11月20日、四ヶ浜で育った人々の心のふるさとである浦島小学校で「さざなみ祭り」と称する学習発表会が開催された。この祭りは、運動会・学芸会・児童会イベント・収穫祭(会食会)の4つ行事を合体させた大イベントであった。震災のダメージを地域と分かち合ってきた本校では学校行事にも影響が及び、児童の学習成果がこのような形で発表されることとなったのだ。
JVCは学校支援の一環として浦島小学校を側面からサポートしてきた。11人の在学児童数に対し200人余りが詰めかけた本校最大のイベントの開催に際し、今日までの支援活動にも触れながら「さざなみ祭り」を紹介していく。
オープニングを飾る「小々 汐 太鼓」
「さざなみ祭り」は全児童による太鼓の演技披露から始まった。本校の真下に開ける小々汐地区で打囃子うちばやしを受け継いでいる「小々汐打囃子保存会」の指導を受けてきたものだ。力強い太鼓の響きが来場者を圧倒し、その後の踊り・合唱・楽器演奏・自由研究などの発表にいたるまで、場内は児童を注目し続けた。
地域を越えた和太鼓の共演
児童の発表終了後もまだまだイベントは続いた。まずは「小々汐打囃子保存会」の演技である。冒頭に代表者から「津波の直後は太鼓の事は考えられなかった。皆さんの支援に背中を押されるような気持ちになり会の活動が再開できた」と語られた。心なしか目が潤んでいるようにも見受けられた。太鼓を叩き始めた保存会の人々の姿は、悲しみを一つ乗り越え、今を存分に享受しているかに映っていた。
続いて「江戸川区太鼓連盟(東京都)」の演技が披露された。当連盟はJVCの呼びかけに真っ先に応じてくれた団体で、9月に太鼓5張りをご寄贈いただいている。
震災から生まれた地域交流
JVCは8月に保存会から相談を受けて以来、各方面に保存会への太鼓の寄付を呼び掛けてきた。また、東京出張時には太鼓連盟理事長に面会し、「さざなみ祭り」までの様々な調整を行い、同時に保存会とのつなぎ役を担ってきた。太鼓連盟の10名は前日に気仙沼へ入り、前夜祭ともいえる懇親会を保存会の人々と分かち合い、津波の体験や今後の親睦交流などについて語り合った。
主役は地域の人々
「さざなみ祭り」はゲームや踊りなどの全体イベントや教室で行われる児童会イベントへと進み、正午からは収穫祭・会食会が催された。言うまでも無くこの「祭り」の主役は児童・保護者・招待者をはじめとする浦島小学校の関係者である。JVCは学生ボランティアを含む10名体制で裏方に徹することとし、イベントの進行具合に合わせて収穫祭・会食会用料理の調理・配膳の準備などに勤しんだ。
浦島小学校は心のふるさと
4時間にわたる「さざなみ祭り」は校歌斉唱で幕を閉じた。合唱と言った方が正確かもしれない。参加者のほとんどがこの学校を卒業した地域住民であるため、自然と合唱になるのだ。ややもすれば忘れられがちな「郷土を愛する心」を、地域外の者にまで思い出させるこの学校は、いつまでも四ヶ浜の人々の心のふるさとであり誇りであり続けるであろう。