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ビッドゥ村クリニック

2008年1月24日 更新

PMRS(パレスチナ医療救援協会)が、ヨルダン川西岸地区で運営しているクリニックの多くは、壁や入植地、入植者専用道路などの建設により隔離されてしまった村にあります。この日は、ラマッラーの西南に位置するビッドゥ、ベイト・アナン、ベイト・ドゥッコのそれぞれの村のクリニックを訪ねました。この周辺の村全体の人口は、3万人を超え、エルサレム側からは壁やフェンスで隔離されています。この地域の人々は、以前は多くの人がエルサレムに仕事に出ていましたが、アクセスが厳しくなったことにより、多くの人が仕事を失いました。

ビッドゥ、ベイト・アナンなどの村に行くには、ラマッラー(地図右上)からもエルサレム(地図右下)からも、チェックポイントを越えなければいけない(出典:United Nations OCHA oPt)  ビッドゥ、ベイト・アナンなどの村に行くには、ラマッラー(地図右上)からもエルサレム(地図右下)からも、チェックポイントを越えなければいけない(出典:United Nations OCHA oPt)  

エルサレムからこの村に行くには、ラモットという入植地の側の検問所を越えて、細くうねった山道を越えていきます。ラマッラーから来る場合は別ルートでかなりの大回りをしてこなければなりません。この日はエルサレムからラムジー先生と行ったのですが、「エルサレムからもラマッラーからも、以前は15分しかかからなかった道のりが、今では30〜40分かかるんだよ。緊急の手術などを要する患者さんはラマッラーの病院まで運ばなければいけないけれど、移動中に命を落とす危険性だってある。ほら、以前はこの道を通れていたんだよ」と、完全に封鎖された道の入り口を見せてくれました。

以前は通れていた最短ルートの道は完全に封鎖されている 以前は通れていた最短ルートの道は完全に封鎖されている

ビッドゥ村クリニックには、2人の医師、3人の保健指導員が駐在します。村には他にもプライベート・クリニックもありますが、高額で村の人たちはなかなか利用できないとのこと。PMRSのクリニックでは、診療を受け処方箋を受け取るのには診療代金はかかりません。薬をクリニックで処方される場合のみ、薬代として3NIS(約90円)を払うのです。このクリニックには、毎日それぞれ子ども、女性、高齢者など50〜60人がやってきます。

子どもと一緒に定期的に診療を受けに来るお母さん 子どもと一緒に定期的に診療を受けに来るお母さん

PMRSのクリニックでは、“Well-Baby Clinic”というシステムを導入しています。これは、0歳から5歳児の子どもの成長記録や病歴、ワクチン接種、またお母さんたちの体調や受講した講習の記録など全ての細かな情報を記録していくシステムです。お母さんたちに対する教育も同時に行っており、毎回20人のお母さんが参加するそうです。この講習で、お母さんたちは出産や子育てに関する知識だけでなく、元気や自信も得ているそうです。また、家族ごとのカルテも作っており、家族の病歴なども把握できるようになっています。

サナーさん(右から2人目)と女の子たち サナーさん(右から2人目)と女の子たち

ビッドゥの後、ベイト・アナン村のクリニックを訪れました。ここでは、サナーさんという心理・社会学の専門家の女性が小学生の女の子たちを集めてクラスを行っていました。サナーさんは普段、村の学校を訪れて子どもたちの精神ケアを目的としたクラスを行っています。その中でも発言が少ない子などに声をかけ、クリニックで特別クラスを開いているとのこと。長女なので家の仕事を手伝わなければならず友達と過ごす時間がない、などの悩みも、サナーさんには話せるようです。ラマッラーにはどのくらいの頻度で行くの?と女の子たちに質問すると、「イードのお祭りの買い物とかで、年に1度か2度。とっても楽しみで、ワクワクして前の日は眠れないの」と、参加していた女の子たちは口を揃えて言いました。将来の夢は?と言う質問には、「お医者さん」「サナーさんみたいな心理学専門家」「学校の先生」などの答えが返ってきます。サナーさんは、「町からも隔離され、なかなか外にも行けないという閉鎖された環境は、想像以上に子どもの創造力を圧迫しています。子どもたちがこのクラスを通して元気になってくれればと思います」と話しました。

イスラエルによる西岸内の封鎖は、教育、医療、仕事などへのアクセスを困難にすると同時に、子どもたちの精神的ストレスも生み出しています。コミュニティーに根付いたPMRSの活動は、人々の体の健康だけでなく、心の健康も支えているのです。


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