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2017年3月ジュバ訪問の記事一覧

【2017年3月ジュバ訪問】
いよいよ食料配布、マンガテン避難民キャンプ 2017年3月ジュバ訪問④

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年6月29日 更新
前回から続く)

マンガテン避難民キャンプで食料支援を行うことが決まりました。しかし、私に残された滞在期間は、あとわずかしかありません。
とにかく、トウモロコシの調達を行って、配布は現地の仲間に任せよう。
そう決めると、早速ジュバの市場を回って調達を始めました。今回は製粉後の「トウモロコシ粉」ではなく、粒だけを袋詰めにしたものです。品質が良く新鮮であるだけでなく、数量が確保できなくてはなりません。配布するのは、合計13トン、50キロ入りの大袋で260袋です。何か所かの市場を回って、やっと見つけ出しました。

3月31日、市場にトラックをつけて朝から積み込みを開始。

「おいおい、ケンカだ、ケンカだぞ」

トラックから積み下ろしたトウモロコシの袋トラックから積み下ろしたトウモロコシの袋

そんな声が聞こえて、何かと思うと既に野次馬が集まっています。
「あれ?ケンカしているの、JVCの積み込みをしている作業員たちじゃないか?」
どうやら、そのようです。
「おいおい、いったい何が原因なんだ?」
市場には荷役を請け負う作業員のグループがいくつかあります。ひとつのグループが私たちの積み込み作業を始めたのですが、そこに別のグループが割り込んできて仕事を取りあっているのです。互いに「ここはオレたちの縄張りだ」を主張してゆずりません。
止めるのも難しいのでしばらく傍観していると、何のことはない、話し合いで決着がつきました。お互いに何人かの作業員を出し合って共同で作業をする、報酬は互いに分け合う、それだけのことです。ただし、双方から参加することで作業員の数が少し増え、私たちが支払う労賃が少しだけ上がりました。彼らにとっては、賢明な判断です。南スーダンの政治家も見習うべきでしょう。

積み込みが終わったトラックはジュバ大学の前を通って市内を横切り、中心部のセント・ジョセフ教会の敷地内にある協力団体(現地NGO)、カリタスの事務所に到着しました。積み荷を倉庫に下ろし、カリタスのスタッフに引き渡して私の業務は終了です。その2日後、私はジュバを後にしました。

二人がかりでも50キロは重い二人がかりでも50キロは重い

カリタスのスタッフが避難民キャンプのリーダーたちと調整した結果、配布は4月10日に行うことになりました。JVCからは現地スタッフのクリスティン、そして南スーダン政府の救援復興委員会の担当者が立ち合って、配布が行われます。

マンガテン避難民キャンプについて、事前には「民族間の争いがあり、支援活動は難しい」との情報がありました。確かに、自治会のリーダーであるガブリエルさんは「ここにはディンカ人、ヌエル人、シルック人が生活している」と説明してくれました。これらの民族グループは、今の内戦の中で敵対しあっている、というのが一般の解釈です。

しかし、食料の配布は何のもめ事もなく、きわめてスムースに行われました。

受け取ったトウモロコシを自分たちのテントへ受け取ったトウモロコシを自分たちのテントへ

キャンプは奥まった場所の「キャンプ1」、幹線道路に近い「キャンプ2」に分かれており、「キャンプ1」はヌエル人が中心、「キャンプ2」はディンカ人を中心に他の民族グループが混ざっています。それぞれのキャンプに自治会があり、リーダーたちが名簿を手にして避難民女性をグループ分けし、グループ毎にトウモロコシを1袋ずつ受け取っていきます。それはとても整然と行われ、あっという間に配布は終了ました。

配布を見守っていた女性リーダーが、JVCスタッフのクリスティンのところにやってきました。

キャンプリーダー(右)の話を撮影するJVCスタッフのクリスティン(左)キャンプリーダー(右)の話を撮影するJVCスタッフのクリスティン(左)

「いま、この時期に食料の支援があって本当に助かりました。子どもたちに食べさせるものも何もなかったんです」
キャンプには、推定で約1,500世帯が暮らしています。13トンのトウモロコシとはいえ、1世帯あたりでは10キロにもなりません。実は私たちは、配布の当日に「こんなにわずかな量でどうする?」という不満が噴出するのではないかと警戒していました。しかし、当日、そんな心配は吹き飛びました。みな晴れやかに、そして安堵を浮かべた表情で食料を受け取っていきました。長らく支援が止まっていたのは、本当のことなのでしょう。

食料を受け取った女性にカメラを向けていると、みなが集まってきて、掛け声に合わせて一斉に歌い始めました。
それは、彼女たち自身の言語で歌われています。カリタスのスタッフにも、JVCのクリスティンにも、意味が分かりません。
「すみません、今の歌、どういう意味ですか?」
質問すると、リーダーの男性が
「村で歌われる感謝の歌だよ。ありがとう、今日の食料に本当にありがとうってね」
故郷から遠く離れた場所にいても、喜怒哀楽の表現に、故郷の歌にまさるものはないようです。

カメラを前にして、みんな歌い始めたカメラを前にして、みんな歌い始めた

【2017年3月ジュバ訪問】
「食料がない」マンガテン避難民キャンプ
2017年3月ジュバ訪問③

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年6月 8日 更新
前回から続く)

3月29日、ジュバ郊外のマンガテン避難民キャンプを再訪しました。

今回は、行政の「キャンプ訪問調査許可証」を取得し、南スーダン政府の救援復興委員会から2名の担当官が同行しています。私たちの協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所のスタッフも一緒です。

