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エリコでの事件と女性たちの研修旅行

パレスチナ現地調整員 藤屋 リカ
2006年3月16日 更新
前回のミーティングの様子前回のミーティングの様子

ベツレヘムのベイトジブリン難民キャンプ・ハンダラセンターの女性刺繍グループ(関連記事No.138,No.139,No.146,No.147,No.149)では不定期でミーティングを持っていますが、前回のミーティングで、子どもたちにはサマーキャンプ(関連記事No.127,No.128,No.129,No.130)があるのだから、自分たちにも出かける機会が欲しい、との強い要望がありました。

エリコ入り口付近エリコ入り口付近

パレスチナは今短い春で、子どもたちも日帰りの修学旅行に出かけます。ベツレヘムの高校生の場合、行き先はエリコが多いようです。女性たちからもエリコに行きたいと!との声が挙がっていました。海面下400mにあるエリコは、年中暖かい砂漠の中のオアシスで、世界最古の都市としても知られ遺跡も多く、観光と農業が産業の小さな静かな町です。

エリコにはパレスチナでは先駆的な女性グループのYWCAエリコがあり、コンピュータ、ヘアドレッサー、洋裁等様々な研修を行ってきました。経済悪化の対策として食品加工業も始めました。主に地元で生産された化学肥料・農薬を使わない野菜や果物を使った加工品で、レモネードやマーマレード、ナツメヤシのお菓子、パレスチナ版餃子やピザ等は地元の店に卸し、乾燥ハーブ、クスクス等はフェアトレードとしてイタリアにも出荷しています。私もジャムや蜂蜜等はここから買い、日本から来客の時にはここの加工品やお菓子を準備、お土産にも使っています。

昨年の母の日はパーティーでした昨年の母の日はパーティーでした

ハンダラ女性グループの刺繍の仕事は不定期で、女性たちは収入を必要としているので、活動拡大のアイディアは必要です。そこで3月24日にYWCAの視察を含めたエリコ研修旅行の計画を始めました。3月21日は母の日でそれに合わせたささやかなイベントとの思いもありました。

3月14日はハンダラ女性グループの代表とエリコ研修旅行の打ち合わせを予定していました。しかしイスラエル軍のエリコ刑務所の襲撃により一転、打ち合わせどころではなくなりました。

14日の早朝、エリコ刑務所の米国と英国の監視団が撤退、直後にイスラエル軍が戦車とブルドーザーで突入しました。目的はエリコ刑務所に収監中のパレスチナ人民解放戦線(PFLP) のサアダト議長を捕らえることでした。議長には2001年にイスラエル観光相殺害指揮の容疑がかけられ、2002年にイスラエル政府とパレスチナ自治政府の交渉で、パレスチナのエリコ刑務所に米英の監視付きで収監されました。パレスチナ側の調査では議長は殺害に不関与と判断が出ていたようで解放を求める声がありました。議長は先のパレスチナ評議員選挙(関連記事No.145,No.146)に立候補、当選しました。

イスラエル軍は彼と関係者を捕らえるために、刑務所のパレスチナ人を投降させ下着1枚で外に出し、戦車やヘリコプターからの攻撃を続けブルドーザーで刑務所を破壊しました。議長は夜になって捕らえられ、この攻撃で3人のパレスチナ人が死亡、数十人が負傷しました。
パレスチナ側では、様々な不満が爆発するような形で抗議行動が続き、米英系の施設が攻撃対象になりました。
同日、イスラエル側はプリムという仮装祭で、街には思い思いの格好をしていた人が繰り出していました。パレスチナの人々の行き場のない怒り、絶望感や焦燥感からの抗議行動と対照的に見えました。

事件の背景として、パレスチナ及びイスラエル双方の選挙が関連して、イスラエルは強硬な軍事攻撃に出たとの憶測が聞かれました。
パレスチナ関連では、PFLPは先の評議員選挙(関連記事No.145,No.146)で3議席を確保、多数派ハマスの新連立政権へ参加表明をしているため、イスラエルはハマスに対して新政権樹立の混乱を狙い、またPFLPが報復に出ることを見越してパレスチナ新政権の「テロ行為」を強調し各国からのパレスチナ支援の凍結の方向を強めることをもくろんでいるのではないかという見方もありました。
イスラエル側は解放される可能性のある「テロリスト(サアダト議長)」からイスラエル国民を守るためのやむを得ない作戦と強調しましたが、イスラエルの選挙は2週間後で、シャロン首相(関連記事No.141)の後継者であるカディマ新政党のオルメルト首相代行にとっては、イスラエル国民に対して安全保障へのアピールの機会にこの攻撃が使われたとの見方もありました。
パレスチナ人の友人は仕事から帰ってきてから、予期せぬ事件にテレビに釘付けで、イスラエル・パレスチナ・英米が言うことが違い混乱している、更なる死亡者や逮捕者が出ないで欲しい、と語りました。

15日、パレスチナ側では前日の攻撃に対する抗議でストライキ、各地でデモが行われました。
YWCAエリコの代表と電話で話しましたが、14日は攻撃が始まった午前10時頃はYWCAでは普通に仕事をしていてみんな非常に驚き、攻撃の激化のため仕事は午後1時頃切り上げたそうです。スタッフの中には攻撃の現場近くを通らなければ家に帰れない女性もいて、夜になってやっとたどり着けたそうです。15日は60人もの外国からの訪問者の予定で準備をしていたのにこの事件で中止になったと嘆いていました。24日には状況も落ち着くだろうからハンダラセンターの女性たちにはぜひ来て欲しいと言っていました。

ハンダラ女性グループの代表も、女性たちにとってのせっかくの機会を無くすわけにはいかないと、気持ちを切り替えて研修旅行の準備を再開、女性グループの目的を説明してバスの貸し切り料金を割り引いてもらった、との連絡が入りました。
14日の事件で楽しい研修旅行の企画が一変してしまいましたが、何とか実現するように女性たちは前向きに準備しています。


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