活動の現場からREPORT

2025.10.30

スーダンピックアップ

【声明】スーダン・北ダルフール州都エル・ファーシルにおける民間人への攻撃に関する国連・国際NGO共同声明に賛同します

スーダンでは、10月27日にRSFにより北ダルフール州都エル・ファーシルが攻め込まれ、民間人への殺害や暴力が多発しています。翌日には、病院で460人以上の患者らが殺害されるなど、状況は更に悪化しています。これに対し、国連・国際NGOが共同声明を発表し、JVCもこれに賛同しました。

声明本文

2023年4月に勃発したスーダンでの戦闘において、ダルフール地方では、即応支援部隊(RSF)が広範囲を掌握してきました。その中で、北ダルフール州都エル・ファーシルは国軍(SAF)が保持する最後の拠点として残り、長期間にわたり包囲されてきました。

エル・ファーシルはRSFによる500日を超える包囲によって、物資が遮断され、激しい砲撃やドローン攻撃にさらされてきました。その結果、飢餓・医療体制の崩壊・人権侵害が深刻化し、住民の生活は極限まで追い詰められていました。

そして、10月27日にエル・ファーシルがRSFによって陥落し、残された民間人への殺害や暴力が相次いで報告されています。10月28日には病院で患者ら460人以上が殺害され、6人の医療従事者が拉致されるなど、状況は更に悪化しています[1]。国連などの報告によれば、エル・ファーシルには26万人の人々が取り残されており、半数は子どもです[2]。

JVCはこうした深刻な事態に強い危機感を持ち、以下の国連・国際NGO共同声明に賛同します。武装勢力へのいかなる武器供与は紛争をさらに長引かせ、民間人の苦しみを拡大させる行為です。また国際社会の沈黙は、罪のない人々への命が奪われ続けることを容認することに等しいです。JVCは、すべての当事者に対し、直ちに民間人への攻撃を停止し、人道アクセスの確保と市民の保護を強く求めます。国際社会が連帯し、エル・ファーシルの人々に一刻も早く安全と尊厳を取り戻すための行動をとるよう訴えます。

スーダン勢力図(2025年10月現在、出典：The Guardian)

声明は以下の通りです。

国連・国際協力NGO共同声明

【声明】スーダン人道支援コミュニティよる声明：エル・ファーシルにおける民間人への攻撃について

スーダンの人道支援コミュニティは、北ダルフール州エル・ファーシルおよびその周辺で、市民や民間施設、人道支援関係者に対して続いている即応支援部隊（RSF）による攻撃を、強く非難します。
私たちは、深刻な人権侵害ー即決処刑、避難中の民間人への攻撃、家々への襲撃、そして安全な避難を妨げる行為ーに、深く憤りを感じています。女性や少女に対する性的暴力の報告も後を絶ちません。地域の支援者たちも命の危険にさらされており、中には拘束されたり殺害されたりした人もいます。
それでも人道支援関係者は、極めて危険な状況の中で活動を続け、タウィラなどの周辺地域に避難した数千人を支援しています。しかし、エル・ファーシルへのアクセスは厳しく制限されており、支援体制は急速に弱まる一方で、支援を必要とする人々は増え続けています。私たちは依然として、エル・ファーシル市内に取り残された多くの民間人にたどり着くことができません。
私たちは国連加盟国、地域機関、支援国、ドナーを含む国際社会に対し、次の点について即時の行動を強く求めます。

1. 民間人と人道支援関係者、民間インフラの保護

すべての当事者は、民間人を保護するためのあらゆる措置を講じ、病院や市場、避難民キャンプ、民間施設への攻撃をただちにやめるべきです。また、人道支援活動の保護された地位を国際法に基づいて尊重しなければなりません。

2. 安全な避難と人道アクセスの確保

民間人が安全かつ尊厳をもって避難できるようにし、援助機関がエル・ファーシルに取り残された人々へ妨げなく継続的に支援を届けられるようにする必要があります。

3. 違反行為への責任追及

国際人道法違反のすべての疑いについて調査を行い、責任者を処罰することで、さらなる違反を防ぐ必要があります。

4. 緊急資金支援の拡大

命を守るための支援活動を継続・拡大するため、そして最前線で活動する女性主導の団体を含む地域の支援団体を支えるために、緊急の資金拡充が求められます。

私たちはすべての紛争当事者に対し、民間人、医療関係者、人道支援職員、資産、そして人道活動が国際人道法のもとで保護されるべきであることを改めて強く訴えます。
今こそ国際社会が一致して、さらなる悲劇を防ぎ、エル・ファーシルの人々の安全と尊厳を取り戻すために行動することが求められています。
人道支援コミュニティは、アクセスと安全が確保され次第、エル・ファーシルでの支援活動を拡大する準備ができています。今後も、違反や虐待の記録、被害者の支援、市民保護のため可能な限りの力を尽くして取り組みを続けていきます。