アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

ガザ:エジプトとの境界が開いた!

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2008年1月25日 更新

ガザに入っていた1月23日の朝、一大ニュースが飛び込んできました。「エジプトとの境界が開いた?!」というものです。明け方に境界になっていた壁が爆破され、朝からガザの人達がエジプト側のアリーシュという町に殺到しているとのこと。

訪問先のNGOでもその話で持ちきりです。大学生と高校生の娘がいる友人は、「娘が行きたいと言っている。どうしよう?」と悩んでいます。娘たちはガザでの閉塞状態にかなり参っている。連れていってあげたいけど、前日は国境で騒ぎになって、女性が負傷者する出来事もあったし。母親としては娘に危険な目にあわせるわけにはいかない。でも、いつ閉鎖されるかわからない。行くなら早く行かないと。友人が悩んでいる間に、彼女の友人は早速アリーシュに行こうとして、タクシーを予約しようとしたが、すでにその日のタクシーは全てアリーシュに行ってしまい、翌日にしか予約が入らないといいいます。前の日は燃料がなくて街中ではタクシーや車はほとんど見なかったけれど、今朝もタクシーや車をほとんど見かけないのは、どうやらこぞってアリーシュに行ったからのようです。この機会にガソリンや軽油をアリーシュで買って蓄えておきたいようです。

ガザでは、全てが不足しています。ミルクもコーヒーもチョコレートや紙や洗剤などの日用品から、停電のときの蝋燭や、もちろんガソリンや灯油などの燃料も全てが希少でそして値段が倍増しているのです。そうした物資をエジプト側のアリーシュで買うために、ありたけの現金を親族からかき集めて、買出しに行くようです。でも多くは買い物よりも、「刑務所化」したガザから、一歩外に出て「自由を味わう」ことに、目的があるようです。全てが不足し「刑務所化」したガザでは、寒い家の中で、毛布に包まってじっとしている人がほとんど。彼らにとって、エジプトに行けるということは、家に「監禁」されているストレスから、一瞬でも解放される特別な時。ちょっとした「家族旅行」しかも「海外旅行」、またとない一大イベントなのです。

エルサレムに戻った木曜日、ガザの友人と電話で話しました。翌日は金曜日で仕事は休み。「明日はアリーシュに行くの?」友人はまだ迷っています。「いつ突然閉鎖するかわからないし、その騒動に巻き込まれたくないの。」「でも、娘さんがそんなに行きたいなら、1時間だけでも外の空気を吸わせてあげたら」と私。でも無責任なことを言って、騒動に巻き込まれても困るので、強くは言えない。

でも、この友人もアリーシュに駆けつけた人達も、タクシー代を払ってエジプトで物を買う現金が捻出できるまだ恵まれた人達なのです。私たちが支援しているウム・アル・ナセルのように9割が失業しているような家庭には、そんなことをする現金はありません。そして、このような家庭がガザの半分以上を占めているのです。

エジプトとの国境が一時的に開いたことは、言って見れば「束の間のお祭り」。エジプトとの国境が閉鎖されるのは時間の問題で、イスラエルがガザに入る全ての物資を管理している現状は変わらないし、またいつでも燃料や物資を止めることができるのです。ガザに必要なのは、自由貿易と開発支援による経済の活性化で、ウム・アル・ナセルのような貧困村の人達も仕事が見つかり、支援に頼らなくても自立した生活ができるようになることです。残念ながらそれが実現するにはまだ時間がかかりそうです。それまでは、私たちは彼らが自らの生活と健康を何とか維持しようとする努力を支え続けていきます。


団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net