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パレスチナ ガザ

【ガザ】現地パートナー団体の診療所が爆撃されました(2025/09/22)

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2025年9月22日、JVCのパートナー団体パレスチナ医療救援協会(PMRS)の診療所がイスラエル軍に空爆されました。ガザ市内のこの診療所と、周辺の建物3棟が破壊され、一連の攻撃で60人が犠牲になったと報道されています。

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(2025年9月22日、爆撃されたガザ市のPMRS診療所)

被害の状況

診療所にいた人たちは攻撃の約30分前に緊急退避を命じられました。空爆により建物は瓦礫と化し、医療機器や医薬品なども失われました。

この診療所は、JVCが2024年5~7月に粉ミルクの配布を行った場所の一つで、ガザ地区北部の中心都市・ガザ市に残る数少ない医療拠点の一つでした。

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(2024年6月6日、同診療所で粉ミルクを配布するPMRS職員ら)

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(2024年6月6日、同診療所の外で粉ミルクを配布するPMRS職員)

医療施設を含む市民への攻撃

過去3週間で、PMRSの医療施設3か所が攻撃されています。

JVCは医療施設を含む全ての市民を対象とした攻撃と、武力による住民の強制移動をあらためて強く非難し、日本を含む国際社会に即時停戦のための緊急の行動を求めます。

PMRSによる声明(和訳)

パレスチナ医療救援協会(PMRS)による
サーメル診療所への攻撃と民間人の強制避難に関する声明

2025年9月22日

今日、私たちは深い悲しみと憤りをもってこの声明を発表します。2006年の設立以来、ガザの地域社会と家族に医療を提供してきた当協会の診療所の一つが、イスラエルによる意図的な空爆によって瓦礫と化しました。そこにいた家族、患者、そして当協会の職員は、手に持てるだけの物しか持たずに、数分のうちに避難を強いられました。
 
当診療所はガザ地区に残された数少ない診療所の一つでした。今日まで、想像を絶する困難に直面しながらも、人々に奉仕し続けてきましたが、今、破壊されてしまいました。サーメル広場の西、ウマル・ムフタール通りに位置するこの診療所は、地域医療の要であり、同種の施設の中でも最も重要な施設の一つでした。45名の職員が、人々の医療ニーズに応えるために精力的に働いていました。
 
サーメル診療所は単なる建物ではなく、ライフラインでした。提供していたサービスには以下が含まれます:

● 総合的な一次医療
● 女性向けの医療サービス
● メンタルヘルス・心理社会的支援
● 地域保健啓発プログラム
● EUの支援によるセーフ・スペース
● 循環器科、内分泌科、呼吸器科、腎臓科、栄養、眼科の専門医
● 理学療法および巡回創傷処置チーム
● 他病院の臨床検査を支える、ガザ最大の臨床検査センター

1日平均700~1,000人の患者が当診療所で治療を受けていました。絶え間ない爆撃と物資不足にもかかわらず、診療を続ける数少ない医療施設の一つでした。
今回の破壊は、より広範な攻撃パターンの一環です。過去3週間だけで、PMRSの診療所3か所が標的にされました:

● シャーティー一次医療クリニック ― 完全破壊
 ● タッル・ハワー診療所 ― 部分損壊
 ● ウマル・ムフタール(サーメル)診療所 ― 完全破壊

さらに今日、リハビリテーションと創傷ケアに使用されていたPMRSの車両1台も破壊されました。これらの意図的な攻撃は、ガザ地区にわずかに残っている医療インフラを体系的に解体するものです。

この診療所の破壊は、イスラエルによるパレスチナ人の生命への継続的な攻撃だけでなく、イスラエルが国際社会と、私たちの国際パートナーらが支持する人道原則を完全に無視していることを露呈しています。ドナーの支援を受け、長年にわたり地域社会に忠実に奉仕してきた診療所の爆撃は、イスラエルが責任を問われないことを承知の上で、またも処罰を受けずにとった行動です。国際パートナーによって支えられている医療センターを標的にすることは、国際法の明白な違反であり、政府や諸機関の沈黙は、さらなる犯罪を助長するだけです。

現地にいた私たちの同僚の一人はこう語りました。

「何もかも突然のことでした。通りで騒ぎが聞こえたかと思うと、(軍の)誰かがやって来て、この建物と区画全体を攻撃すると告げました。30分以内に避難しろと言われました。皆が慌てて外へ飛び出し、約30分後、建物は爆撃されました。ビル全体が崩壊し、区画全体が甚大な被害を受けました。報道陣が到着する前の出来事です。当時、建物内で働いていた人たちは散り散りになり、私たちはそれぞれ持ち運べるものを掴んで逃げ出しました。ほとんど何も持ち出せませんでした。」

これは単なる建物への攻撃ではありません。医療、安全の権利、そして私たちの人々の尊厳に対する攻撃です。ガザにわずかに残された医療システムさえ解体し、人々の強制移動を推し進める、組織的な作戦の一環です。

私たちは、民間人と医療施設を標的とした攻撃を、最も強い言葉で非難します。これらの行為は戦争犯罪であり、国際人道法のあらゆる原則に違反します。

PMRSは国際社会に対し、空虚な懸念表明を超えた行動を求めます。

● イスラエルに対し、制裁と包括的な軍事禁輸措置を課すこと。
● 国際裁判所および法的メカニズムを通じて、加害者の責任を追及すること。
● イスラエルによる民間人、医療、基幹インフラへの継続的な攻撃を終わらせるため、直ちに行動を起こすこと。

私たちの患者は医療を受ける権利があり、職員は安全に働く権利があり、人々は絶滅の恐怖なく生きる権利があります。イスラエルの不処罰状態を終わらせることが、これらの犯罪の継続を阻止する唯一の方法です。
 
2025年9月22日
Palestinian Medical Relief Society(パレスチナ医療救援協会)

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