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ハウテン州ソウェト地区での菜園研修

南アフリカ事業担当・現地代表兼任 渡辺 直子
2010年7月 7日 更新

6月21〜25日にハウテン州ソウェト地区での活動を実施しました。都市化率が60%、難民・移民も多く、その歴史的な背景からも非常に複雑な社会構造をもつ南アフリカにおいては、JVCのアジアの地域開発事業のように農村だけに関わるだけではこの国のもつ課題をとらえきれないのでは・・・ということで2009年度より都市部における本活動を開始しました。南アは出稼ぎ社会であるにもかかわらず、国内の非就業率は60%で、仕事を持たない人が多くいます。そのような中、都市における生活のほうが農村より厳しいということも活動を始めた背景にありました。ソウェトはジョハネスバーグ市南西部にある旧黒人居住地区で、「ソウェト蜂起」などかつての反アパルトヘイト運動の中心地としても有名なところです。

活動は、ソウェト内にある「ジフネレニ中学校」の敷地を借りて地域住民を対象にお金をかけない持続的な農法を使った菜園づくりの研修を行っています。なぜ都市部で菜園づくりなのか、の理由はいろいろとあるのですが、「食えなきゃ何もできない」というのも大きな理由のひとつです。対象者はまだ15名程度ですが、そのほとんどが定職を持たず、月1万円程度の年金や子ども手当て(一人3000円弱)に頼って生きています。ちなみに南アフリカの物価は日本とあまり変わりありません。

最初はこんなふうでした。最初はこんなふうでした。

研修はリンポポ州のHIV/エイズ陽性者支援事業における家庭菜園研修と同じトレーナーのジョンさんと一緒に行っています。この一年の研修では、とにかく自分たちのまわりに「あるもの」を活かして野菜をつくる方法を学んできました。というのは、いずれJVCがいなくなったときにも参加者たちだけで実践を継続していける方法を取り入れる必要があるためです。雨が少なく水へのアクセスが制限される状況下では枯れ草で土を覆って地中の水分の蒸発を防ぐためのマルチをします。農村であれば牛糞が手に入りますが、都市ではなかなかそうもいかないのでボロ布や捨てる紙を利用した有機肥料で対応します。防虫には作物ごとの栽培時期(旬の時期に植えることで強くなる)や混作を取り入れ、雑草を使った防虫剤で対応します。また採種や苗作りを学ぶことで次年度以降、種代の出費がなくなります。こんな風に小さなことを少しずつ少しずつ繰り返し学んできました。研修は月に5日間だけ行われますが、次回研修までの間は学んだことを活かしながら自分たちで菜園を管理していく必要があります。次の研修時には1ヶ月間参加者たちがどのように菜園を管理できていたかもモニタリングし、状況を見ながら次のステップに移ります。

昨年6月に研修を開始したときの様子です。昨年6月に研修を開始したときの様子です。
今年の3月の様子です。緑がいっぱいです。今年の3月の様子です。緑がいっぱいです。

その結果、雨季を迎えた10月あたりから少しずつ成果が見え始めてきました。まず、研修前は主食のパップ(白とうもろこしを乾燥させて粉にしたのをお湯で練ったもの)とポテトフライを朝晩2回食べるような内容だったのが、野菜が年中お皿に乗るようになりました。学校菜園では自家消費分にプラスして余剰を販売し、収穫期(12〜3月)には月5000円程度の収入が得られるようになりました。このお金は参加者全員で分けるには十分ではありませんが、水道にホースをつなぐための備品を買うなど活動に役立てています。不定期ですが学校の給食用に野菜を寄付することもできました。また家の敷地内に少しでも土地のある人は全員が家庭菜園を始めました。菜園からの野菜を食べることで支出が減った分で、「寄付ができるようになったから」と教会に行き始めた人や原材料を買ってサワーミルクなどをつくって販売し、現金収入を得るようになった人もいます。

収穫を喜ぶアリスさんとノンブレロさん収穫を喜ぶアリスさんとノンブレロさん
狭いスペースで家庭菜園もやっています。狭いスペースで家庭菜園もやっています。

さて、そんな一年を経た後の今回の研修です。南アでは5月半ばには収穫期を終えていて、6月は次期準備の時期にあたります。5月末の研修時から参加者たちは自分たちで採っていた種や自分でつくった苗をいくつか植え始めていました。今回はこれに続いて菜園の3分の2ほどの畝を耕し直し、新しく播種して苗を植えることにしました。ほうれん草、バターナッツ(かぼちゃみたいなもの)、ねぎ、玉ねぎ、コボというジンバブウェ等でよく食べられるアフリカ原産の野菜です。次期研修までにはにんじんも播種する予定です。そんなに大きな菜園ではないのですが、これだけの作業にまるまる5日間を費やしました。ただ植えるだけではなくて、細かい作業がいろいろあるからです。マルチするための枯れ草を集めてきたり、菜園の脇で作っている有機堆肥がまだ使える状態になっていないからじゃあどうしようか、ということで、コンフリーやルサンという栄養価に富んだ植物の葉っぱなどを播種・苗を植えた後の畝の上に置くことを学んだり(これらの栄養価に富んだ植物が分解されて土に戻ってくるなどしてとてもいい栄養分になるのです)、作物ごとに適した播種の仕方をおさらいしたり、ねぎやコボの切り株を苗として利用して植えたり・・・。

今回の研修の様子。ねぎは分けて植えて増やします。今回の研修の様子。ねぎは分けて植えて増やします。

また、研修中はこうした実践だけではなくミーティングも行いました。今回の作業の半分以上は昨年一年を通じて繰り返し学んできたことなのですが、「あぁそうだった」とか「忘れてた」ということも結構ありました。あまりにシンプルでその重要性が認識しづらいのかもしれません。このため、日々の作業を振り返ってもらいながら、なぜその作業が必要と思うかを話し合いました。確認することでひとつひとつの技術に意味があることを認識し、実践が定着しやすくなることを期待してのことです。また一年経ってどんな風に他の人に伝えていけるかについても話をしました。その結果、大人とは別に近所の子どもたちを巻き込んでみようということになりました。クイズなど遊びも交えながら関心を持っていってもらうことを考えています。

今の畑の様子。8月が楽しみです。今の畑の様子。8月が楽しみです。

5月からは今回植えたものとは別にだいこん、キャベツ、かぶ、ビートルート、サツマイモなどが育てられています。8月にはこれらと合わせて緑いっぱいの畑になるだろうとのことでした。これからが楽しみです。


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