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ヌバ山地の旅(スーダン旅日記その3・前編)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2009年10月 1日 更新

スーダン旅日記
第3回目、南コルドファン州ヌバ山地の訪問記(前編)です。


前回の旅日記でご紹介した訪問地、マラカルを飛び立った国連の小型プロペラ機は、ナイル河を飛び越えて北西に向かいます。20分も飛べば、もうそこは「南部スーダン」ではなく、南北境界付近の暫定地域(註)のひとつである南コルドファン州ヌバ山地です。

飛行機から見たヌバ山地。丘のような山々が広がる飛行機から見たヌバ山地。丘のような山々が広がる

ヌバ山地は、スーダンの中央に広がる丘陵状の低い山々。そこにはヌバと呼ばれる人々が住んでいます。しかし「ヌバ」とは単一の民族グループを指すのではなく、50あまりの異なる言語を持つ、様々なグループの総称です。肌の黒いアフリカ系に属するヌバの人々は、アラブ系を主流とする北部スーダンにおいて周縁化された存在として差別を受け、その不満から、内戦中は多くの人々が「反政府軍」である南部のSPLA(スーダン人民解放軍)に加わったと言われます。一方で、北部側にリクルートされた兵士、北部の影響下に置かれた村もあり、ヌバの人々は二つに引き裂かれ、内戦中は激しい戦闘により多くの村が破壊されました。

滑走路以外には何の施設もない飛行場に降り立ち、迎えに来てもらったクルマで宿舎に向かいます。車窓には、これまで旅した南部スーダンとは全く違う光景が広がっていました。雨が少ないためか、山々には木々が少なくむき出しの岩肌も目立ちます。しかしその斜面には、テラス状に石組みをした段々畑が美しい弧を描いて幾重にも広がっています。畑の合間には、小石を積み上げて作った家々。人々はふもとの平らな土地ではなく、山腹や頂上付近を好んで住んでいるようにも見えます。初めて訪れたヌバ山地の印象は、私の脳裏に焼き付いて離れません。

夕暮れ時、外に出てみると、山あいのためか寒さを感じるほどの涼しさです。この地域でNGO活動を行っているハルーンさんと散歩がてら話をしました。私が南部スーダン首都のジュバから来たと知って、「このあたりは内戦中の激戦地だけれど、今は静かでジュバよりもよほど安全ですよ」と笑うハルーンさん。「内戦中にこの村は南部についていたので、今でもアラブ系の人を『北部の人間』と思って警戒しているようです。でも、あなたのような外国人なら一人で村を歩いても大丈夫」なるほど、自転車に乗って通り過ぎる人も、牛を追って家路につく子供たちも、私たちを見ると手を振ってきます。

斜面に連なるテラス状の畑斜面に連なるテラス状の畑

斜面に向かって広がる畑には、まだ何も植えられていないようです。ハルーンさんによれば「今年は雨の降り始めが遅く、まだ種まきをしていない人が多い」そうで、今から収穫量の不足が心配されていると言います。「このあたりでは主にソルガム(モロコシ)が栽培されていますが、ほかに主食用の作物がないので、ソルガムの収穫が悪いとすぐに食料不足になってしまいます。多くの人がハルツームなどの都市に出稼ぎに行き、その送金で生活を補っているのが実情です」とのこと。

翌日、市場がある村の中心から、乗合自動車(乗客をぎゅうぎゅう詰めにした四輪駆動車)に乗って南コルドファン州の州都カドグリに向かいました。約5時間の旅の前半は、ヌバ山地を縫って石だらけの山道を進みます。平地に入ってクルマはスピードを上げ、橋のない川を何本も渡り、カドグリに到着。

旅の目的は、スーダンでの新しい事業の候補地を探すための視察です。カドグリに数日間滞在して政府や国連関係者、いくつかのNGO事務所を訪問したあと、再びヌバ山地に戻り、NGOの活動現場を見学したあと国連機で南部スーダンに戻る予定でした。しかし、その数日間に何度かの強い雨。農民には恵みの雨に違いありませんが、これが私たちには災いの雨となったのでした。(続く)

(註)南北境界付近の暫定地域
南北境界付近に位置する青ナイル、ヌバ山地、アビエイの三地域は、歴史的に北部に属するものの、内戦中は南部の反政府軍(SPLA)がこの地域の一部を実効支配していた。そのため、2005年の内戦終結時に締結された「包括和平協定」では、この三地域は暫定地域と規定され、2011年の南部独立投票時に、それぞれの地域において南・北どちらに帰属するかの住民投票が行われることになっている。


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