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【スタッフの素顔】国際協力を仕事にすること/木村万里子(会報誌T&Eより)

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本記事は、2026年1月20日に発行されたJVC会報誌「Trial & Error」No.361に掲載された記事です。会報誌はPDFでも公開されています。ぜひご覧ください。

JVC会報誌「Trial & Error」No.361のPDFはこちら

国際協力を仕事にすること

私と戦争と平和

ボランティアを含め国際協力と関わり始めてから25年近くたちました。戦争や平和への関心が芽生えてからは...... 年齢がばれるので数えるのをやめますが(苦笑)、満州事変に伴い中国大陸に出兵、生死をさまよいながらも96歳の天寿をまっとうした祖父抜きには語れません。山奥まで進軍したら補給路が絶たれ、食料が全く配給されなくなり飢え死に寸前だったという話に、小学生ながら「戦争の歴史をきちんと知らなければ」と思い、『かわいそうなゾウ』など戦争を題材にした物語を読み漁りました。

戦争が現実のものとして感じられたのは、イスラエルのレバノン侵攻におけるシャティーラ難民キャンプでの大虐殺(1982年)の状況をテレビで見たときのこと。荒野に並ぶ無数のテント、配給の列に並ぶ自分と同年齢くらいの子どもたち。今の小学生がガザの映像を見た衝撃と同じものを感じていたように思います。その後、大学では西洋史を専攻し「パレスチナ問題をめぐるイギリスの三枚舌外交」を、大学院では「平和教育における平和の概念」について論文を書きました。

国際協力の道へ

平和に貢献する取り組みに興味はあったものの、具体的な選択肢としては国連職員しか思い浮かばず、高嶺の花と思い一般企業に就職しました。仕事も人間関係も順調でしたが、心のどこかで国際協力に関わる道をずっと模索していたような気がします。

転職を機に上京、そこではじめて「国際協力NGO」の存在を知ります。旧ユーゴスラヴィアでの民族融和や平和構築、心のケアに取り組んでいたNGOでボランティアを始めました。ボランティア仲間と一緒にバザーやイベントを企画して利益を団体に寄付したり、勉強会をしたり、事務作業を手伝ううちに「これなら自分の社会人経験も活かせるかもしれない」と留学を経て、教育支援NGOの扉をたたきました。そこから私の「国際協力を仕事」とする人生がスタートしたのです。 

NGOで働いていると「無償でボランティアをしているのは偉いね」とたびたび言われますが、フルタイムの有給職員として15年以上働いてきました。緊急支援での物資配布ひとつとっても物資の調達や精算、関係者と日程調整など仕事で必要なスキルは一般企業とほぼ変わりません。企業は自社の製品やサービスの利便性をアピールして利益につなげますが、NGOは、より良い社会にするための取り組みを行うことへの共感やアクションを人々に促す点が大きく企業と異なる点で、そこにやりがいと難しさを感じます。

バックヤードを担う立場として

202012月から約3年半、パレスチナ支援のためにエルサレムに駐在しました。現地ではここに書ききれないほどの濃い時間を過ごし、20247月から東京事務所で総務・労務を担当しています(2025年より海外事業サポートも兼務)。長く支援活動を担当していたのでこの異動は同僚に驚かれましたが、私自身の希望でもありました。

適切に支援が行われるためには、自転車の両輪のように現場と東京事務所が連携することが重要です。私が所属する管理グループ(経理・労務・総務・システム管理)の業務は支援の透明性を確保し、職員が安心して活動に集中できる職場環境をつくることです。私の担当業務のひとつに安全管理があります。JVCはスーダンなど紛争地での活動も多く、現地駐在員の緊急退避も経験しています。安全管理には日ごろからの情報収集や現地駐在員の能力強化のほか、判断のためのガイドラインの作成、緊急時の対応シミュレーションなど多岐にわたる取り組みが必要です。これらを各事務所だけで行うことは難しく、また、緊急時には広報も含めた全職員が関わることになるため、他部署と協力しながら安全管理を担っています。

支援活動は人から人への思いをつなぐ活動です。それを担う人たち(支援を受ける人、支援をしてくださる方、支援をつなぐ職員や関係者)を大事にしながら、これからも現地の活動を支えていければと思っています。

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スーダン事務所への内部監査出張時、現地職員のモナさんが手料理(ギーマ)をふるまってくれました

プロフィール

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木村万里子(きむらまりこ)総務・労務/海外事業サポート担当

 

群馬県出身。民間企業で働きながら国際協力NGOでボランティアを続けるうちにNGOの世界へ。イギリス大学院への留学後、複数のNGOに勤務。13年間で国内外あわせて16の緊急救援および教育支援、開発教育に携わる。支援活動で滞在した国は、中国雲南省、フィリピン、ラオス、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール。2020年5月まではロヒンギャ難民支援に従事。これらの支援活動を通じ、より良い支援を行うためには自身も含め、支援する側の能力が重要であることを実感する。2020年12月~2024年7月までJVCエルサレム事務所駐在。2022年イエメン事業立上げに参画。令和6年度「信州大学同窓会連合会賞」受賞。

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