アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

村を越えた話し合い

JVCカンボジア 農村開発担当 余部 徹
2002年10月24日 更新

南北に長いSARDの活動地は東西約6km南北約12km。西の方が高く東に向かってわずかに傾斜している。2つの比較的大きな流れと、いくつかの小川や水路が東に向けて活動地を横切り、周辺の水田を潤しながらトンレサップ湖(河)方面へと流れていく。
 この二本の主な流れのうちの南側を流れる一方は、トマイ村とトンロアップ村をはじめとするいくつかの村の間を流れており、特定の呼び名を持たない。(以下「流れ」と呼ぶ。)この流れの途中、トマイ村とトンロアップ村の間にある水門をどうするかが、この2、3年、周辺の村では懸案となってきた。

平地がほとんどのカンボジアでは道路の盛り土が、そのまま堤防の役割を果たすことも多い。隣り合わせのトマイ村とトンロアップ村の間を古くから繋いでいる道も、この流れを横切って上流側にちょっとした貯水池を形成させていた。当然必要以上の水を下流に流すための仕組みも必要で、トマイ村から見て道が流れに差しかかってすぐのところに水門がひとつある。

水門水門

そして間に橋を挟んで向こう側にも、もうひとつ水門がある。トマイ村の側の水門は94年ごろJVCの支援を受けて、トンロアップ側の水門は80年代に集合村長の支援を受けて、いずれも労働力提供など村人の協力の下に作られたものである。
 これまでは水門の開け閉めの最終的な判断は集合村長が担っており、トマイ村の一家族にその開閉を一任してきた。水門が完全に閉められるのは大体10月20日前後だった。

ところが一昨年、何者かによってトマイ村の側の水門が破壊されてしまったのである。一昨年の2000年はちょうど大雨と洪水のあった年で、道の上流側の人は稲が水に浸かってしまうのを懼れ仕方なく堰を切ったのだろう。
 おかげで下流にあるトマイ村の水田は今まで道の上流側にたまった水を調整して使いながら稲作をしてきたため大きな損害を被った。しかし水門をもう一度作るにはお金が足りず、仕方がないのでそのまま放置しておいた。すると今度は別の問題が起きた。道の上流側の今まで水がたまっていた数haほどのところは水田としてもってこいの場所となったため、主に道の上流側に水田を所持していたトンロアップ村の一部人々はせっかくだから使わない手はないと、この元水溜りだったところを水田として「開田」し始めてしまったのだ。

道の上流に現れた水面道の上流に現れた水面

カンボジアでは土地所有がいまだにはっきりせず、このように浸水してしまう場所は誰のものでもなく政府に属していると考えられているため、彼らは不法占拠していることになっていた。
 現在のところ3年以上耕作していることが認められれば所有権は耕作者に認められるが
これはあくまで未利用地の話で、今回の場合は貯水池としてトマイ村が利用していたため話は一筋縄ではいかなくなった。

これまでは村同士のこうしたもめごとは誰かが泣き寝入りするか有力者の一存で片付けられてきたのだが、今回は違った。先の地方選で選ばれた集合村議会の議員が双方の村から出ており、特にトマイ村の側からの強い働きかけで、彼らが関係者の間に立って調停役となり、集合村議会の下で初めて村と村の間の話し合いによる調停が可能になった。

結局、今年のような水不足の年は特に上流側も水が得やすくなるので、上流側も下流側も今の状態より水門が機能したほうが全体としてみれば恩恵をこうむる人が多いことを認め、橋の上流側に堤防を新たにつくり本流をせき止め、水門を補修していくことで合意し、総額200ドルほどだが集合村議会の委員長の責任において関係する3村から資金を集め建設することとなった。政府からも50ドル取り付けることができた。こうなると元貯水池に新しく「開田」していた農民たちも引き下がらないわけには行かない。そして今年8月ごろになってようやく堤防の修理が行われ元のような水溜りが道の上流側に現れた。トマイ村選出の集合村議会議員は今度の堤防はつぶされない自信がある。と語る一方で、もし壊れたら二度とお金は集まらないだろう。とも言う。

橋の上流側に作られた堤防橋の上流側に作られた堤防

集合村議会については現段階おいて、どこまで独自性を持ってその役割を果たせるのか、いまだ疑問が残るが、今回のような話を聞くと、実際面での民主化というのは関わる人によって可能性もまた開けているのだと思わせる一件だ。


団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net