2014年12月の記事一覧
JVCアフガニスタン事業では都市から離れた活動地(ナンガルハル県シェワ郡)で2007年から教授技術の向上を目指す参加型の教員研修、つまり先生たちのトレーニングを実施しています。これまで紛争によって、人材の喪失や教育施設の破壊など、多大な被害がもたらされてきたアフガニスタン。何の指導訓練を受ける機会も得ないまま、中学校を卒業しただけで先生となった人もいます。
JVCの授業研究の特徴は、村の学校の先生たちが外部講習ではなく、同僚とともに自分たちの学校で訓練の機会を持ちながら授業創りを学ぶことです。先生たちが授業法を学び、自信を持ってわかりやすい授業をすることで、子どもたちも楽しく勉強できる教育環境を作っていくことが狙いです。
この秋、初めて女子学校で授業研究を実施しました。今回の対象校のバル・カシュコート女子学校には現在20人ほどいる教員のうちの一人が女性教員です!同じ県内でも大きな都市であるジャララバードの学校には多くの女性教員が活躍しているのですが、JVCが活動している村々では女性教員がほとんどいないのが現状です。(その唯一の女性教員へのインタビューはこちら)
11月24日、築地本願寺にて「忘れないでアフガニスタン」イベントが開催され、150名程度の方が参加してくださいました。12月4日にロンドンで行われるアフガン復興に関する国際会議に合わせて世界各地で「忘れないでアフガニスタン」というメッセージを出すための様々なキャンペーンが展開されており、日本でもそのキャンペーンの一環としてこのイベントを開催することとなりました。JVCも「忘れないでアフガニスタン」実行委員会の一員としてイベントの準備やアフガン支援に関する政府への提言書作成などを行いました。
イベントは「子供の情景」という映画上映とトークセッションの二本立てで行われました。「子供の情景」はバーミヤンを舞台にした作品で、子どもたちを取り巻く環境や戦争の影響、教育への渇望が描かれています。タリバンの真似をして「戦争ごっこ」をする男の子たちの姿が印象的でしたが、それほどまでに戦いが「日常」になっているということなのでしょう。
トークセッションは、駐日アフガニスタン大使館二等書記官のモハメド・ヤーセル・カリミ氏、アフガニスタン国内で活動を行っている日本のNGO「カレーズの会」のレシャード・カレッド氏、ADRA Japanの杉本亜季氏、外務省中東アフリカ局参事官の三澤康氏の4名を迎え、アフガニスタンの現状や今後日本に期待される役割などについて議論が交わされました。
その中で何度も出てきたのは、国際社会による支援によって改善されてきた部分も多くあるが、いまだに貧困や格差、インフラの未整備など多くの課題を抱えているという点です。そのような状況にも関わらず、アフガニスタンへの国際社会の関心は徐々に薄れており、文字通り「忘れさられている」という現実があります。また、治安の問題も顕著であり、レシャード氏の「アフガンの子どもたちは『平和』な状況を知らないのです」という言葉が胸に残りました。