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国際NGOの功罪

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2010年10月 1日 更新

南部スーダン、ジュバのセント・ジョセフ教会の日曜礼拝では、司祭が色々と刺激的な話をしてくれるようです。とは言ってもクリスチャンでない私は礼拝には行っておらず、スーダン人の友人から聞いた話ですが。司祭はある時は政治を語り、またある時は南部スーダンの独立について語ったかと思えば、今回の話は国際NGOについてです。

「私たちは、すべての人々に対してフェア(公平、公正)に接しなくてはならない」と語りかける司祭。「しかし、世間にはとてもアンフェア(不公正)なものがある。たとえば何か。南部スーダンにいる国際NGOを見てみるがよい」

「彼らは『スーダンのために活動している』と言っているが、果たしてスーダン人に公平な雇用機会を提供しているのか?答えはノーだ。スタッフとして雇用するのは、他のNGOから転職してきた経験者ばかりで、同じ顔ぶれがいくつものNGOの中をグルグル回っているだけだ。経験がない人間は永遠に採用されることがない。これをアンフェアと言わずして何と言おうか」

これには、思わず拍手してしまいました。

「同じ顔ぶれがグルグル」というのはその通りで、国際NGOで働いているスーダン人の友人に久しぶりに会うと違った国際NGOで働いている、ということがよくあります。求人募集の条件にはよく「経験5年以上」などと書かれていますが、内戦中に就業機会が限られていたことを考えれば、一般的な南部スーダン人にとってこれは「高すぎるハードル」と言えます。私たちの車両整備士養成コースの卒業生たちも、この「経験年数規定」にはずいぶん泣かされました。

しかし、国際NGO(私たちもそうですが)にも言い分はあるでしょう。内戦後の救援、復興過程の事業ではスタッフを育成する余裕は少なく、限られた期間で成果を出すためにどうしても即戦力として経験あるスタッフに頼らざるを得ない、人材育成については職業訓練などの「事業」として実施しているのだから批判されるいわれはない、などなど。

2009年度をもって事業を終了したJVC車両整備工場の研修生たち(当時)。彼らの多くも国際NGOや援助機関への就職を希望していた(実際にできたのは1名)。2009年度をもって事業を終了したJVC車両整備工場の研修生たち(当時)。彼らの多くも国際NGOや援助機関への就職を希望していた(実際にできたのは1名)。

「国際NGOの功罪」なんてタイトルを付けてしまいましたが、今回の話題は「罪」のほうです。例えば、司祭が指摘したような「採用の門戸を開かない」ことが罪なのか?

「国際NGOの活動目的は雇用機会の提供ではないから、これは罪にならない」というのは正論です。しかし問題は、国際NGOがひとつの「業界」として地域の「主要産業」になってしまっていることではないでしょうか。そうであれば、みんながそこで働きたいと思うのは当然ですし、採用の門戸をもっと開け、という司祭の言葉も理解できます。そして国際NGOがそのことに無自覚であるなら、それは罪と言えるかも知れません。

日本では、まだまだ「NGOで働いています」と言うと「それって何ですか?」と言われることが多いのですが、南部スーダン、特に中心都市のジュバでは「NGO」は誰もが知っている存在です。道ゆくクルマの何台かに1台は国連かNGOの車両、町には世界の巨大NGOの事務所が立ち並び、NGOの見本市をやっているかのようです。そして住民にとって国際NGOとは「ボランタリーな援助団体」ではなく、教育、保健、医療などの分野で政府と同列の行政サービス提供者なのです。

本来、国際NGOの活動は、その期間においても役割においても限定的なものであるはずなのに、いつの間にかそのことが忘れられてしまう。「業界」全体で経験豊富なスーダン人をスタッフとして吸引して内部でグルグル循環させているので、優秀な人間が地域や行政からいなくなってしまい、戻ってこない。他方、若くて可能性はあるが経験のない人材はこの業界には入りにくい。こうなってくると、国際NGOが地域の自立発展を阻害している、とも指摘されかねません。

「内戦後の復興期にはそれも不可抗力」という面はあるにせよ、国際NGOは、自分たちは早くいなくなった方がいい、早くいなくなるためにはどうするか、ということをもっと考えてみてよいのではないでしょうか。JVCの南部スーダンでの活動を振り返ってひとつ自慢できるとすれば、3年半の活動のあと整備工場をスーダンの人々に任せて「いなくなってしまった」ことだと思っています。

JVCが「いなくなった」後、整備工場は元々の運営主であったスーダン教会評議会(SCC)に引き継がれ、整備士養成研修コースも継続されている。JVCが「いなくなった」後、整備工場は元々の運営主であったスーダン教会評議会(SCC)に引き継がれ、整備士養成研修コースも継続されている。

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