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カドグリ事務所、再開

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2012年1月 5日 更新

残念な知らせが飛び込んできました。
南コルドファン州で中心的な存在だったスイスの医療系NGOが、カドグリ事務所の再開を断念し、スーダンから撤退することになったのです。

「情勢が好転するのを期待して待っていたけれど、資金提供者からは『もう待てない』と言われて財源もなくなってしまった」知り合いのスタッフは、悔しそうにそう話してくれました。
このNGOにはずいぶんお世話になりました。6月にカドグリから緊急退避をした際にも、IDカードを失った状態で国連施設にたどり着いた私を施設内に入れるために交渉してくれるなど、本当に親切な人たちです。活動に対する周囲からの評価も高く、それだけに、今回の撤退は残念でなりません。

前回の記事に書いたように、「戦地」である南コルドファン州では国際スタッフの入域が禁止、スーダン人スタッフの立ち入りも制限され、どの国際NGOもカドグリでの活動を再開できずにいます。

以前から培ってきた現地NGOとの協力関係や、地元の人々とのつながりを生かして活動の再開を目指すJVCは、本当にまれなケースと言えます。ユヌス、イルアミンという二人のカドグリ住民を臨時スタッフとして採用できたのも幸運でした。

カドグリ事務所

11月18日にハルツームを出発したユヌスさんは、バスが故障で立ち往生したり、数ヶ所に及ぶ軍の検問の通過に時間がかかったものの、翌々日の20日朝にはカドグリに到着しました。

「ユヌスさん、今どこですか?」ハルツームから電話で尋ねると、
「カドグリに着いて、さっきからJVC事務所の中にいるんだ」と弾んだ声が返ってきました。

「えっ?事務所?」

まさかもう事務所に入っているとは思いませんでした。私は少し驚いて、
「いやあ、早いですね・・それで、事務所の様子はどうですか?屋根はありますか?」

6月の市街戦の際に、ほとんどの国連事務所、NGO事務所は略奪を受け破壊されています。屋根は引きはがされ、天井据え付けの扇風機や扉、窓枠まで全て持ち去られた事務所も多いのです。

「心配ご無用だ。中は空っぽだけど、屋根もあるし、ドアも窓も全部ちゃんと付いている。そのまま使えるぞ」

「天井の扇風機や電灯はどうですか?」

「扇風機は今、回っているよ。電灯もちゃんと点いたり消えたりするぞ」
笑いながら話すユヌスさんの言葉を聞きながら、私には天井の扇風機がブンブン音を立てて回るのが聞こえるようでした。略奪は受けたものの、部屋そのものが無傷だったことは本当に良い知らせです。小さな事務所ですが、ここを拠点に活動を再開できます。

6月に略奪を受けた際に破壊された金庫が事務所の床に転がっていた6月に略奪を受けた際に破壊された金庫が事務所の床に転がっていた

緊急支援

翌日、ユヌスさんは以前からカドグリに滞在しているイルアミンと合流、JVCスタッフとしての活動を開始しました。

まずは、緊急支援用の食料の調達です。
カドグリの町からは市街戦の時にほとんどの住民が逃げ出しましたが、その後、政府軍が制圧して情勢が落ち着くとともに人々は戻り始めました。いまだに市内は兵士が厳戒態勢を敷く一方、市場は多少の活気を取り戻し、多くの商品が並んでいるようです。

ユヌスさんに市場での価格調査をお願いしました。私はハルツームの市場価格を調査し、両者を比較してハルツーム、カドグリのどちらで食料を調達するかを判断します。

今回の支援の中心となるのは現地の主食穀物であるソルガムです。日本では「モロコシ」と呼ばれますが(トウモロコシではありません)、私たちには馴染みのない穀物です。驚いたことに、ソルガムの価格はハルツームが50㎏袋で105スーダンポンド(約3,000円)、カドグリは85スーダンポンド(約2,400円)でした。戦時下で価格が高騰しているはずのカドグリのほうが安いのです。

食料が運び込まれたJVCカドグリ事務所食料が運び込まれたJVCカドグリ事務所

カドグリ周辺はソルガムの産地なので、平時であればこれは驚くようなことではありません。しかし、この状況で価格が安いということは、州内の非戦闘地域で収穫されたものが入ってくるのか、それとも隣接する北コルドファン州から入ってくるのか。いずれにせよ、政府が掌握する州都カドグリへの物流が途絶えないよう、政府軍が幹線道路をしっかり防備しているのは確かです。

「ユヌスさん、カドグリで全部買い揃えましょう」
結論は、すぐに出ました。

私たちが必要としている量は、カドグリの市場で全部揃いました。ソルガム6トン(1袋50㎏で120袋)、食用油400リットル(18リットル缶で23缶)、食塩400㎏です。ソルガムは「みんなが大好きなやつが買えたぞ」とユヌスさんはご満悦です。確かに、同じソルガムでも各地に多様な種類がある中、地元の市場で購買すれば地域の人々の嗜好に合ったものが買えます。それに、多少ではありますがカドグリ市場の活性化に貢献できたかも知れません。

ソルガム50㎏袋。右はJVC緊急支援スタッフのユヌス・ハルーンソルガム50㎏袋。右はJVC緊急支援スタッフのユヌス・ハルーン

市場からJVC事務所までトラックで運び込み、準備完了です。

ユヌス、イルアミンの2名は「市内のどの地区の避難民に配布するか」を話し合うため、カドグリの人道支援局に出掛けました。以前から顔馴染みの担当者が「おお、JVCか。久し振りだな。やっと戻ってきたか」と出迎えてくれました。

「いま、カドグリは大変な状態だ。毎日のように新たな避難民が入ってくる。到着したばかり避難民には1か月分の食料を配布することにしているが、倉庫の中の支援物資が底を突いてしまったんだ...頼む、すぐに食料配布を始めてくれないか」

乾季を迎えた州内各地では戦闘がふたたび激化。私たちの予想を超えて、多くの避難民がカドグリに流入してきていたのです。

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