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ガザに入れない

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2008年11月23日 更新

ガザ入りを予定していた11月16日、朝8時、国連治安局へ電話をかける。本来ならガザとイスラエルの境界上の唯一人が通れるエレツ検問所が開くのがこの時間。「今日も閉鎖している。特別に緊急な場合を除いて」、という返事が返ってくる。「特別に緊急な場合とは、どういうことか?」と質問してみる。「それはイスラエル軍の判断になるので、こちらではなんとも言えない」という答え。「明日は開く可能性があると思うか?」と聞くと、「私達に予測は出来ないが、難しいだろう」という答えが返ってきた。翌17日も同じやり取りを繰り返し、同じ答えが戻ってきた。今回のガザ入りのコーディネーションが取れているのはこの二日間のみなので、次回入るためには、イスラエル軍とのコーディネーションを一からやり直すことになる。しかし、検問所は未だに閉鎖されたままです。今のところいつ閉鎖が解かれるのか見通しがつきません。

11月4日、ハマスとの停戦合意を破る形で、イスラエル軍がガザ南部に侵攻しました。イスラエルとガザの境界に掘られつつあるトンネルを破壊することが目的だと報道されました。ガザの武力勢力がイスラエルへロケット弾を発射し対抗した。その後、双方の暴力の応酬が断続的に続いています。

そして、ガザへの支援物資の搬入も停止しました。国連UNRWAは11月13日に、ガザの8割の人々が頼る支援物資の配給も底を着くと宣言しました。底をつくのは食料だけではありません。燃料の供給停止は、ガザ全土に電力不足をもたらし、家庭への電力、水、ガスの供給も断続的になっています。医薬品の不足も深刻な問題です。その後、一時的にイスラエル当局は燃料と食料支援物資の供給を許可しましたが、ガザ全土に広がる人道的危機に対して、大海の一滴に過ぎない量です。

今回のガザ出張には、現地のパートナーかつ友人に頼まれた蝋燭を持っていく予定でした。パートナー事務所用と友人個人用と。ガザでは頻繁におきる停電のため、店から蝋燭が消えたそうです。友人は電話の向こうで、「携帯のバッテリーがもうない」、と訴えていました。また、友人のお気に入りのインスタント・コーヒーも用意していました。彼女は「私は何よりもこのコーヒーが好きなの。1日1回、このコーヒーを飲むときが、ささやかな幸せを感じられるときなの」と言います。ガザではパンも不足しています。「パン屋は行列よ。何時間も並ばないといけないの」、と友人語る友人の声は苛立ちを隠せません。

また友人は、長女の結婚式を今週末に控えています。長女は大学生。ガザに行くたびに友人宅にお世話になるので、この長女とも一緒に買い物に行ったり、水タバコを吸ったりしてきました。婚約者が家族を連れて友人宅に求婚に来たときも、同席しました。普段よりおしゃれし、彼と家族の前でしあわせそうな笑顔を浮かべながら、いつもより大人しい彼女の様子が忘れられません。先月、友人が特別許可を得てエルサレムに来たときには、友人と娘たちの結婚式用のドレスを一緒に買いに行きました。「ガザには素敵なドレスはないのよ」といい、仕事の合間を縫って、大急ぎでの買い物です。どんなに経済的に苦しくても、娘の結婚式には、出来る限りの「見栄」を張るのが、パレスチナ人。結婚式でそのドレスを着る長女を見るのを、私も心待ちにしていました。そして困難を極めたガザで、新しい生活をスタートしようとしている彼女を励ましたかった。しかし、その晴れの日を一緒に祝うことはどうやら叶わないようです。

国連UNRWA事務局長はガザが「重大かつ差し迫った危機」に直面していると訴えています。国連人権高等弁務官は封鎖を国際人道法と国際人権法に違反すると訴えています。それでも、ガザの閉鎖は続きます。そして、エレツ検問所は、人道支援に係わる国際NGOスタッフに加え報道陣の通行も拒否しているのです。そして、ガザの人たちが過去最悪と言われる人道的困難に直面しているときに、彼らに寄り添うことが出来ないもどかしさが日々募っていくのです。


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