REPORT

世界最大の人道危機下にあるといわれるイエメンでの試行プロジェクトを開始します!

「忘れられた紛争」イエメンの置かれた状況

2014年9月に発生した内戦の影響を受け、いまなお多くの避難民を抱えているイエメン。大国の思惑を反映しての内戦だったにもかかわらず、日本を含め、国際社会からの関心が低いことから「忘れられた紛争」とも呼ばれています。

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イエメンでの調査を受けて支援の開始

JVCでは、このような状況を見ているだけでいいのか?自分たちに何かできることはないのかと団体内での議論を重ね、支援を開始するために、2022年3月にイエメン南部のアデン県に調査に入りました。

(写真)調査中の今中(右端)と伊藤(左から2人目)

そこで、紛争の影響もあり多くの国内避難民が都市に流入し人口過密な状態となっている地域があること、そしてあらゆる援助が必要とされている状況を目の当たりにしました。
 
その中でも、JVCに実施経験がありこれまで大切にしてきた自立性を視野に入れた活動、またニーズと現状のギャップが大きい活動を…との視点から、状況を分析し教育分野の課題に取り組むことを決定しました。
 
現地では教育予算も不足し、初等教育やその前に受けるべき就学前教育を希望する児童がいるにもかかわらず、受けることができない状態が続いています。
そして、教育を受けられない子どもたちがゴミ拾いなどの労働に動員されたり、子どもの世話をしなければならない保護者が仕事に就けないなどの問題も起こっていることが分かりました。

そこで今回、初めてのイエメンでのプロジェクトとして子どもたちのために奔走する教育委員会からの要請も鑑み、まずは就学前教育支援を開始します。

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紛争下で暮らす子どもたちは多くの場合、極度の心的外傷を受けています。紛争は、子どもたちの認知的、社会的、身体的発達に、長期的に大きな影響をもたらします。

そのような状況にある子どもたちに、安全な場所で友達と学習することで、その先の人生を自らの力で創り、最大限の可能性を広げていってほしいと考えています。

イエメンで実施予定の活動

主に南北に分かれた内戦の影響を受け、行政・社会サービスが停滞しているイエメン。

その影響による電力不足により、教育を管轄し、子どもの就学支援に大きな影響を与える教育委員会でも、電気機器の使用を制限され、時には気温が40度を超えるアデンにおいて行政も業務の遂行に支障をきたしています。

また教育サービスでは、避難民の増加によって教室が逼迫しています。上記の状況を受け、JVCは以下の活動を予定しています。

  • タワヒ地区アル・デアア幼稚園の教育環境改善敷地内に40人用の1教室建設。
    教室内子ども用の机と椅子(3人用×15基)、教員用の椅子(1基)、ホワイトボード(1枚)、扇風機・電灯などの必要な備品設置。
  • タワヒ地区教育委員会の業務環境改善(小型ソーラー発電システム設置)
    *同委員会は、教育を管轄し、子どもの就学支援に積極的に携わり、地域の教育環境の安定/改善に大きな役割を果たしています。

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