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国連人道問題調整事務所(UNOCHA)
イラク状況報告No.1-2

イラク事業ボランティア 井川 翔 JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美
2014年7月22日 更新

(翻訳担当:井川翔、中野恵美)

6月25日に発表されたIOM Displacement Tracking Matrix report(国際移住機関・避難状況分析報告書)によると、イラク北部のシンジャーの国内避難民数は、およそ4千から5千とされる。シンジャー市の周辺地域では、1万人の避難民が評価チームにより確認されている。シンジャー市内の状況は、特に深刻だと証言する人もいる。公園やその他公共の場、公共施設などに避難している人々がおり、基本的な支援が行き届かずにいる。市内への出入りは、深刻な治安状況により危険にさらされている。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、6月22日時点でモースルやサラハディーンからキルクークへ避難した国内避難民は、654世帯にも及んでいるとのことだ。更に500世帯が、キルクーク県内のTazaやBasheerからキルクーク市へ避難を余儀なくされている。それに加えて、今年初めに4,000世帯がアンバール県からキルクークへ避難している。
UNHCRによると、モースルおよび周辺地域からの避難民の数は、中部地域で増大中とのことだ。ナジャフ県では、160世帯に及んでいる。一部は、アルビル空港から飛行機でナジャフへ直接行き、また一部はバグダッドへ飛び、そこから陸路を使ってナジャフに到達した。ナジャフへは、今後数日間で更に多くの避難民が集まってくると思われる。一方、ニナワ県からの避難民の多くが、安全上の理由から行政当局や人道支援団体に詳細を話したがらないことが報告されている。
在ドホーク県の国内避難及び移民管理局(the Directorate of displacement and migration)によると、登録済みの国内避難民は、6,459世帯にのぼる。

Dohuk: 800世帯、Zakho: 659世帯、Sumail: 500世帯、Bardarash: 350世帯、Sheikhan: 600世帯、Aqra: 950世帯、Zumar: 2,600世帯。

アルビル県: Khazirトランジット(一時滞在)キャンプ 375世帯(1,860人)
ドホーク県: Garmawa国内避難民キャンプ 113世帯(565人)

モニタリング(監視)/ニーズ評価

アルビル

6月24日、UNAMI(国連イラク支援ミッション)、OCHA(人道問題調整事務所)、及び UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、Khazirキャンプとアルビル県の警察の検問所を視察した。チームは、警察及びキャンプで活動をしているNGOと懇談し、モースル市やHadhar地区(モースルの100km南)から来た避難民から話を聞いた。モースルから来た避難民は、モースルの治安状況は安定していると伝えた。アルビルへ移動した理由は、水、電気、燃料、ガスなどの基本的サービスが不十分なためである。パレスチナ人の世帯が8組、トランジットキャンプで見つかり、彼らは避難所以外には何の人道支援も受けていないと報告した。警察の検問所では、避難民のためのトイレが水不足のため使えない状態にある。

アルビルでは、新たにサラハディーンから来た避難民を、urban protection monitors(「都市部における保護モニター」)が確認した。彼らは、主にベイジとサマラからキルクークを経て到着した。これら6月19日に到着した家族は、移動中、アルビルとキルクークの間の検問所を通過するのが大変だったと話した。

ドホーク

UNHCRのチームは、ドホークで6,928世帯(36,839人、うち16,155人が子ども)に対し、迅速ニーズ評価を行った。モニタリングチームによると、アルビルとドホークの検問所に来る国内避難民の数は、ここ2日で減少しているとのことだ。

スレイマニヤ

スレイマニヤでは、「国境なき医師団(MSF)」がChamchamal、Kalar、及びハーナキーンでの避難民の状況は比較的落ち着いていると評価し、現在のニーズを政府の医療制度で対処できるとした。但しMSFは、障がい者の多さ(ポリオのような症状を持つ子どもを含む)及び、糖尿病や高血圧などの慢性的な病気に対する高価な薬品の不足の可能性を大いに懸念していると示した。

