、米軍の検問で止められ、治療を施すことができなかったからだ。そのような形で失われる命も少なくない。Sさんは言う。
「私たちイラクの人々には将来の希望も必要だが、正義も必要だ。そのために頑張ろうとしている。私は正義の裁きが下されることを望んでいる。私の兄は殺された。希望は私には何の意味も持たない。私は正義の裁きを必要としている。犯罪者は表に出されるべきであるし、最低限でも謝罪のことばが欲しい。私にはどれだけ正義が大切であるか説明してもし切れないほどだ」


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