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ガザ:幼稚園児の朝ごはん

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年2月 2日 更新

ガザ北部のウム・アル・ナセル村の幼稚園を訪れました。JVCはこの幼稚園に通う子どもたちに、栄養強化牛乳とビスケットの支援を行っています。地元の医療団体が以前行った調査では、この村の住民の6〜7割以上が貧血状態にあるという結果が出ました。幼稚園で毎日、牛乳とビスケットでとる栄養は、子どもたちの貴重な栄養源となっています。
ここは遊牧民族が強制移動させられてできた村で、今も牛や羊、ヤギなどの動物を飼っている人も多い村です。この村では、裸足で歩く子どもたちもよく見かけます。「靴を買うお金がないという理由もあるけれども、靴を履くという習慣があまりないの」と、この事業のコーディネーターさんは笑って言います。

冬でもサンダル履きの子どもが多い冬でもサンダル履きの子どもが多い

私たちが幼稚園を訪問すると、子どもたちが恥ずかしかったりする場合が多いのですが、この幼稚園の子どもたちはいつも元気いっぱいで、前のめりになってポーズを決めながら「写真撮って!」と大騒ぎです。「ここの子どもたちはいつも元気だね!」と言うと、コーディネーターさんは、「確かにいつも元気だけれども、他の幼稚園の子どもたちに比べると身長が低かったり栄養状態が悪いような気がするわ」と言います。子どもたちに、「牛乳とビスケットは好き?」と聞くと、「好きー!」と元気な答えが返ってきました。「牛乳を飲むとどんないいことがあるの?」と聞くと、「強くなる」「大きくなる!」と続けて答えが返ってきます。

元気いっぱいにカメラに「突進」してくる子どもたち元気いっぱいにカメラに「突進」してくる子どもたち

17人子どもたちがいるクラスで、今日の朝ごはんに何を食べたかを聞いてみました。ほとんどの子どもたちが、「紅茶とパン」と答えます。そして数人の子どもたちが、朝ごはんを食べてこなかったと答えました。中には、牛乳を飲んだ子、卵を食べた子も数人ずついます。その子どもたちは皆、家で牛か鶏を飼っている子でした。驚いたのは、子どもたちの口から、トマトやきゅうりなどの野菜の名前が1つも挙がらなかったこと。以前、この事業の一環で幼稚園の先生たちに対する栄養についての講習に参加したことがあるのですが、その際、朝ごはんでしっかり野菜や果物などを食べることの重要性を先生たちは学んでいました。先生たちからお母さんたちに対し、このような指導が行き届いていればよいのですが、それでもこの経済状況では、家庭で野菜を買うことすら難しいのかもしれません。

子どもたちに今度は、家で何か野菜や果物を育てているか聞いてみました。タマネギ、モロヘイヤ、マラミーヤ(ハーブの一種、紅茶に入れる)、オレンジ、グァヴァなどの名前が挙がりましたが、ごく少数です。牛を飼っているおうちは2人、鶏を飼っているおうちは3人。この村に住む男性の多くは、ガザに対する封鎖が始まる以前はイスラエルで仕事をしていたため、失業率がとても高く、そしてガザで最も貧しく、また栄養状態や衛生状態も悪い村の1つといわれています。現金収入の少ない村ですが、家庭に牛や鶏などがいるだけで、子どもたちのとる一日の栄養は全く違ったものになっているのでしょう。

この幼稚園に通う子どもたちの学費は、一ヶ月20シェケル(約500円)。それでも「払えるのは約半分の家庭だけ」と園長先生は言います。この村で、幼稚園に通う年齢であるのに通っていない子どもたちは3〜4割いるそうです。「どうして子どもの親たちは通わせないのか」と聞くと、園長先生は2つの理由を上げました。1つは、お金がないから。もう1つは、親が幼稚園での教育を重要だと思っていない、との理由でした。子どもたちは幼稚園で、アラビア語の文字や英語まで勉強しています。「小学校に入った時に、幼稚園で勉強したかしていないか、スタートの時点で差があるのは問題だわ」と園長先生は言います。もちろん勉強だけでなく、子どもたちが一緒になって遊ぶという場はとても大切です。幼稚園に通っていて、毎日栄養強化牛乳とビスケットをとっている子どもですら、栄養状態があまり良くないのですから、通っていない子どもたちの栄養状態も気になります。子どもたちが元気に楽しく勉強し成長していけるよう、JVCとしてもお手伝いできることを考えていきたいと思います。

勉強しながらビスケットを食べる勉強しながらビスケットを食べる
毎日の牛乳で子どもたちは「強くなる!」毎日の牛乳で子どもたちは「強くなる!」

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