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米軍 JVCのクリニックを占拠(続報)

JVCアフガニスタン現地代表 谷山 博史
2005年3月17日 更新

米軍がJVCの支援しているクナール県カス・クナール郡のクリニックを占拠した日、クリニックの医療スタッフがすべて立ち入りを禁止された中で一人クリニックに残っていたJVCスタッフのズルファカールが、昨日JVCの事務所に戻ってきて報告をしてくれました。以下ズルファカールの報告の内容です。(ジャララバードの事務所からカス・クナールのクリニックまで車で3時間かかる。また、残念なことだが国連もNGOセキュリティーオフィスも現在外国人にクナール県に行かないよう勧告を発している。)

「2月26日土曜日、ズルファカールが他のクリニックスタッフとある家に昼食に呼ばれて戻ってみると米軍がクリニックに来ていた。米軍はジープと装甲車6台でやってきていた。アメリカ人の戦闘部隊15人とアフガン人が5人いた。米兵はクリニックスタッフに明日クリニックで薬の配布をするので誰も立ち入ってはならないと告げた。副院長のDr. アブドゥール・ハレックが一緒に来ていた郡のセキュリティーオフィサーに、何で米軍がクリニックを使うことを許可したんだと食って掛かっていたが埒があかなかった。その夜は医療スタッフの中で自分だけが付設の宿舎に泊まった。夜米軍がクリニックの敷地の中で車両搭載型の機関銃を試射する音が聞こえた。

翌日クリニックのホールに机を並べ5人のアフガン人が薬、石鹸、シャンプー、歯磨き粉などを村人に配っているのを見た。ゲートでは米兵が村人の身体チェックをしていた。女性には米兵女性がひとりでチェックしていた。クリニックの中では人々がわれ先に配給品をもらおう押し合いへし合いの状態だった。後で聞いた話だが、米軍はその日1,100人に薬など配給品を配ったという。

配給していたのは2人の医師と3人の通訳だった。彼らはまるで食料品を配るように薬を配っていた。それも5パッケージ、10パッケージと大量に。症状を聞いて配っていたのではなかった。薬にはエレトロシン、オシマックス、アマグサシリン、セフロプラクトラシンなどがあり、高価な薬が多かった。中には抗生物質も含まれていたし、妊婦や子どもが使ってはいけない薬もあったのに、彼らは妊娠しているかどうかも聞かなかった。中には家族で必要な人はいるかと聞いて配っている者もいた。服用の仕方も説明してはいなかった。自分は堪りかねて妊婦かどうかだけでも聞いて欲しいと訴えると、それだけは聞いてくれた。

自分たちが何者で、誰の許可を得て来ているのかを誰も説明してくれなかった。それでも彼らがアサダバード(クナール県の県都)の米軍基地から来ていること、クナール県保健局の許可を得ていないことだけは分かった。彼らの一人がアサダバード基地から来たと言ったからである。また、クリニックの検査技師がその日アサダバードに行き保健局長にこのことを報告したら、保健局長は自分は何も聞いていないと驚いていたことを聞いたからである。

翌日クリニックのスタッフは米軍のやり方に甚く腹を立てていた。薬は小麦とは違うんだぞ、と言ったり、自分たちは医療従事者なのに相談もしなければ立ち合わせることもしない、と言ったりしていた。あの混乱の中では病人は薬をもらうことはできなかったと思う。何度ももらっている人もいたに違いない。自分は普段薬剤師と一緒に処方箋に沿って薬を配っているが、配布する薬は適量かつ種類は限定して配るようにしているし、初めから強い薬は使わないようにしている。

JVCは外来診療の医師にそう指導してきた。だから米軍の大盤振舞のあと、『これっぽっちしかくれないのか』と文句をいう人間がいてやりにくくなった。口に出して言わなくてもそう思っている人間は多いと思う。だからといって皆米軍に感謝しているかというとそうでもない。使い方を教えてくれなかったとか、薬の質が悪いと言って文句をいう人間もいた。」

ズルファカールの話を聞いて私たちはクリニックに来た米軍がPRT(Provincial Reconstruction Team)ではなく、Coalition Forceの米軍であることを確信しました。なぜなら米兵と一緒に来た医師(実際には医師の資格をもっていない)が、以前JVCの通訳だったが今はアサダバードの米軍で働いている薬剤師のアフザールの同僚のDr. ハミドゥラであることがわかったからです。 JVCのDr. ハヤトラはアフザールからDr. ハミドゥラと一緒に働いていると聞いていました。そういえば、アフザールは医師でもないのにアメリカ人のボスの医者に外科治療をさせてもらっているとも言っていました。ハヤトラの憤りも非常なものがあります。アフガン人が相手なら資格のないものに医療行為をさせても平気なのかと。

事件があった日の4日後、私はジャララバードのPRTミーティングでこのことを報告しました。米兵の担当官がPRTの活動を得々と説明する中に "Mobile medical clinic visits to villages" というのがありました。この説明に引っ掛けて、米軍はクリニックへの事前の相談もなしにクリニックを占拠して薬を配ったりするのかと聞くと、担当官は、県の保健局に事前に相談してるし、クリニックは使わずクリニックの脇で薬を配っていると言います。カス・クナールでやったような行為は、村人の過剰な期待を生み、クリニックの運営に支障を与えるし、クリニックやNGOに危険を及ぼすと、軍による人道援助の問題点を指摘すると、担当官は初めの指摘は分かるが、危険を及ぼすとはどういうことかと反問してきました。この担当官は軍による人道援助に関してなされている議論を勉強していなかったようですが、横に坐っていた上司は理解したらしく、いろいろなチームがいるのですべては把握していないが、調べてみると言いました。

それにしても、30人以上いたNGOや国連の参加者の中から私の問題指摘に同調する人間も、PRTについて質問する人間もいなかったのには驚かされました。このミーティングを主催するUNAMA(United Nations Assisitance Mission for Afghanistan)のPRTへのスタンスが日を追って迎合的になるのが気にかかります。援助地域の調整と親睦を目的にしているようにしか見えないのです。UNAMAの中にも、NGOの中にも、少なくともここジャララバードではPRTや軍による人道援助一般に関する共通理解が欠けているように感じました。少しづつ仲間を増やしていくしかありません。


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