アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

アフガニスタン教育事情

JVCアフガニスタン事業担当補佐 谷山 由子
2007年1月19日 更新

◆教科書はどう使われている? 小学校24校を訪問

タワカルババ女子小学校タワカルババ女子小学校

JVCアフガニスタンでは、女子教育支援の一環としてナンガルハル県シェワ郡内にある小学校の低学年担当の先生を対象に、2007年1月21日から11日間の教書指導法の研修を予定しています。この研修は、JICAがカブールをはじめとする国内5都市で既に行ったもので、教育省によって新たに発行・配布された小学校1年生の教科書が正しく利用されるよう教員のために作られた指導マニュアルを紹介するワークショップです。私たちがいるジャララバードでもこのワークショップを運営できるトレーナーがJICAの支援で育成されました。せっかくのワークショップも今のところ大都市の先生たちに限られているため、今回は、このトレーナーたちの協力を得て、日ごろクリニック運営などで活動しているシェワ郡(農村部)を対象にJVC独自に研修を行うことになりました。

JVCアフガニスタンにとって初めての開催になるこの教員研修がより実情に即したものになるために、郡内にある24の小学校をすべて訪問し教育の実態を調べてみました。また同時に、研修に派遣されてくる先生が低学年の先生であることを確かめるために、各校の校長先生の署名入りの教員リストを直接受け取ってきました。アフガニスタンでは、研修に参加する先生には日当が払われるため、対象外の先生であっても校長の縁故関係者が選ばれたり貧しい人が優先的に選ばれたりすることがあるからです。研修による受益者は生徒であることを考えれば、こういったことは極力避ける必要があります。リストの提出は、それを避けるための処置として行いました。
さて、ここでは実情調査の際に行ったアンケートの結果をもとに、アフガニスタンの教育事情の傾向を共有したいと思います。私も、一緒に学校をまわったアフガニスタン人スタッフのハミドゥッラーも、この結果を見て研修への意気込みを新たにしました。

調査した内容は、以下のとおりです。

調査の目的:シェワ郡内の小学校低学年担当教員を対象とした研修を実施するため、事前に教育現場の状況を理解し、今回の研修のトピックである「小学1年生の教科書の使用状況」を知る。
調査の期間:2006年12月24日(日)から2007年1月7日(日)の間の休日を除く5日間

◆新しい教科書の配布状況は?

これが一年生の教科書です。これが一年生の教科書です。

まず、新教科書の配布状況について調べてみました。
 教育省が発行した新教科書は、2006年10月から11月の間にシェワ郡の小学校に配布されている(一部、1年前に配布されたという学校もあったが)ことがわかりました。
新教科書を手にした学年は、1年生、2年生4年生と5年生。3年生と6年生には配布されていません。1年生と2年生の配布状況は比較的高く、24校のうち6−7割の学校が100%配布したと回答しています。それに比べ4年生と5年生では100%と回答したのは1割強でした。新しい教科書がない3年生や6年生、また4,5年生で“新教科書が配布されていない教室ではどうしているのか”という問いに、3,6年生で“古い教科書を使っている”と答えたところが8校、約3割の回答がありました。
 また、“4,5年生の教科書は算数とパシュトゥ語(いわゆる国語)だけが配られた”と回答する学校が2校、また“5年生は理科とダリ語(これも国語。パシュトゥ語とダリ語が共通言語)、英語だけが配られた”と回答した学校が1校ありました。教科書がまったくない教室もかなりの数あることがわかりましたが、それに対してどう指導しているのかと尋ねると“教師が黒板に書いたものを生徒が書き写す”という回答で、“文字の読み書きができない3年生などは指導が大変だ”という答えが返ってきました。先生も大変ですが、生徒も意味がわかならいものを書き写すのはひと苦労でしょうね。

◆教科書の意外な問題。“コタツって何?”
 次に、今回研修で扱う1年生の新教科書について、課題や困難点について聞いてみました。回答を分析すると、以下の6つの傾向がみられました。
1.指導するレベルが、自分たちが指導する1年生の理解力に比べ高すぎる。(1年生に上がる前に幼児教育を受けていることを前提に作られた指導内容で、それまで文字や教育環境に触れた経験のない児童が一から学ぶためには難しすぎる。)
2.印刷の不鮮明な箇所がある。
3.内容が旧教科書とは異なるため教師にとっても初めて扱うことになり、扱い方の研修や指導書は必須。
4.イスラム教の教科書に日々の祈りについて紹介されているが、その中でシーア派のしきたりが示されている。スンニ派の者にとってこれは受け入れがたい。
5.教科書の改訂の際、現場の教員から聞き取りをし、それぞれの地域性を考慮して編纂してほしい。
6.新教科書を効果的に使用するために必要なもの(チャート、ポスターなど教育資機材、また教室そのもの)が必要だが、現場にはそれらが欠けている。

