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ラオス 月刊JVC

月刊JVCレポート:ラオスから見えた「当事者主体の支援」の真髄

こんにちは、広報インターンの沓掛里美です!

JVCは毎月、ジャーナリスト・堀潤さんと一緒にYouTube番組「月刊JVC」を配信しています。その中から今回は、2023年4月10日に配信された月刊JVC#18「はじめてのラオス ~JVCスタッフが見た、変わる農村の暮らしと人びと~」の視聴レポートをお届けします。

この動画には堀さん、ラオス事業担当・後藤、広報ファンドレイジング担当・仁茂田、代表理事・今井が出演し、後藤と仁茂田が今年2月に新事業地・セコン県に出張した際の様子をお伝えしました。

ラオスは東南アジアの小さな自然豊かな国ですが、近年ではプランテーション開発などにより、人々が森とともに生きる今までの暮らしが脅かされるようになってきました。そのような中JVCは、地元住民の方たちと一緒に森林や川の資源を守る仕組みづくりに取り組んでいます。

この動画は楽しい旅番組のような雰囲気で始まり、一貫してソフトな雰囲気でありながら、一見しただけでは分からない当地の問題を明らかにしていきます。それを目の前で見てきたスタッフたちが、「当事者主体の支援」とは何かということについて大切なことを語っています。

月刊JVC#18 「はじめてのラオス ~JVCスタッフが見た、変わる農村の暮らしと人びと~」まとめ

はじめに、2人が出張時に仕立ててもらったという伝統的なスカート・シンが披露されました。

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一枚一枚オーダーメイドで仕立ててもらうそうです。日本でも着やすいようにシンプルなデザインのものを選んだとのことですが、2人ともとても似合っています...!

続いて、ラオスの概要が説明されました。

セコン県の人口は13万人で、これは後藤の出身地である東京都・青梅市の人口に匹敵するそうです。

セコン川が見える場所で味わったランチには、もち米や魚といった現地の食材がふんだんに使われていたそうで、私もラオス料理を食べてみたくなりました!

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ピンクのシャツを着ているのが現地代表の山室ですが、ラオスの方の中に大変自然に溶け込んでいます...

このほか、訪問先にはおしゃれなカフェやパブ、きれいな滝などもあり、一見すると「支援先」という感じはしません。

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セコンの方おすすめの滝に、JVCの日本人スタッフ3人で行った時の様子

では、なぜこの地にJVCの支援が必要なのでしょうか?

その問いに、「森はお金のいらないスーパーマーケット」「不安で夜も眠れない」などのキーワードで迫っていきました。すると、目先のことを考えると開発は必要ではあるものの、将来のことを考えると不安でたまらないという、地元の方の葛藤も見えてきました。

そのような中JVCが行っている活動には具体的にどのようなものがあるのか、ということが次に紹介されました。

ラオス法律カレンダーの作成、コミュニティ林や魚保護地区の制定などについて、印象的だったエピソードなどとともに詳しく説明されています。

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ラオス法律カレンダー。実生活の場面を想定したマンガも描かれています

最後に、スタッフからのメッセージがありました。

「見えにくい」問題であることの難しさや、あくまで現地の人を主役にJVCはできることをやっていく、という姿勢の大切さなどが語られました。

堀さんと今井がタイミングよく質問を挟み、視聴者の方からのコメントも取り上げつつ議論が進められるなど、みんなで一緒に作り上げられた番組となっていました。

動画を見て、大学生インターンが考えたこと

ここからは、インターン生・沓掛の個人的な感想です。

実は、JVCでインターンを始めるまで、私はラオスについてほとんど何も知りませんでした。そんなラオス初心者の私にとって、動画の前半で国の基本情報や綺麗な景色、食べ物の話などでこの国に引き込んでくれたのはとても良かったです。

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ラオスの概要紹介が見やすかったです

しかし、だからこそ、厳しい現実との対比がより一層際立つのかもしれません。

ラオスでは、ベトナム戦争時の不発弾がまだ大量に地中に残り、近年では住民の意向を無視した経済開発も進んでいます。

一方こうした状況は、地元の方にじっくりお話を聞いていかなければ見えてきにくいことです。

以前の私のようにそもそもラオスという国についてあまりよく知らないという人も多い中、当事者の声を聞いてそれを社会に広く届けていくという、JVCの活動意義が改めてよく分かりました。

また動画の中で、「当事者主体の支援」ということが繰り返し言われていました。

中でも私の心に残ったのが、「相手のほうから参加しに来てくれるまでひたすら待つ」という姿勢でした。

支援者の活動に意義を感じていないから相手は来ないのであり、本当に必要だと思ったら来てくれるだろう、というのです。考えてみれば当たり前のことですが、ここに「当事者主体の支援」の真髄を見たような気がしました。

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魚保護地区設置式典と看板設置の様子

当事者は、「非力な可哀想な人たち」ではありません。どうするのが自分たちにとって一番良いのか常に考えている、主体的な人間たちです。そのことは、プランテーション開発の契約を受けるかどうか、村に対するメリット・デメリットを勘案して葛藤する1人の村長さんのお話からもよく伝わってきました。

そのことを忘れ、当事者を置き去りにした支援者主体の支援にならないよう、意識することの重要性を強く感じました。

ラオスや東南アジアに関心のある方、国際協力や民際交流のありかたについて考えてみたい方、どなたもぜひ月刊JVC# 18「はじめてのラオス ~JVCスタッフが見た、変わる農村の暮らしと人びと~」をご視聴ください!

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