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ジット村で乳絞り

パレスチナ現地代表 福田 直美
2009年6月 1日 更新
地図:ジット村(青で囲んだ地域)に入る手前には臨時検問所(青い×マーク)ができることも。アシーラ・アル・キッビーエ(緑で囲んだ地域)に入るにはトンネル(Pマーク)を通ってくる。どちらも入植地(紫)に隣接している(出典:United Nations OCHA oPt)地図:ジット村(青で囲んだ地域)に入る手前には臨時検問所(青い×マーク)ができることも。アシーラ・アル・キッビーエ(緑で囲んだ地域)に入るにはトンネル(Pマーク)を通ってくる。どちらも入植地(紫)に隣接している(出典:United Nations OCHA oPt)

カラッと気持ちよく晴れた週末、友人の家族を訪ねに、アシーラ・アル・キッビーエ村とジット村へ行ってきました。どちらもナブルスの手前にある村で、ラマッラーからナブルスへ向かい、ナブルスに入る検問所の手前で西にカルキリヤ方面に曲がった道にあります。

アシーラ・アル・キッビーエに入るには、道路から一旦下りて道路の下のトンネルをくぐっていきます。「この村のすぐ南にある入植地に入る道を建設するんだよ。ほら、イスラエルのイスラエル警察のジープが見えるでしょう。村の敷地内に入ってるんだ」と友人が説明してくれました。

アシーラ・アル・キッビーエに入る“トンネルアシーラ・アル・キッビーエに入る“トンネル

この村に住む友人の家でお母さんの作ったお昼ご飯を食べて、さて、農作業です!庭にあるミツバチの巣箱の上の木の枝に、ミツバチが何千匹も固まっています。「あそこに巣を作ろうとしているんだ。巣箱に女王蜂が2匹作られてしまったから、1匹が外に出たんだよ」。「あの枝ごと切って下ろして、空の巣箱に入れるよ。木に登らなきゃな。ハシゴ持ってきて」。

えー木に登るの?とビビッた私に「下で巣箱用意して」って、そっちの方が怖い!すっかり腰が引けてしまった弱気な私は、木から離れて観察することに。(以前油断していたら刺されたことがあったので、この日はしっかり防護服を来て、カメラも持ちませんでした。写真がなくて残念!)

ミツバチたちは、自分たちの女王蜂の「匂い」を覚えていて、数キロメートル花粉を集める旅に出てもその匂いのもとに帰ってくることが出来るそう。ただ、いきなり数メートル女王蜂の場所を動かすと、ミツバチたちは迷ってしまうのです。ミツバチたちが迷子にならないよう、ゆっくり枝を下ろします。数分後、箱の中にきちんと納収まりました。かわいそうな迷子のミツバチたちが数十匹、ぶーんぶーんと木の枝のあった辺りを飛び回っていましたが、なんとか引越しに成功しました。

一仕事終えて(何もやっていない)、ジット村へ別の友人の家族を訪ねに移動します。ジット村のすぐ側にはカドゥミム入植地が数百メートルの距離にそびえ立ち、その入植地建設のために、豊かな農地が奪われてしまいました。

「去年の春なんて、1,000本以上のオリーブの木が抜かれたの。カドゥミムに住む入植者たちよ。お年寄りの農家も襲われたわ」と近所の女性は言います。
この女性は40年以上この村に住んでいますが、「入植地ができたのは1970年代。その時はすぐ隣だったカフル・カドゥム村と、ジット村の土地が奪われ、その間に入植地ができたのよ。当時を見る影なんてないわ」と嘆きます。

機械で乳を搾られる牛さん。私が手で搾るよりいいらしい。機械で乳を搾られる牛さん。私が手で搾るよりいいらしい。

ジット村では、牛の乳搾りが待っていました。朝と夕方の2回。驚くことに、私たちが準備を始めると、それを見た牛たちが「搾ってー」といわんばかりにモーモーと集まってきました。まずはホースの水でお乳をきれいに洗います。ビロードのように艶やかな体、円らな瞳、牛ってキレイ・・・とうっとり撫でていたら、尻尾でパシッとやられました。「遊んでないで、搾ってよ」といったところでしょうか。

おじさんはテキパキと慣れた手つきで、一頭ずつ牛のお乳を機械で搾っていきます。そして乳搾りが終わった牛は何ともさっぱりした顔で、言われもしないのに「退場」していくのです。最後の一頭、「やってみたい!手で!」と手での乳搾りに挑戦した私。親指を中に入れて手を握るようにするのですが、ゴムチューブをぎゅーっと握るようで、なかなか力がいるのです。「速く搾らないと牛が欠伸してるよ」「ああ、彼女の手は小さいからね(笑)」なんて見物に来た近所の子どもたちにまで笑われ、潔くギブアップ、後半は機械にお任せしました。機械だと一頭3〜5分ほどで終わってしまうのです。

私がギブアップした最後の一頭。手前で「見守る」のは種牛。「今日はやたら時間がかかるね」私がギブアップした最後の一頭。手前で「見守る」のは種牛。「今日はやたら時間がかかるね」

80歳を超えるお母さんは、煮沸した搾りたての牛乳を出して、「私の小さい頃は機械なんてなかったわ。毎朝学校に行く前、毎晩ご飯の前に、家族総動員でやっていたのよ。今だってできるわよ!太っちゃって体が曲がらないけどね」と笑って言いました。小さい頃から、その当時は近くにあった泉に水を汲みにも行っていたそうです。懐かしそうな表情で60年以上前、イスラエルが建国される前の「パレスチナ」だったその当時を語るお母さんは、80歳にはとても見えない若さです。夕陽に染まるナブルスを見ながら当時のパレスチナを思い浮かべて、そして、「若くいるためにはやっぱり体を動かさなきゃ」―自らにそう言い聞かせて、ジット村を去りました。

夕陽に染まるナブルスを背に。乳絞りの間、弟の面倒を見る女の子夕陽に染まるナブルスを背に。乳絞りの間、弟の面倒を見る女の子

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