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バンコクで開かれたTPPセミナーにJVC理事・天明氏が登壇

タイ事業担当 下田 寛典
2016年1月13日 更新
約70名が集まったTPPセミナー約70名が集まったTPPセミナー

2015年12月18日にバンコクでTPPに関する市民集会が開かれました。これはタイのNGOのオルタナティブ農業ネットワーク(AAN)、HIV/AIDS感染者連盟、消費者連盟の3者共催で開かれたセミナーです。AANはこれまでJVCタイが活動する際に助言・協力してくれた団体です。

2015年10月5日にTPP交渉参加国12か国の間で大筋合意を得たことは記憶に新しいですが、11月27日に来日したソムキット副首相はTPPについて「タイが参加する可能性は高い」と述べました。これを受け、タイが本格的にTPP参加を今後検討しだすであろうことが予測され、AANから「TPPの日本農業への影響」についてタイの市民社会に発信したいとの希望が寄せられ、今回、JVCタイがこれに応じました。JVC理事であり「TPPに反対する人々の運動」の共同代表でもある天明伸浩氏に依頼し、今回、本セミナーに参加しました。

当日、主要トピックを農業と医療の2つに絞ってセミナーは進行していきました。医療分野では、TPPに参加することで薬の特許権が大企業に独占される可能性があること、また、新薬の開発費用がかさみ最終的には消費者負担となる可能性が高く、お金持ちしか医薬品を変えない状況が生まれることが指摘されました。さらに、タイでは薬草をはじめとした民間の伝統医療が浸透していますが、TPPによってこうした伝統医療も自由におこなえなくなる可能性があるという懸念も発表されました。

自由な種の交換ができなくなることを指摘するウィブーン氏自由な種の交換ができなくなることを指摘するウィブーン氏

農業分野でも「種」の問題が指摘されました。これまで自家採取してきた在来種や自然の種そのものが特許の対象になることで自家採取が禁止される可能性があるというのです。登壇者からは「自分で種を取り、自分で撒いて、また種をほかの農家にわけるということができなくなる。これはタイの農民文化を破壊する。そのうち農業警察という者も出てくるだろう。在来種の交換などが自由におこなわれないよう監視する「スパイ」が企業から派遣される」という話も出てきました。

TPPセミナーに登壇した天明伸浩氏TPPセミナーに登壇した天明伸浩氏

何よりもTPPの合意文書が膨大であり、それをすべて読みこむことは非常に困難であること、さらにタイは後発で参加することになるので既参加国との交渉においても後手に回ることなど本当にタイの国益に資するのか疑問を投げかけました。
天明氏からはこれまでの日本国内でのTPP参加における政府の動きと市民運動の展開を説明したのち、TPPが日本の農民に及ぼす影響について次のように説明しました。

「米の生産の現場では、今の価格でも生産コストを賄うことが難しい現状があります。しかし、日本の農民は地域で暮らしていくことを重視してコメ作りを続けてきました。そのことで地域が守られてきましたが、TPPの大筋合意のニュースが流れると、将来を悲観して農業をやめる農家も出てきています。コメ作りが続けられなければ、地域の暮らしを維持することは出来なくなり地域は崩壊していきます。」

「日本には農業委員会があり、農地の貸し借りや農地の用途変更の管理をしてきました。農業委員は市町村ごとに農民の選挙で選ばれてきました。しかし、それが市町村の首長が指名する制度になり力が弱くなっていきます。TPPをにらんで、経済特区の中で耕作者が農地を持つという制度が変わり、耕作者でなくても所有できるように変わります。農民が農地を所有し村で暮らし続ける形から、大企業が農地を支配する制度に変わりつつあります。」

ユーモアを交えながら話す天明氏の講演を聞き入る聴衆ユーモアを交えながら話す天明氏の講演を聞き入る聴衆

最後に天明氏からは、グローバリゼーションに対抗する新たな運動が始まっていることについて語りかけました。

「最近では山奥にも都会から若い人が移り住んできます。日本でも条件の悪い、住みにくい地域ですが、そんな場所に優秀な大学を出た日本の若者がやってきて、地域の人に農業を教わり、地域の人々と濃密な関係を持ちながら暮らしをすることに魅力を感じる若者がいます。彼らは経済至上主義ではなく、自然のリズムのなかで暮らすことに魅力を感じています。TPPのようなグローバリゼーションに対抗するには、豊かな人間関係の中で暮らしを作ることが重要ではないでしょうか。TPPは資本対市民の世界同時戦争と表現されます。そうではなくて、世界に暮らす市民と手を取り合い、一緒に対抗する仕組みを作りたいと思っています。」

AANのウボン氏からは、「こうして日本の経験をインプットできて本当に良かった。タイも(TPP参加に)追随していった際、合意後、どのように運動を展開していけばよいのかは未知だった。日本で現在も文章公開を求めるなどの運動をし続けているという点は学びになった。」と述べました。

AANウボン氏(中央)、天明氏(右)、筆者(左)AANウボン氏(中央)、天明氏(右)、筆者(左)
市民側からの提言をまとめ今後政府に提言書を提出する市民側からの提言をまとめ今後政府に提言書を提出する

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