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ガザ:卒園の季節

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年5月25日 更新

5月末。ガザのビーチには、たくさんの夏季限定“カフェ”が並び、またサマー・キャンプのテントなども設営されていました。これから、夜遅くまで家族連れが海で泳いだり砂浜で寛いだり、焼きトウモロコシを食べたりと、なんともガザらしい美しい光景が見られる季節です。そして、パレスチナの子どもたちにとっては学年末(もしくは卒業)試験のシーズン。お母さんたちにとってはその子どもたちの試験勉強の“付き添い”で忙しいシーズン。でも、試験のない幼稚園の子どもたちにとっては、いよいよ長い夏休みに入る前の楽しいシーズンです。今日は卒園していく子どもたちの元気な様子をお届けします。

JVCが栄養強化牛乳とビスケットを配布している3箇所の幼稚園を訪れました。ガザ北部、ウム・アル・ナセル村の幼稚園は今週末で今学年が終わり、25人の子どもたちが卒園していきます。「幼稚園楽しかった?」「楽しかったー!」「牛乳はおいしかった?」「おいしかったー!」と、私の質問に子どもたちから元気な答えが返ってきます。勉強もそっちのけで大騒ぎする子どもたちに、先生は「小学校に行ってもしっかり勉強するのよ!!」と“叫ぶ”と、子どもから「学校に行ったらハリーブ・フマール(=ロバの牛乳。配布している牛乳のパッケージにはロバの絵が書いてあるので子どもたちはそう呼んでいる)はないの?」という質問が返ってきました。子どもたちが幼稚園に通う1つの楽しみだったことを実感できる、何とも可愛らしいコメントでした。

牛乳を手に最高の笑顔を見せてくれる子どもたち牛乳を手に最高の笑顔を見せてくれる子どもたち
牛乳パックを集めるカリール君。来年からは小学生 牛乳パックを集めるカリール君。来年からは小学生

ガザ南部、ラファの幼稚園は今日が学年末の最終日でした。卒園していく子どもたちはそれぞれの顔写真入りの卒園証書や、なんと各科目別の成績表をもらっていました。もちろん皆が優秀なのですが(!)、カリール君はその中でも優秀な男の子。「皆が飲んだ牛乳のパッケージをいつもまとめて捨てに行くのよ」と先生は言います。パレスチナでは公共の場をきれいに保つという意識があまりないようなのですが、このように子どもが幼稚園をきれいに保とうとしているのを見ると、先生たちがしっかり子どもたちに教育をしていることがわかり、私も嬉しく思います。カリール君は、来年度(9月)からは「すぐそこの小学校に行くんだ」と嬉しそう。近くの小学校はUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によって運営されていて、難民の子どもたちが通うことになります。この幼稚園にも、難民の子どもたちが少なくありません。この幼稚園には140人ほど通っていますが、年間250シェケル(約6,300円)の学費を払えない子どもも30人ほどいるそうです。「それでも子どもたちが元気に成長してくれれば」と先生は言います。今日がこの幼稚園で牛乳を飲む最後の日。卒園しても、元気に成長していってほしいと願います。

シャムスちゃんも卒園、おめでとう!シャムスちゃんも卒園、おめでとう!

ラファの2つめの幼稚園では、卒園していくシャムスちゃんが卒園証書を見せてくれました。「シャムス」はアラビア語で「太陽」という意味。「ビスケットと牛乳は好きだった?」と聞くと、「うん」と答えてくれました。この幼稚園はエジプトとの境界線のすぐ近くにあり、イスラエルの軍事侵攻の際に家が被害を受けた子どもも少なくありません。園長先生は、「トンネル経済」についてこう語りました。「トンネルでの商売が始まって、特にこの地域では貧富の差が激しくなったの。危険も多いトンネル商売に関わっている人たちは、巨額の富を得たわ。だけど、トンネルから入ってくる物資によって、日用品などの価格は高騰したの。貧しい人たちにとっては、買える値段ではなくなってしまったのよ」。ガザ内の市場やお店には物がたくさんあふれています。日用品や食料品だけでなく、冷蔵庫や洗濯機などの電化製品や、車もオートバイまでもがトンネル経由で入ってくると言われています。ただその価格は、「仕事がない」状態が変わらない人々にとっては、手が届くものではないのです。この幼稚園の子どもも貧しい家庭の子どもが多いそうで、「子どものたちの服も高くなったし、靴は市場で見つけるのも難しい」と園長先生は不安げに言いました。

元気に卒園していく子どもたちの中には私が顔を覚えている子も何人もいて、ここ1〜2年で成長したなあと感じることができました。また、特に2008年12月末からの大規模な軍事侵攻の直後はやはり塞ぎがちな表情を見せていた子どもたちの様子が、今では明るく元気に変化したことも感じます。壊滅状態が続くガザの経済状況の中、家庭の経済状況も変わらず、お父さんもお母さんもきっと大変な思いをしながら一生懸命に子どもを育てているのだと思います。そのような中、子どもたちが元気に卒園していく姿を見て、日々の牛乳とビスケットが子どもたちの成長に少しでも貢献したことを感じ、私も嬉しい気持ちでいっぱいになりました。これから3ヶ月の夏休みを経て新しく始まる学校でも、元気に頑張っていってもらいたいと願います。

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