UNICEFは、麻疹やポリオの予防接種キャンペーンを実施すること、「母子安心スペース」を設立し、心理社会的(psycho-social)サポートやメンタルヘルス支援を提供することを発表した。
6月25日、在スレイマニヤUNAMIは、172世帯の避難民がDarbandikhan町(スレイマニヤ市とKalarの中間)に到着したという情報をGEC本部から得た。この人たちは、Kalarまでは保護され、そこからDarbandikhanまで移動し、地元当局に支援を求めたとのことだ。

6月23日、UNHCR、UNICEF、WHO、UNAMIによるスレイマニヤのKalar市(ディヤラ県のハーナキーンとの境界付近)への共同ミッションによれば、Kalar検問所周辺のコミュニティが受け入れている国内避難民の数が、200世帯から50〜60世帯に減少したとのことだ(Kalar保健局)。

ディヤラ

Baladi LNGOが、ディヤラ県内の複数の地区から避難し、ハーナキーンに落ち着いた避難民家族に対する迅速調査を実施した。
避難民の総数は、4,455世帯に上っている。

  • Bahar Tazaキャンプ(Al Rabee'l Al Jadeed)に568世帯
  • Alyawahキャンプ及びAl Yawa村の学校に632世帯
  • Batmel Arkuwaziの建設中のAl Mala'abキャンプに286世帯
  • ハーナキーンの村々に点在する学校に269世帯
  • Bakhtiyari地区に建設中の住宅に342世帯
  • ハーナキーンやディヤラ県各地の家庭に2,358世帯。

優先すべきニーズ

6月25日付けのDTM報告書によると、避難民の間で最も緊急に必要とされているのは、Core-Relief Items(CRI):テント、毛布、スリーピングマットなどである。確認された人々の95%が、冷蔵庫、発電機、衣類、家具を含む家庭用品などの必需品に事欠いている。CRIの次に必要度が高いのが、食料とシェルター:避難所である。避難民の家族の71%が食料を必要としていると答え、41%は避難所の優先順位が高い。

UNHCRによると、クルド地域の避難民は避難所が最優先事項であり、大多数が、家賃の高さから1週間以内に手持ちの資金が尽きてしまうと話した。確認された避難民の多くは、自費でホテルに滞在している。

6月25日、UNHCRの1,083世帯(6,296人)に対する現金の支援が認可された。最近分配された中には、アブグレイブでの洪水で避難した人への配布を含む。

人道的対処

シェルター

  • 6月15日より、IOMイラクは、ニナワ県のKalakchi、Talasquf、Bashiqa、Qasrokの各地域及びKhazirキャンプ、アルビル市内のKalakとBahrka地区に滞在する1,610世帯(約9,660人)に対しNFI(Non-food-Items)キットを提供している。
  • UNHCRは、クルド自治区へテント2,750組、マットレス14,050枚、ゼリー缶7,200個、ビニールシート1,200枚、調理用コンロ2,350台、灯油100、キッチンセット2,300組、扇風機100台を配布した。
  • アンバールでの危機に対してUNHCRは、Core-Relief-Items(CRI)を8,242組とテント264組を配布した。

