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2015年11月30日 【 浦島地区振興会の取り組み

旧浦島小学校の施設利用について考える【5】
~『バカ者』になれる人が必要!~

震災支援担当 石原 靖士
2015年12月 2日 更新

10月10日から12日の日程で富山県および石川県への視察を行いました。この視察の目的は、廃校活用や地域づくりに関する事例について学び、視察を通じて得た知見を旧浦島小学校の施設利用の検討や地域づくりの取り組みに生かすことです。視察には、JVCスタッフのほか、浦島地区振興会の役員や地区住民ら8名が参加しました。

視察初日、富山市で閉校した小学校の運営を行う「NPO法人こば」を訪問しました。(今年5月の講演会では、「NPO法人こば」理事長の水本三郎(みずもとさぶろう)氏、事務局長の平沢義孝(ひらさわよしたか)氏を講師として招きました。)築60年ほどの趣のある木造校舎を見学した後、「NPO法人こば」のメンバーと廃校施設の活用に関する意見交換を行いました。「もし、お金や使途の制約がなかったら、廃校施設を活用してどのようなことをやってみたいか」というテーマで、参加者がそれぞれに意見を発表しました。浦島地区から参加したメンバーからは、「浦島地区の歴史や文化を伝える資料館」、「新鮮な海産物を使った料理を提供する食堂」、「授産施設(障害者や高齢者が水産加工の作業を行う場)」といった様々なアイディアが出されました。また、平沢氏からは、「失敗を恐れず、使いたい人がやりたいことに校舎を使うことが大切」というお話がありました。

2階にある「里山カフェ」コーナー(NPO法人こば)2階にある「里山カフェ」コーナー(NPO法人こば)
廃校施設の活用に関する意見交換(NPO法人こば)廃校施設の活用に関する意見交換(NPO法人こば)

翌日、石川県鳳珠郡穴水町で小学校の空き教室を活用し、地元の食材を使った郷土料理を提供している「かあさんの学校食堂」を視察しました。この小学校の校舎は、築15年ほどの比較的新しい施設で、現在は、「かあさんの学校食堂」として活用されているほか、一部の教室が大学の研修施設やバンドの練習場所として利用されています。この食堂は、地域のお母さん方6名により運営されており、週末は、観光客向けの季節御膳、平日は、役場の職員等向けの弁当を提供しています。スタッフの方から「ただ家にいるよりも、こうして集まって、楽しく料理をつくっていた方が良い」といった声が聞かれました。また、意見交換の際には、「無理せずやることが大切」といった事業を継続する上でのアドバイスがありました。

家庭科室を調理室として活用(かあさんの学校食堂)家庭科室を調理室として活用(かあさんの学校食堂)
食堂の様子(かあさんの学校食堂)食堂の様子(かあさんの学校食堂)

続いて訪れた「春蘭の里」は、石川県鳳珠郡能登町にて、農家民宿を開業し、農村の再生に取り組む事例として全国に知られています。現在では、47軒の農家民宿があり、「田舎にあるものを食べてもらい、田舎の良さを体験してもらおう」と県外や海外から多くの来訪者を受け入れています。また、この地区では、閉校した小学校を宿泊施設(宮地交流宿泊所「こぶし」)として活用しています。この施設には、ユニットバスや台所を備えた客室10部屋、研修室、食堂、自炊ができる炊事場などが整備されています。施設の運営に関しては、能登町から指定管理を受託している「NPO法人こぶし」が行っており、客室10部屋をオーナー制で運用しています。ヒアリングの際、「春蘭の里」事務局長の多田喜一郎(ただ きいちろう)氏より、「地域づくりの取り組みを始める際、初めから地域全体を巻き込もうと思ったら事業は進まない。ある程度、一部のメンバーで引っ張っていくことも大切」、「事業を推進するには、『バカ者』になれる人が必要」といったアドバイスがありました。

廃校施設を活用した宮地交流宿泊所「こぶし」(春蘭の里)廃校施設を活用した宮地交流宿泊所「こぶし」(春蘭の里)
農家民宿の夕食(春蘭の里)農家民宿の夕食(春蘭の里)

最後に、4つ目の視察先となる「NPO法人やすらぎの里 金蔵学校(以下、金蔵学校)」を訪問しました。「金蔵学校」は、イベントを開催し、交流人口の拡大を図るとともに、移住による棚田耕作の担い手の確保や特産品の販売などを行っています。「金蔵学校」理事長の石崎英純(いしざき えいじゅん)氏より、その取り組みについて説明して頂きました。

意見交換の際、石崎氏より、「組織として事業を進めるには、(合意形成のために)多くの時間や労力を要する。組織を重視し過ぎると事業はなかなか進まない」、「考えているだけでは何も始まらない。まずは実践してみることが大切」といったアドバイスを頂きました。また、以前、この集落にあった小学校についてもお話を伺いました。平成9年3月、児童数の減少により、地域の中心的な存在であった小学校が閉校しました。その後、その処遇を巡り、住民の間で激しい議論が交わされましたが、最終的には、維持費の負担などを理由に体育館以外の小学校施設は解体されることになりました。地域住民の拠り所であった小学校を失ったことで、地域全体に喪失感が広がる等、大きな影響が生まれたようです。今回、「金蔵学校」で伺ったお話は、今後、旧浦島小学校の保存や活用を本格的に議論していく浦島地区において、大変参考になりました。

地域づくりの取り組みについて説明を受ける参加者(金蔵学校)地域づくりの取り組みについて説明を受ける参加者(金蔵学校)
金蔵集落を見学する様子(金蔵学校)金蔵集落を見学する様子(金蔵学校)

北陸視察の報告会の様子北陸視察の報告会の様子

11月23日には、旧浦島小学校にて、北陸視察の報告会を開催しました。当日は、視察に参加した住民から訪問した4つの事例について説明がありました。また、視察の参加者から「旧浦島小学校の施設利用の検討について、期限を決めて進めていかないと話し合いだけで終わってしまう」、「一歩踏み出して実践することが大切だと感じた」、「視察した地域と比べても、海や山の幸が豊富な浦島地区は恵まれている。浦島地区の魅力を突き詰めて、浦島地区でしかできないことをやっていきたい」など、視察を通じて感じたことや学んだことが語られました。

浦島小学校が閉校してから現在に至るまでの間、JVCは、浦島地区振興会とともに、廃校活用に関する講演会や先行事例の視察、意向調査を実施し、旧浦島小学校の施設利用の検討を行ってきました。しかしながら、意向調査や話し合いの中では、様々なアイディアが出されるものの、議論が本格化せず、未だ具体的な活用方法が見出されていないのが現状です。今回の北陸視察を通じて学んだことは、「廃校活用を実践に移すポイントは、『バカ者』になれる人、本気になれる人がいるかどうか」ということです。今後は、北陸視察やこれまでの活動で蓄積してきた知見を生かし、一歩踏み込んで、旧浦島小学校の施設利用の検討を進めていきたいと思います。


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