キャンプ内を歩くキャンプ内を歩く

【2017年3月ジュバ訪問】
ジュバ郊外、避難民キャンプ訪問
2017年3月ジュバ訪問②

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年5月30日 更新

前回から続く)

ジュバの避難民キャンプといえば、日本の自衛隊も建設に従事した国連の避難民保護施設(約4万人を保護)がよく知られていますが、それ以外にも規模の小さなキャンプがいくつかあります。
昨年の9月に私たちが支援したのはそれらのひとつ、ナイル川の対岸にあるグンボ地区のキャンプでした。昨年7月の戦闘の際に避難してきた280世帯が生活していました。

マンガテン避難民キャンプの入口付近。中央遠景に見えているビルは自衛隊の宿営地に隣接し、報道によれば、昨年7月の戦闘時には副大統領派が立てこもって宿営地越しに政府軍と銃撃戦を繰り広げたマンガテン避難民キャンプの入口付近。中央遠景に見えているビルは自衛隊の宿営地に隣接し、報道によれば、昨年7月の戦闘時には副大統領派が立てこもって宿営地越しに政府軍と銃撃戦を繰り広げた

「しかし、それ以前からあるキャンプも、現状は同じか、もっと厳しいかも知れません」
そう話すのは、私たちの現地協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所のネイマットさん。彼女が例に挙げたのは、ジュバの北郊にある、マンガテン(現地の言葉で「二本のマンゴーの木」の意)と呼ばれる地区のキャンプです。
「2015年に設立されたキャンプですが、この半年くらいは何の支援も入っていないと思います」
「どうしてなんでしょう?」
「手が回らない、それに尽きると思います。今の南スーダンは、あちこちで新たな避難民や飢饉が発生していますから・・次から次に起きる危機への対応に追われて、以前からあるキャンプが、どうして置き去りにされてしまうのです」

もっとも、国連やNGOがマンガテンで活動しない理由は他にもあるのかも知れません。
あるNGO関係者は「あそこは、キャンプの住民の中で争いがあり、活動をしていくのが難しい。どこの団体も敬遠している」と話していました。
「キャンプの中の争い」とは、今の南スーダンの内戦状況を反映したものです。マンガテンは、元々、元副大統領の出身民族であるヌエル人たちが多く住んでいる地区です。なので、2013年12月の内戦勃発時には、ディンカ人(大統領の出身民族)を中心とする政府軍や民兵、武装集団の襲撃を受け、激しい戦闘が行われました。戦闘が収束したあと、マンガテンには各地で家を失ったヌエル人、ディンカ人、またその他の民族が避難民として流入、2015年にはキャンプが設立されました。つまり避難民キャンプには「敵対関係」にある民族グループが同居しおり、そこにある(はずの)緊張関係から、「あのキャンプには関わりたくない」という心情になるのでしょう。
しかし、カリタスのスタッフの話では、最近のマンガテンで具体的な「抗争」や「事件」が起きているわけではありません。異なる民族グループから構成される自治会のようなものがあり、キャンプの取りまとめ役となっています。マンガテンを敬遠するのは、「民族対立」のイメージに引きずられている部分があるのかも知れません。

さっそく、カリタスのスタッフと一緒にマンガテン避難民キャンプを訪問しました。
市街地を抜け、自衛隊の宿営地を右手に見ながら少し先を左に折れるとキャンプです。空港の滑走路に近いため、着陸直前の飛行機が頭の上をかすめていきます。小雨が降り出しました。ジュバは乾季から雨季への移り変わりの時期に入っています。

キャンプのゲートから中に入ってクルマを止め、カリタスのスタッフが自治会のリーダーを呼びにいきました。
「どうも、リーダーは留守のようだ」
リーダーの許可を得ない限り、私たちはキャンプの中を歩くこともできません。
私たちの姿を見て、キャンプの女性のリーダーが近づいてきました。
アンジェリーナさん。長身で、肩から膝下まで青い布をまとっています。
「あいにく今日はリーダーがいません。リーダーの許可がなくては私も外部の人と話をすることはできません」

私たちは日を改めて再訪することにしました。
「行政の許可を取って、救援復興委員会(南スーダン政府の人道支援担当部局)にも同行してもらった方がいいな」
カリタスのスタッフも、手順を踏んで出直すべきと考えたようです。

クルマを市内に向けると、雨足がだんだん強くなってきました。

【2017年3月ジュバ訪問】
南スーダン、ジュバに入りました
2017年3月ジュバ訪問①

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年3月17日 更新

3月14日、ジュバに入りました。昨年11月以来の訪問です。
これまでの緊急支援活動

「市内の治安はね、多少は良くなったかな」
何人かの友人から、そう聞きました。政府は12月から軍・警察による夜間のパトロールを開始し、効果はあるようです。
「銃撃とか、殺人とかは減ったね。でも強盗がなくなったわけじゃないけど」
元JVCスタッフに会うと、そんな言葉が返ってきました。
「それよりも、この空腹をどうしてくれるんだ。みんなそう言ってるよ」

経済危機による物価高騰はますますひどくなり、食料品の値段は上がり続けています。11月にはカップ1杯で50南スーダンポンド(以下、ポンド)と聞いていた主食のトウモロコシ粉は、70ポンド。給水車から買う生活用水は、郊外に行くとドラム缶で70ポンドだったものが、130ポンドにも値上がりしています。

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