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巡回診療:東アッサワヒラ“医療デー”

パレスチナ現地代表 福田 直美
2009年7月30日 更新

MRS(=Medical Relief Society、医療救援協会)の医療チームが地域に出向いて診療を行う“巡回診療”。今日は西岸、東アッサワヒラ村での“医療デー”が行われます。

東アッサワヒラ(青で囲った村)と西アッサワヒラ(緑で囲った村)は、分離壁(赤線)で分けられてしまった。東アッサワヒラの東側には、入植地マアレ・アドゥミムが広がる(出典:UNOCHA oPt)東アッサワヒラ(青で囲った村)と西アッサワヒラ(緑で囲った村)は、分離壁(赤線)で分けられてしまった。東アッサワヒラの東側には、入植地マアレ・アドゥミムが広がる(出典:UNOCHA oPt)

巨大入植地、マアレ・アドゥミムの入り口を横目に西にアイザリア方面に進むと、分離壁に行き当たります。この壁を境にエルサレムと分断された側を、そのまま壁に沿って南下し、アブ・ディスを抜け、さらに南下したところに東アッサワヒラ村はあります。この村は「アッサワヒラ・シャルキーエ(東アッサワヒラ)」と呼ばれており、「アッサワヒラ・ガルビーエ(西アッサワヒラ)」は、分離壁をはさんでエルサレム側にあります。以前は1つの村だったのですが、分離壁の建設によって2つの村へ分かれてしまったそうです。壁によってお互いの行き来ができなくなった家族も多いそうです。また、2006年春までに、この2つの村の東西に建設された入植地のために没収された土地は2,480ドナム(約2.5平方キロメートル)にもなるとのことです。

この村にはクリニックが1つありますが、医師1人しかいません。村の人曰く、診察を受けるのに5NIS、そして処方箋をもらい薬局に行くのですが、人々の経済状況によっては「薬は高価なので、処方箋をもらっても買うことができない」ケースも多いとのことです。MRSは東アッサワヒラの村議会の要望を受け、お年寄りの方々を対象に月に一度、“医療デー”として診療にやってきているのです。無料で診療、場合によっては薬の処方も受けられるMRSの“医療デー”には、この日も多くのお年寄りが訪れていました。皆、ゆっくりゆっくり、会場となった村役場まで坂道を登ってやってきます。MRSのラムジー医師や保健指導員の女性と、村の人たちの会話は、「前回の診察から、何か変わったことはありましたか」「旦那さんはお元気ですか」「来週、孫の結婚式があるのよ」などと、体の調子に関することや家族のことまで様々。とても和やかに診療が行われていました。

“医療デー”では、お年寄りの人々に対して血圧、血糖値の検査が行われました。栄養の偏りから、糖尿病の人が多いパレスチナ。予防のためには栄養指導などの健康教育が必要です。訪れる人々には、その場で診療を行い薬を処方します。「薬で治療するのは難しいから、薬の処方で悪化しないようにしているんだ。処方するのは一か月分」だそうです。

血糖値の検査を見守るJVC代表理事の谷山(中央)と理事のバスカビル氏(その右)血糖値の検査を見守るJVC代表理事の谷山(中央)と理事のバスカビル氏(その右)

途中、「寝たきりで動くことができないので、家まで診療に来てほしい」という連絡があり、ラムジー医師とその患者さんの家まで行きました。到着した家には、おそらく80歳近い男性がベッドに横たわっています。糖尿病と肝臓の病気を患っているそうです。ラムジー医師は男性の診察を行った後、男性の奥さんに、使っている薬を全て持ってくるように伝えました。聞いていると、どうやら奥さんは薬の使い方をよく理解しているわけではなさそうです。ラムジー医師は全ての薬をチェックし、奥さんに一つ一つ、内容と使い方、注意事項を説明した上で、紙にも書いて渡しました。「“お金がない”“病院が遠い”などの理由で病院に行かず、処方された薬ではない、例えば知人が使っていた薬を使用する人もいるけれども、とても危険なことだ。薬の正しい使い方や保存方法を知らないまま使っているのを、訪問した先の家で見かけることもあるよ」とラムジー医師は心配します。続けて、「特にこのあたりの地域は、東エルサレムの病院へのアクセスが遮断されたということが大きいだろう。ムカッサドやオーガスタ・ビクトリア(どちらも基礎医療から高度な治療も受けられる、東エルサレムでは有名な病院)のあるオリーブ山地域(今は壁をはさんで反対側になってしまった)まで、壁ができる以前は5分もあれば行けた距離だからね。今は、病院に行くにもジェリコやラマッラーなどに行かなければならない。その道のりは長く、お年寄りには厳しい」と言って、分離壁の建設による医療サービスへのアクセスの困難にも懸念を示します。分離壁ができる前、利用できる病院はたった10km弱先(東エルサレム)にあったのですが、そこへのアクセスが壁によって遮断されたため、今は約35km(ジェリコ)、または約40km(ラマッラー)も離れている病院まで行かなければならないのです。

血圧測定をする保健指導員(左)血圧測定をする保健指導員(左)

こんな状況にもかかわらず、村の人々はとても穏やかに生活しているようにも見えました。「ここから私の家までは歩いて30分かかるのよ」というおばあちゃん。診療を終えて、杖をつきながら一歩一歩ゆっくり家へと歩き始めました。MRSでも「病気はかかる前に防ぐのが何よりも大切」と、健康教育などの予防医療に力を入れていますが、この村の人たちも、病気を防いで健康に長生きしてほしいものです。


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