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2011年7月号

2011年度アフガニスタン事業インターン 白川 徹
2011年7月 5日 更新

治安

1)アフガニスタン駐留兵の今年の死者600人に。過去最悪のペース

アフガニスタン東部で25日、武装勢力の攻撃で北大西洋条約機構が主導する国際治安支援部隊(ISAF)の兵士1人が死亡し、今年に入ってからの駐留部隊の死者数が600人に達した。
アフガニスタン駐留兵士の死者数を集計する民間ウェブサイト「icasualiutes」参照しAFPが算出した。今年は毎日、約2人の兵士が死亡している計算になる。 米国がアフガニスタンでの軍事作戦を始めた2001年からの9年間で最悪のペースだ。これまで、最も多くの兵士が死亡した2009年でも、年間死者数は521人だった。アフガニスタンにおける2001年以降の外国人兵士の死者は合計で2170人となった。

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2769812/6367027 (AFPBP)

2)NATOが民間人を殺害。アフガニスタンが強く抗議。

5月30日、NATO(北大西洋条約機構)の戦闘機が南部ヘルマンド州の民家を攻撃。民間人14人が死亡した。うち10人は子どもであり、2人は女性。NATO側は謝罪したがカルザイ大統領は空爆を「恣意的で不必要」とし、「これ以上民家を空爆するなら外国軍を占領軍と見なす」と話した。

http://edition.cnn.com/2011/WORLD/asiapcf/05/29/afghanistan.violence/index.html?iref=allsearch (CNN)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21453920110531 (REUTERS)

3)カブールの高級ホテルが攻撃される

6月28日、午後10時頃、首都カブールの外国人が多く滞在する高級ホテル「インターコンチネンタル・ホテル」が武装勢力に襲撃された。襲撃者は9人で、ISAFの兵士と5時間にわたる銃撃戦になり、民間人11人が死亡した。今回の攻撃で、カブールにある3つの高級ホテル「セレナ・ホテル」「サフィ・ランドマーク」「インターコンチネンタル」全てが攻撃されたことになる。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110629/t10013858071000.html (NHK)

政治・社会

1)バラク・オバマ大統領、アメリカ軍の撤退を発表。

米オバマ大統領はアフガニスタンから米軍を段階的に撤退させると発表した。今年中に1万人、来年7月までに3万3千人を撤退させる予定だ。現在10万人の兵士が駐留しており、全兵力の3分の1にあたる。

オバマ大統領は米軍の駐留目的を「アルカイダの掃討」と位置付けており、5月のオサマ・ビン・ラディン氏の殺害をもって「アルカイダを追い込んだ(We have put al-Qaida on a path to defeat)」とし、作戦終了に道筋をつけた。アメリカ国内の世論として、海外よりも国内の経済状況に注力しなければいけない事情がある。共和党は今回の撤退を「孤立主義」と批判し、撤退の規模の縮小を主張した。

また、イギリスのキャメロン首相も撤退を歓迎。2015年までに現在いる1万人の兵士を全て撤退させるとした。欧州各国も足並みを揃える見込みだ。

http://www.guardian.co.uk/world/2011/jun/23/afghanistan-withdrawal-barack-obama-troops?INTCMP=SRCH (Guardian)

2)アメリカがタリバンと和平交渉

6月18日、カルザイ大統領はアメリカがタリバンと交渉をしていることを明らかにした。翌日、アメリカのゲイツ国防長官はテレビ番組で交渉中であることを認めた。しかし、交渉には時間がかかるとして、成果が出るのは今年の冬頃であるとした。

http://uk.reuters.com/article/2011/06/18/us-afghanistan-talks-idUKTRE75H0LS20110618 (REUTERS)

3)下院選挙当選者62人入れ替え。

昨年9月に行われたアフガニスタンの下院選挙で当選した下院議員249議席の約4分の1にあたる62人の当選を無効とし、新たな当選者を発表した。カルザイ大統領が昨年末、選挙の不正審査のため最高裁に設置した特別法廷が裁定を下した。

この最低は選挙管理委員会ではなく、カルザイ大統領の作った法廷が決定したため、議員側は大統領との対立姿勢を示している。

下院選に関しては今回だけでなく、昨年選挙管理委員会は全投票数の4分の1にあたる130万票を無効とし、26人が落選扱いとなったことがある。

http://www.washingtonpost.com/world/asia-pacific/afghan-officials-at-loggerheads-as-us-withdrawal-looms/2011/06/26/AGf4QQmH_story.html (Washington Post)

国際支援

1)日本、対アフガニスタン50億ドル支援使い切れず

日本政府は09年の政権交代後、「5年で50億ドル」のアフガン支援を発表した。しかし、現地の治安悪化で拠出は16・6億ドルにとどまり、「苦肉の策」として周辺国に支援を振り当てる選択肢も検討しているとのこと。

日本のアフガン支援は警察官給与の半額負担や元タリバン兵への職業訓練、農業支援など。しかし、元タリバン兵の職業訓練後の雇用創出にめどが立たない。政府は「アフガンの安定に資する」(外務省幹部)として、タジキスタンなど周辺国の麻薬対策などに支援対象を広げ、米軍の撤退開始に合わせて発表する案を検討中だ。ただ、使途拡大には米高官から「アフガン国内支援を減らすのか」との懸念も寄せられている。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110620ddm003030124000c.html (毎日新聞)

総論・オピニオン

米軍撤退の発表があり、一つの節目を迎えるアフガニスタンではあるが、状況、特に治安は加速度的に悪化している。5月の民間人の死者は一ヶ月間で360人に達し、過去最悪を記録した。今回の米軍撤退を何かの「解決」と捉える人間は少なく、多くの人がカタストロフィの到来を感じている。米軍の撤退はアフガン人の多くが望んできたことに違いは無いが、それはこれまで以上の混乱の招く可能性が極めて高い。先月のアフガン・ウォッチで紹介したオックスファムの報告書が指摘しているとおり、現在のアフガニスタン国軍・警察に治安維持を期待するのは不可能だ。外国軍が撤退したことによりパワー・バランスが崩れ、中途半端に力を持った政府軍とタリバンとの泥沼の内戦が勃発する恐れがある。外国軍は唐突にアフガニスタンに侵攻し、社会を徹底的に混乱させた挙句、景気が悪くなったからといなくなる。「後は野となれ山となれ」ということだ。

現在のところ、とても明るい未来を描ける材料が無いのが実情だが、関わり続けることで新しい道を模索していきたい。

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