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パレスチナでの活動

「壁」により分断された地域での学校健診・保健教育(東エルサレム)

パレスチナ事業担当 津高 政志
2011年9月13日 更新
学校健診(しらみの健診をする保健指導員)学校健診(しらみの健診をする保健指導員)

エルサレム周辺では、イスラエルが建設している入り組んだ「壁」や巨大な入植地により、パレスチナの人々の日常の移動が著しく制限されています。パレスチナの土地に食い込む「壁」のルートについて、国際司法裁判所が違法であるとの勧告的意見を2004年に出したにも関わらず、現在も建設が続いています。住民の保健サービスや教育へのアクセスは阻害され、地域社会そのものが麻痺状態に陥っています。JVCは2006年からパレスチナの医療NGOと共同で、東エルサレム地区の学校や幼稚園を巡回し、子どもたちの健康診断や健康教育、先生や保護者への保健指導などを行っています。

地域紹介

東エルサレム
エルサレムを分断する「壁」エルサレムを分断する「壁」
休戦ラインからパレスチナ側に大きく食い込んでいる「壁」休戦ラインからパレスチナ側に大きく食い込んでいる「壁」
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地として崇められているエルサレムは、西と東に分断され、地理的には西エルサレムがイスラエルの一部、東エルサレムがパレスチナの一部となっています。

1967年にイスラエルは国際法上違法に東エルサレムを併合し、現在東エルサレムはパレスチナ自治区の一部でありながらパレスチナ当局の力が及ばない地域となっています。東エルサレムには27万人ほどのパレスチナ人が住んでいますが、イスラエルによってパレスチナ人の土地の没収や強制退去、家屋破壊が進められ、現在20万人以上のユダヤ人入植者が暮らしていると言われています。

パレスチナが国家となった暁には東エルサレムを首都とすることを多くのパレスチナ人たちが望んでいますが、エルサレムの帰属問題はこれまでの和平交渉で何度も棚上げにされており、イスラエル・パレスチナ問題の中でもいちばん合意の得難い問題のひとつであると言われています。

活動の詳細

学校を巡回し健康診断を行っていく医師。学校を巡回し健康診断を行っていく医師。

東エルサレム地区の18地域の学校と幼稚園を拠点に約1万8千人の子どもと生徒、および教師、母親を対象に、保健教育・学校健診・救急法の習得などを巡回で実施し、対象者が保健衛生・救急法の基礎知識を得ることができ、自らの健康に関心を持ち健康増進・疾病予防の必要性を理解できるようになることを目指します。

保健教育
学校が開校している9月から3月は、約5000人の生徒に対しての健康教室を実施します。内容は、衛生、栄養、地域に多い疾病、伝染病、HIV/AIDS、環境、薬害、喫煙の害、早婚など。年齢に応じて内容の詳細を決定します。
救急法講習
学校および地域団体との連携により、コースを設け、生徒・教師・保護者役1000人に対しての救急法教室を実施します。
学校健診
開校している9月から3月は、対象としている幼稚園・学校で実施します。約2000人が対象、内容は身長・体重測定、視力測定、内科健診など。
特別コース
生徒から生徒に教えていけるような仕組みができるように、トレーナーとなる生徒、教師に対しての研修・訓練を行います。トレーナーは5つの学校(生徒50人)、母親グループ、幼稚園教師16名。また、トレーナーが学校や幼稚園を通して、他の生徒や子ども、母親たちに研修を行っていくためのフォローアップも行います。
サマーキャンプ
7、8月は、学校・幼稚園は休みに入ります。休みを利用して、保健教育を中心としたサマーキャンプの実施を計画しています。地域のNGOや子ども・青少年センターとの連携での実施を予定しています。内容は、救急法講習、健康教育、子どもたちの活動を通した健康へのメッセージなど。
地域社会団体との連携
地域の医療・保健を専門とするNGOや女性団体と連携しながらワークショップ形式での保健教育、救急法実施訓練などを検討していきます。ワークショップ開催可能な団体があり、約100人の参加が見込まれます。開催時期は地域団体と決定していきます。
巡回診療
東エルサレム周辺で、社会サービスもなく劣悪な生活環境にあるベドウィン(遊牧民族)集落における健康診断、血液検査、健康教育、医薬品の処方等を行います。対象は約200人。

最近の活動

2010年度は新学年開始時(9月下旬)から、トレーナーとなる生徒や教師たちへの研修・講習を通して、生徒から生徒へ、教師から生徒・母親へ、といった、より効果の波及が期待できるプログラムを行っています(5つの学校(生徒50人)、母親グループ、および幼稚園教師16人を対象、計120時間の研修・講習を予定)。

2011年度は、この活動に関わる最終年として、研修・講習を受けた生徒や教師たちが次は他の生徒や教師へ効果的に講習を行えるよう、生徒や教師たちからのフィードバックを受けながらフォローアップを行います。2011年度5月に学校年度が終わった時点でこのプログラムを評価し、結果を見て2011年度の新学年度(9月以降)の実施を検討します。

2011年度の活動の詳細な記録は、こちらのPDFファイルをご覧ください。また、現地での活動の様子は、以下の現地ブログでも紹介しています。

2011年9月 6日 東エルサレム:学校の変化
2011年5月10日 東エルサレム:生徒から生徒へ その3
2011年2月21日 東エルサレム:生徒から生徒へ その2
2011年1月24日 東エルサレム:乳がんの講習
2010年11月 2日 東エルサレム:驚きの止血方法

活動概要

目的東エルサレム地区の住民は、保健医療・教育サービスにアクセスすることが困難な状況を強いられている。政治的問題もあり、行政のみでは対応が困難であるため、NGOによる支援が住民から期待されている。本活動では、特に若い世代が希望を持ち続け、自分の健康を保持・増進していける力を見出し、健康に対する意識を高めることを目指す。
期間2006年5月~2012年3月
活動分野保健指導(保健教育、救急法講習、健康診断、トレーナーのトレーニング)
活動地域 東エルサレム
・北部~中部(アッスワナ、アル・ダヒア、シュアファット、シェイク・ジャラ、旧市街、オリーブ山、ベイト・ハニーナ、シュアファット難民キャンプ、アッスーリ)
・分離壁の西岸側5地域(アイザリヤ、アブ・ディス、ヒズマ、アナタ、アッラム)
・南部4地域(ジャバル・ムカッバル、ラス・アル・アムード、ウム・トゥバ、スール・バヒル)
活動対象幼稚園児、小学~高校生、地域の母親、教師、地域社会団体の青少年 約1万8千人

※この事業は、郵便貯金・簡易生命保険管理機構より「国際ボランティア貯金」の寄付金を受けて実施しています。

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