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夢のある学校

パレスチナ現地調整員 津高 政志
2009年12月14日 更新

パレスチナで、解決が特に難しいとされてきた問題としてこの3つが挙げられます。国際法上のパレスチナの土地を事実上大きく奪う形で建設されている「分離壁」の問題。そして1948年以降大量に発生したパレスチナ難民の帰還権の問題。そして国際的な取り決めで東西に分裂されるも、イスラエルによって勝手に併合されたエルサレムの問題。その3つの問題全てが集中している場所があります。ここはシュアファット難民キャンプ、エルサレム市内にありながら分離壁でヨルダン川西岸側に隔離されてしまった、エルサレム唯一の難民キャンプ。

(地図出典:OCHA国連人道問題調整事務所)(地図出典:OCHA国連人道問題調整事務所)

エルサレムの中でも群を抜いて治安が悪いといわれるこの小さな地域は、社会サービスが行き届かず、街の通りにもゴミが散らばっています。今日はここにある学校を、JVCの現地パートナーであるMRS(医療救援協会)のスタッフと訪れました。MRSは、ここで健康教育の出前授業と健康診断を行います。

この学校の校長先生は、教育に人生のすべてをかけている男性で、非常に夢のある話を聞かせてくれました。

夢を語ってくれる校長先生夢を語ってくれる校長先生

「この学校では現在、幼稚園児から8年生までの250人の生徒が学んでいる。20人の先生と事務員を雇っていて、一人の先生につき生徒数が多くなりすぎないようにしているんだ。上に来てみないか?」
「(建設中の学校の屋上で)今は8年生までだが、高校卒業レベルまで子どもたちを教えたいと思っている。そのために教室を増設しているんだ。ここからはよく分離壁が見えるだろう?昔はあんなものはなく、私もあの向こうで遊んでいたんだが、今の子どもたちはそんなことを信じられないだろうよ」
「UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の学校で30年勤めあげた財産を、この学校の設立に全てつぎ込んだ。まだ設立から5年しか経っていないから、設備もすべて整っていない。ちょっとこっちに来てみてくれ」
「(MRSが健康診断をしている部屋を指して)ここはこれからコンピューター室にする予定で、もう配線も準備済みだ。それからこの隣には理科の実験室を作りたいと思っているんだ。もちろんまだまだ時間はかかるがな」
「下に来てくれ、こっちには遊具のある校庭を作りたいと思っているんだ。今はただの更地だけど、これから何とかするさ。(がれきの集めてある場所を指さし)それからこの校舎の軒下、ここには動物を飼育できる檻を取りつけて、生徒が動物と触れ合う場所も作るんだ」
「(まだゴミが散らかっている下のスペースを指し)ここは緑を多くして、このオリーブの木陰で先生が野外授業をできるような場所にしたい」

学校の屋上からの眺め。手前が難民キャンプ、壁の向こう側が入植地。学校の屋上からの眺め。手前が難民キャンプ、壁の向こう側が入植地。

目に見えるのは、灰色の建物、まだ柱しかない作りかけの教室、ゴミの散らかっている地面。しかし、僕の目にも彼の夢の学校が見えてきました。都市スラムと化したこの難民キャンプで、この55歳の男性は、30年間見続けてきた夢を忘れず、ひとつひとつ実行し、着実に彼の理想の学校を築き上げています。今は灰色の学校でも、彼の目にはしっかりと未来の生徒たちが学び、遊ぶ様子が見えていました。エルサレムの中でも夢を語るのがいちばん難しい場所であることがわかっていたために、彼の理想と志の高さは感動的ですらあります。彼のような教育者が、将来のパレスチナを担う若い才能を目覚めさせてくれることでしょう。シュアファット難民キャンプは、問題の複雑さから支援することが難しい地域ですが、今度教育の支援を行っているNGOの関係者に会ったら、この学校のことを教えてあげようと思いました。

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