タイで生活して早くも約半年が経ちました。少しずつ、いままでの体験と得たものを振り返って行きたいと思います。ガラシン県では農民活動家バムルーン・カヨタさん方に12月末までお世話になりました。カヨタさんは、日本にも何度も足を運んだことのある方で、タイと日本の食の関わりのお話などについても、多くのことを私に教えて下さいました。
日本は食糧自給率が40%にも満たないのに、世界で最も食べ物を捨てている国でもある。そして、その食べ物を生産してもらっている重要な貿易相手国の一つがタイ。鶏肉や海老だけでなく、サトウキビ由来の砂糖、水煮のたけのこ、玉ねぎなど幅広い食品がタイからやってきている。しかし、儲けるために大量に植え付けられた作物は土地を疲弊させ、時にタイの農民を困窮させることも少なくなかった。と...。
日本ではスーパーに行くと、国産とラベルの貼ってある食品は値段が高い。外国からわざわざ送られて来た食品よりも値段が高いのは、きっと物価が違うからだと思っていました。しかし、いざタイに来て農作業をして見ると、食べ物を作るということにどれだけ手間と時間が必要なのかを知りました。
例えば、ひよこもねずみのように、あっという間に成体になると思っていました。けれど、数カ月をかけてゆっくりゆっくりと育っていくのを見てきました。そして、タイの食べ物は、物価に対して特別安いわけではありませんでした。
それなら、日本で売っている外国産の安い食品たちは、一体どこでどうやって生まれてきたのか?どうして食べ物そのものの価値に見合わない値段で手に入るのか?自分の食を省みる日々でした。
タイに来て、予想外に、安いものを求めること、かつ生産の現場に関心を持たないでいることが、自分自身だけでなく社会にどんな影響をもたらすのかを考えさせられました。そして、カヨタさんと生活して、自分が日本人としてどんなに日本を無視してきたかを知りました。開発というものを考えるために、あらゆる豊かさを実現する過程で私たちは何を犠牲にしなければならないのか、学ばなければならないと思いました。