というものでした。教科書そのもののレベルが高いとなると、さてどうやってこれを生徒たちに合わせて教えたらいいものでしょうか。この中には出てきませんでしたが、カブールでは使うけれどシェワ郡では使わない単語がダリ語の文字表にでていて、本来苦労しなくていい部分で教えるのに苦労すると言った話も聞きました。たとえば、アルファベットの発音を教える時に、“AppleのA(エイプルのエイ)”と日常使っていることばからその音を確認させる方法があります。慣れ親しんだことばというのが前提なので、Appleそのものを教える必要はありません。ところが、教科書に「サンダリのサ(サンダリ:こたつ)」という単語があるのですが、冬の雪が積もるカブールでは日本のようにこたつがよく使われ生徒もすぐにわかり便利なのですが、シェワ郡あたりでは雪も降らずこたつはあまり見かけません。ですから、生徒はサンダリが何なのか知らないのです。“サ”を教えるために、“サンダリ”が何なのかから教えなければならなくなるため、そこで指導がストップしてしまうといった具合です。傾向の中の5.の指摘はそれを含んでいるのかもしれません。

◆教室のない学校が3割も

校舎はないけれど僕らの学校校舎はないけれど僕らの学校

さて、最後に校舎など教育施設のようすを報告します。
まず教室の総数について回答があった学校18校のうち、もっとも多い回答は教室がゼロという学校で6校(33%)、次が4割はあるという学校で4校(22%)、全クラス分あると応えた学校は2校(11%)となります。ちなみに、私たちが校舎を支援したシギ女子学校は、7割はあるという学校に入り18校のうち3番目に教室が整備されている学校になります。
また、学校の外周壁があると答えた学校は全体の25%、4分の3が学校の周りに塀がありません。トイレについては、83%の学校が“ある”と答えました。ということは、17%(4校)が無いということで、内容を見るとそのうち2校はマドラサといってモスクの敷地内に設置された宗教学校で、もう2校は同じ村の女子中学校と男子中学校、最近の難民帰還で急激に学齢児童が増えた地域のため校舎建設が追いつかないのかもしれません。そして、井戸の有無ですが、71%が“ある”と答えました。残りの29%(7校)がどうなっているのか今回は聞けませんでしたが、気懸かりです。

◆空き地の学校での大歓迎
 5日間のうち2日間だけですが調査に同行し感じたことは、校舎が立派なところほど先生たちの表情が硬くそっけないのに比べ、校舎どころか門も塀もない空き地で運営している学校の先生は、穏やかで私たちの来訪を大歓迎してくれるということです。深読みをすれば、校舎を建てたばかりで立派なところは運営状況を監視にきたのではないかと緊張したのかもしれないし、まったく設備がないところは支援してくれるのではと期待したのかもしれません。それでも、やはり訪問を歓迎されるのはうれしいものです。ひとつのマドラサでは、NGOが研修の参加を呼びかけるためにわざわざきてくれたことなど一度もなく、学校扱いをしてもらえたことをとても喜んでいたと言っていました。きっと、そこに通っている生徒たちにも先生の喜びが伝わることでしょう。研修が終わったあとも、すべての学校は無理ですが授業のようすがどのように変わっているか、また見に行きたいと思っています。少しでも、生徒たちの知的好奇心がくすぐられる楽しい授業に変わっているといいですよね。


この活動への寄付を受け付けています!

月500円からのマンスリー募金で支援する

今、日本全国で約2,000人の方がマンスリー募金でご協力くださっています。月500円からの支援に、ぜひご参加ください。

郵便局から募金する

郵便局に備え付けの振込用紙をご利用ください。

口座番号: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所

※振込用紙の通信欄に、支援したい活動名や国名をお書きください(「カンボジアの支援」など)。
※手数料のご負担をお願いしております。

JVCは認定NPO法人です。ご寄付により控除を受けられます(1万円の募金で3,200円が還付されます)。所得税控除に加え、東京・神奈川の方は住民税の控除も。詳しくはこちらをご覧ください。

遺産/遺贈寄付も受け付けています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net