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ガザ: 栄養失調と貧困、失業、封鎖(1)

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年8月 2日 更新

ガザのNGO、「人間の大地」のハンユニス栄養センターでは、栄養失調の子どもたちを改善させるため、栄養治療食の提供やお母さんたちへの個人カウンセリング、教育を行っています。JVCはここで、お母さんたちが家に持って帰って子どもが食べる栄養食を作るための、栄養価の高い乾燥食材(セモリナ粉、挽いた麦や米、豆類、ナツメヤシのペーストなど)を提供しています。

乾燥食材について使い方等を説明するハナさん乾燥食材について使い方等を説明するハナさん

夏に入り、センターに通う栄養失調の子どもの数は増え続けていますが、健康指導員のハナさんは、てきぱきと子どもたちの母親に指導します。センターに到着したお母さんはまず、次々と調理場に向かいます。子ども用の椅子に子どもを座らせて、治療食の準備を始めます。野菜を切ったり、器を熱湯消毒したりと、ハナさんの指導のもとお母さんたちが動き回ります。中にはエプロン姿で調理しているお母さんもいました。「こんなに多い量の野菜を切って料理するなんて、家ではできないもの!」と調理を楽しんでいる様子。この日の最初の食事は栄養価の高いミルク。その後、最初から調理していた野菜とお肉のスープをミキサーでかくはんしたもの、それから果物をかくはんしたものが出されます。その合間に、調理場での指導、子どもの体重測定、個人カウンセリング、全体への栄養や衛生に関する講習などをハナさんがどんどん進めていきます。

リマスちゃん(6ヶ月)は7月22日に初めてセンターを訪れました。当時、体重は4.95kgしかなく、重度の栄養失調と診断されましたが、5週間後のこの日は5.4kg、中度の栄養失調へと回復していました。リマスちゃんのお母さんは、調理場で誰よりも楽しそうに栄養食を準備していました。聞けば、子どもは4人いるのですが、旦那さんは失業しているとのこと。大学を出て以来毎日のようにずっと仕事を探しているけれども、全く仕事が見つからないそうです。現金収入が全くないため、国連から3ヶ月ごとに配給されるお米、小麦粉、砂糖などの支援に頼っていると言います。家ではセンターで配布された乾燥食材を使って野菜と一緒に調理し、リマスちゃんが食べるスープを作っているとのことで、「野菜はどうやって手に入れるの?」と聞くと、親戚や隣人に頼っていると言っていました。

重度から中度の栄養失調へと回復しつつあるリマスちゃん。栄養食を食べた後のご機嫌の笑顔!重度から中度の栄養失調へと回復しつつあるリマスちゃん。栄養食を食べた後のご機嫌の笑顔!

モーメン君(7ヶ月)は6月20日からセンターに通っています。一見元気そうな笑顔を見せるモーメン君ですが、体重測定の時に服を脱いだ時に見えた腕と足の細さにはびっくりしました。約40日前に5.05kgだった体重はこの日までに5.6kgに増えていたので、順調な回復を見せているといえます。お母さんに聞くと、野菜などは市場で買っているそうです。お父さんは以前、農地で野菜の収穫などの仕事をしていましたが、農地はイスラエル軍の軍事侵攻により破壊され、それ以来仕事を失っています。国連や他の支援団体からの食糧支援などを受けていないため、食べ物は主に親戚の支援に頼っていると言います。健康であれば7ヶ月の男の子の平均体重は7〜10kgになるそうなので、まだ完全には回復していませんが、センターで配布される乾燥食材と野菜を一緒に調理したスープはモーメン君も大好きで、家でもよく食べているとのことでした。これからも順調に回復していくことを願います。

モーメン君。手足はまだとても細いが、栄養失調から徐々に回復しつつある。モーメン君。手足はまだとても細いが、栄養失調から徐々に回復しつつある。

この日、センターに来ていたのは35人。皆が集まったところで、いくつかの質問をしてみました。「子どものお父さんが仕事をしている人は?」と聞くと、4人が手を上げました。そのうち3人が公務員、1人が非営利団体です。つまり、商業や農業、その他の産業に従事している人は1人もいません。「昨日(金曜は一番のご馳走を食べる日)、お肉を食べた人は?」と聞くと、8人が手を上げました。その8人全てが、鶏肉のみで2週間に1回程度と答えました。栄養失調の子どもたちの家庭はどこも、お父さんの失業による貧困に苦しんでいることがわかります。

「人間の大地」の医師、アドナンさんは言います。「ガザで問題なのは、急性栄養失調ではなく、慢性栄養失調です。悪化し続ける経済状況が子どもの健康に長期的に影響しているのです。栄養失調、貧困、失業は全て、封鎖に大きく関係しています」。産業に必要な原材料の搬入が大きく制限され、ガザの産業は9割以上が壊滅しています。農地も軍事侵攻により大規模に破壊されました。以前はイスラエルに建設業や農業などの仕事に行っていた人々は、ガザから出ることが出来なくなり仕事を失いました。それらが貧困につながり、「食べる野菜を買うこともできない」という状況にしているのです。

(つづく)


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