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お母さん、お父さん、ありがとう

11期インターン 宮田 敬子
2009年3月24日 更新

ヤソトーン県でのNGO事務所滞在が終了し、カオデーン農園へ戻った。南タイ、コラートへのスタディツアーを控えているため、ひとまず農園に滞在することにしたのだ。
 3月19日に大学の卒業式があり、金森さんより一足先にインターン生を終了する。3月はJVCタイのスタディツアーがあるため、ホームステイ先でお世話になった人たちに会いに行く時間がないので少し早いがお別れを言いに行った。

別れの挨拶は突然である。電話をして「今日、泊まりに行っていい?」の一言だ。しかもコンケンについてからの電話、図々しいにも程があると思うが、すんなりと受け入れてくれた。
 電話をしたのはノンウェンコート村のスラポン先生宅だ。久しぶりに会ったスラポン先生は数ヶ月前に体調を崩してから少し雰囲気が変わった。禁煙禁酒、既に3ヶ月に入ったそうである。酒飲み仲間と冗談を言い合うスラポン先生は見られなくなった。数年後に村の家を引き払って田圃の家に住むそうだ。隠居生活とでも言うのだろうか。「小さな家で奥さんのデーンさんとサバーイ(=「心地いい」の意)な生活をするんだ。仕事は少し疲れた」と、言っていた。本当は好きである農業もできない多忙なスラポン先生。今はそれに向けて家を建設中。同時にバナナを植えるなど、できる範囲の農作業を毎日少しずつしている。「本当にやりたいことはこういうことなんだよ」、スラポン先生は言った。
 今年は水牛を買って昔のやり方で田圃を耕起するそうだ。小さな田圃でいい、やりたいことを少しずつしたいんだ。私は絶対に見に来るから、その時は絶対教えてね、と何回も何回も言った。別れの寂しさは全くなかったが、私の気持ちを充分に伝えられたかどうか、不安である。
 次の日、4ヶ月もお世話になったカセームさんのいるノンドゥー村へまたしても突然行く。前日に「泊まりに行くから」とひとまず連絡をした。

カセームお父さんと宮田さんカセームお父さんと宮田さん

4ヶ月、私にとってはこの4ヶ月間は辛くもあり、楽しくもあった重要な期間であった。インターンの意味をずっと問い続けていた4ヶ月。でもたくさんの人と出会えた4ヶ月だ。家族のように怒ったり、いじけたり、すねたり、でもその後にはいつも笑っていた。
 お母さんのメー・プゥ(プゥお母さん)は私に農民の大変さ、苦労を教えてくれた。彼女自身の苦労も何度も話してくれた。お父さんのポー・カセーム(カセームお父さん)は私の話をひたすら聞いてくれた。私の疑問も一緒に答えを考えてくれた。隣に住むおばあちゃんとおじいちゃんは毎日畑に行く私をいつも心配してくれていた。おじいちゃんは現在体調を崩して療養中だ。既に80歳を過ぎている。メー・プゥは介護のため家に一日中いておじいちゃんの面倒を看ている。私のライバルだったデブは3月でコラートに帰ってしまうそうだ。子どもが二人も帰ってしまうのね、とメー・プゥが呟いた。

よく遊びに行った隣村のノンクロン村にも行った。私に野菜作りを教えてくれた口うるさい、でも大好きなマリおばあちゃんに会うためだ。マリおばあちゃんはウドンターニに行っていて結局会えなかったが、村人が集まる雑貨屋兼ソムタム屋(=ソムタムはパパイヤサラダのこと)に行った。いつものようにおしゃべりした。以前よりもたくさんしゃべることができた。日本に帰るからこれが最後だから、と私が言っても皆ニコニコしていた。「だってまた来てくれるんでしょ」、とソムタム屋のおばちゃんが言った。悩んだときに気分転換に行った場所だった。やっぱり最後じゃないんだと思い悲しくならなかった。
 夕飯は魚のスープと野菜炒めだった。メー・プゥのご飯を作るときの口癖は「ナムプラーと塩を入れるだけでおいしい。化学調味料なんて必要ないのよ」だった。以前は野菜も買って来ていたが、夕飯の材料で買ってきたものはなかった。畑には私がいたときよりもたくさんの野菜が植えられ、自給率はかなり上がっていたようだ。
 別れの挨拶に行ったのにあまりにも普段と同じようにしてくれるため、普段と同じように別れてしまった。「また会えるんでしょ」、と。やはり自分の気持ちを伝えられなかった不安でいっぱいになった。

最後の日は一ヶ月お世話になったノンテー村のサナンさんの家に行った。サナンさんとはたくさん話をした。村の歴史、農業・農民のこと、そして自分達のこと。私がタイ語を理解できない度に丁寧に説明してくれるので辞書を使う必要がなかった。
 サナンさんはバリバリ活動していた4,5年前をまるで青春時代を懐かしむように生き生きと語る。私はそんなサナンさんと話す時間が何よりも好きだった。しかし、私がひょこひょこ他の家へ遊びに行くのでサナンさんにはかなり心配させ迷惑をかけた。
 ノンテー村には共同農園で農作業をし、市場で野菜を一緒に売ったたくさんの人たちがいる。24歳で農業をしていた女性、ペン姉さんはバンコクへ働きに行ったそうだ。20代で農村に残る人は珍しく、友達は皆バンコクへ行ってしまって寂しいとしきりに言っていた。それでも農作業に精を出す彼女を尊敬していたのだが、会えなくなってとても残念だった。
 村では診療所の提案で数週間前からエアロビクスが始まった。30分間ほどタイ独特の音楽に合わせて結構きつい動きをする。健康に対する意識が高いのか、参加者は20人ほど。村の人たちに別れの挨拶を言いに行った。別れを言うたびにこの子はまた来るから、とサナンさんが付け足すのだった。ここでも、やはり自分の気持ちを伝えられなかったような気がする。

別れの挨拶に行ったけれども、未練が残る。気持ちを伝え切れなかったことに後悔してしまうかもしれない。私は世界のどこに居ようとも彼らはいつも村に居て、いつでも待っていてくれるような安心感がある。これで終わりではない。これから先、結婚して子供ができても彼らとの関係は終らないと思う。でもこんなお別れの挨拶で良かったのだろうか。


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