保健

  • Ala Alwan医師が、6月24日から27日まで、4日間イラクを訪問している。訪問中彼は、クルド自治政府の首相、連邦保健大臣、自治政府の保健大臣、その他高官、国連パートナー(DSRSG/HC/RCを含む)らと懇談した。訪問の主旨は、国内避難民および難民が与える保健システムへの影響を測り、現在の危機の中でWHOが、苦しむ人々の急を要する保健上のニーズに応えるため、どのようにイラク政府を支援できるか保健当局と協議することだ。訪問中、Ala Alwan医師は保健省に、21トンに及ぶ様々な救命薬及び備品(緊急トラウマキット、interagency emergency health kit[IEHK]、下痢性疾病に対する緊急キット)を手渡した。
  • アルビル産科病院でのUNFPA(国連人口基金)の評価によると、帝王切開の数が平時の1日8〜10回から、20回まで増加している。UNFPAは、避難民10万人分のリプロダクティブヘルスキットをこの産科病院に供給した。
  • 国際下痢性疾病研究センター(バングラデシュ)より、WHOの専門家チームが、コレラやその他の伝染病の発生率を高める要因や条件を分析するため、イラクへ派遣された。コレラへの準備態勢プランの一環として、6月24日にドホーク保健局の第一線の治療専門家20人が研修を受け、コレラ患者管理のための技能を向上させた。更に6月22日には、スレイマニヤで20人が同研修課程を修了している。
  • WHOは、MSFやIMCなど保健分野で活動する国際NGOと連携し、避難民の健康状態を見極め、早急の対応計画を立案するため、避難民のいる各地域を訪問している。
  • ニナワ県保健局はWHOとUNICEFの支援により、6月24日から5日間、ハムダニヤやシンジャーなどのPHC地区にてポリオおよび、麻疹・おたふく風邪・風疹(MMR)の予防接種キャンペーンを実施するために充分な量のワクチンを受け取ることができた。
  • へき地にも予防接種のスケジュールを告知するために、WHOの支援を受けてUNICEFがコミュニティ動員及びコミュニケーションを進めている。このために、旗や風船、ポリオについてのテレビスポットを制作・放送している。UNICEFはまた、全国の予防接種担当者向けにエプロン25万枚と帽子25万個を配布した。
  • ニナワ県、サラハディーン県、ディヤラ県に必要に応じてワクチンを供給するべく、アルビルでのワクチン備蓄を拡大するための議論が行われている。
  • モースル市周辺の5つの病院(ハムダニヤ、シンジャー、タルアファル、Sheekhan、Ba'aj)は、機能している。但し、シンジャー病院では、避難民を含むタルアファルからの患者の来院で過大な負担を負っている(1日に外来患者1000人以上を診察しており、危機前の150〜200人と比べると莫大な増加である)。タルアファル病院は、医師およびその他の医療スタッフの不足に苦しんでいる。PHCCは、予防接種や母子健康サービスを実施している。ニナワ保健局は燃料不足のため、全ての医療施設において1日に勤務するスタッフを3割から5割に削減するよう要請している。
  • 国内避難民や難民のニーズに対する人道的対応を議論するため、ドホーク、アルビル、スレイマニヤで保健と栄養のworking groupによる一連の調整会議が開かれた。また、各種機関間のニーズ評価も実施された。その一環で、6月23日にアルビルのKhazir国内避難民キャンプ及びスレイマニヤ県のKalar地区内の国内避難民滞在地を訪問した。
  • アンバールからの状況報告

    • アンバール保健局の救急隊は、 燃料の不足及び価格高騰のため、ラマディの中央病院への患者の移動が困難になっている。また、保健局の建物内にある燃料備蓄タンクは、3ヶ月以上アクセス不能になっており、状況を更に悪化させている。
    • ファルージャでの保健サービスについては、現在、中央病院のみ緊急患者に対応しているものの、常駐医師の数が限られ、院内の外来患者用施設は殆どが閉まっている。

    水、衛生

    • 水道と衛生施設の不足のため、安全な飲み水、衛生用品、トイレについて緊急のニーズがある。
    • WHOは、アルビル、スレイマニヤ、ドホークで保健局と連携し、水質検査のため、又、避難民に供給される水がイラクの飲料水基準に達していることを確認するため、衛生検査チームを派遣している。WHOはさらに、検査技術者に対する水質サンプリング技能のトレーニングを行っている。
    • UNICEFは、ボトル入り飲料水、ゼリー缶、石鹸、衛生キット、トイレ、シャワーなどのWASH物資を配布した。
    • UNICEFは、実施パートナー(Al Ofiq LNGO)を通して、以下のWASH緊急支援物資を供給した:簡易トイレ12台、シャワー8機、5,000リットルのポリタンク4台、240リットルのゴミ容器20台、大人用衛生キット1,149組、バケツ1,149個、折りたたみ式バッグ2,298個。これらは、次の通り、1,149世帯に供給された:Alyawahの学校と公共施設に396世帯、Bahar Tazaの複数の公共センターに479世帯、Bakhtiari-Khanaqeen地区の工事中の住宅に274世帯。
    • イラク状況報告No.1-3に続く

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