
【スーダン】 地域の手で、傷ついた学校の修復を!―研修、計画策定、そしていざ工事へ―
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こんにちは、スーダン駐在員の今中です。現在JVCでは、ハルツーム州の45校を対象に、学校の修復を支援しています。2023年4月に始まった国軍とRSF(即応支援部隊)による戦闘によって被害を受けた学校。避難民が校舎に住んだことで、設備や施設の維持管理が難しくなった学校。長い間、十分な修繕が行われないままになっている学校。こうした学校を再び子どもたちが安心して学べる場所に戻すため、学校ごとに必要な修復を進めています。ただ、JVCが学校に「これを直しましょう」と決めて工事をするわけではありません。修復する内容を考え、優先順位を決め、予算を立てるのは、学校の先生やPTA、そして地域の人々です。そのための最初のステップとして、「学校改善研修」を実施しました。
対象となる45校から、それぞれ校長とPTA代表の2人、計90人が参加し、研修は2グループに分かれて実施しました。今回、各学校の修復に使える予算は、1校あたり約7,700USD相当の現地通貨です。この予算を使って何を修復するのか。
例えば、教室の屋根や床を直すのか、トイレを修復するのか、窓やドアを取り換えるのか。はたまた学校まで水道網や電気網をつなぎ、水飲み場や天井扇風機を機能させるのか。そしてこれらをどう組み合わせるのか。限られた予算の中で、学校にとって本当に必要なものは何なのかを考えなければなりません。

研修も参加型ワーク中心で行われた。
研修では、修復計画を作る際の予算の立て方や、必要な費用を適切に見積もる方法について学びました。また、計画策定において地域社会が参加することの重要性も強調されました。今後も学校を維持管理していくのは、教育省や教員だけの役割ではなく、地域社会の責任でもあるからです。
研修に参加したイブティサーム校長は、研修後以下のように話してくれました。

イブティサーム校長(上段一番左)は閉会式でも代表して熱い思いを語った。
「まず、スーダンの厳しい状況下に、私たちに支援を提供してくださった日本の皆さんに感謝したいと思います。ハルツーム州には、今回の戦争によって大きな被害を受けた学校が数多くあります。私たちはこれらの学校を修復するために取り組んできましたが、そこに日本からの支援が届きました。私の学校も、閉鎖される危機にありました。しかし、粘り強く取り組み、地域やPTAとも一緒になって協力したことで、学校を守ることができ、現在も学校は運営されています。これは、神の恵みと、私たちが一つになって協力した結果です。これからも、子どもたちの未来を守るために、私たちにできることを最大限に取り組んでいきたいと思います。」
研修を終えると、各学校ではPTAを中心に、具体的な修復計画が作られました。どこを修復するのか。どのくらいの費用が必要なのか。何を優先するのか。予算書も含めた計画が私たちのもとに提出されると、今度は教育省の技術者と一緒に、一校ずつ学校を訪問しました。
実際の学校を見ると、書類だけでは分からないことがたくさんあります。

RSFが学校を基地として使用し、軍車を国軍のドローン攻撃から避けるため、教室の壁に穴が開けられた。

RSFからの砲撃により、屋根が崩壊した教室。

RSFが銅線を略奪するために教室を焼き、壁や内部が黒焦げになった教室。

トイレのドアが略奪されたままになっている女子校。
こうした状況を一つひとつ確認しながら、本当に必要な修復は何なのかを考えていきます。
学校を訪問すると、計画を見直す必要が出てくることも少なくありません。例えば、人件費が実際より高く見積もられていることがあります。反対に、人件費がまったく計上されていないこともあります。教室の状態がかなり悪いにもかかわらず、校長室の椅子や植樹に予算を使おうとしている学校もありました。また、トイレの数が圧倒的に不足しているにもかかわらず、校舎の塗装が優先されているケースもあります。もちろん、学校をきれいにすることも大切です。しかし、限られた予算しかない以上、「今、この学校にとって最も必要なものは何なのか」を考えなければなりません。

PTAが策定した計画と予算を一緒に確認する。
教員やPTAとその話し合いには代表で選ばれた子どもたちも参加します。学校で勉強する子どもたちの声を尊重することは、当然のことでもあります。


子どもたちからは「遠足に行きたい」「実験室が欲しい」という要望が出ることもあった。
学校訪問と話し合いを重ねながら、修復する内容を具体化していきました。
最終的な計画がまとまった後は、JVCが修復作業を担う工務店や地元の小規模な建設業者と、活動ごとに契約を結び、実際の修復作業へと進んでいきます。
ただし、現在のスーダンでは、送金一つをとっても簡単ではありません。インフレが進み、物価や為替も大きく変動しています。そのため、いつ送金するのか、いつ資材を購入するのか、そしていつ工事を始めるのか。こうしたタイミングにも注意しながら進めていく必要があります。

工務店で購入する物資の金額や量をPTAや教育省技術者と確認。
そんな中、私たちが驚かされた学校もありました。JVCからの業者への送金を待つ前に、コミュニティの人たちが自分たちで資金や労力を持ち寄り、修復作業を始めていたのです。

工事を始める地域の人々。次々と動画を送ってきてくれた。
こうした地域の住民自身が動く姿は、決して珍しいことではありません。戦闘が続くなか、支援団体がアクセスできない地域でも、住民のイニシアティブや草の根の団体によって炊き出しなどの活動が続けられてきました。厳しい状況の中でも、自分たちの暮らしを自分たちの手で支えようとする力が、スーダンの各地にあります。
これから、それぞれの学校で実際に修復工事が始まります。どのような学校が、どのように変わっていくのか。そして、子どもたちや地域の人々は、どのような学校の未来を描いていくのか。修復の様子については、これからの「スーダン日記」で引き続きお伝えしていきます。

スーダン事業現地代表/イエメン事業担当 今中 航
京都府出身。大学でアラビア語を専攻し、在学中にイエメンに留学。留学中に「アラブの春」と総称される民主化運動が始まり、ライフラインが脆弱化し、国が混乱に陥っていく様を目の当たりにする。卒業後は途上国・新興国の根幹を支えられるようなインフラ支援に携わりたいとの思いで、メーカーにて発電プラント事業を担当。退職後、現地の人々により近い距離で可能性が広がることに尽力したいという思いが大きくなり、2018年JVCに入職し、以降スーダンに駐在。イエメン事業立上げに参画し、2022年よりイエメン事業担当も務める。
https://www.ngo-jvc.net/about/staff/sudan_imanaka.html