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東エルサレム:避難民

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2008年11月23日 更新

「シャイフ・ジャラで強制退去」というテキストメッセージが携帯電話に入ってきたのは11月9日。シャイフ・ジャラとは東エルサレムの中心部で、学校や大学のキャンパスや各国領事館がある閑静な高級住宅街にあたります。JVCの事務所もこの付近にあります。YWCA前の空き地の先の小さな居住区で強制退去は起きました。その居住区は、今ではユダヤ人が多く住み、ユダヤ人の警備小屋まで出来ているのです。強制退去させられたのは、パレスチナ人一家、アル・クルド家。アル・クルド家は1948年に家を追われた難民で1956年にヨルダン政府によって建てられたこの居住区に住み始めたそうです。1967年に東エルサレムがイスラエルにより「統合」されてから、ユダヤ人入植者がこの居住区の土地の権利を主張し始めました。イスラエルの裁判所は入植者の提出した土地権利書は偽装文書と判断したものの、アル・クルド家を正当な土地所有者と認めていません。現在この辺りの住居は、26階建ての集合住宅建築が予定されており、実現すれば約500人のパレスチナ人が家を追われることになると言われています。

強制退去させられたアル・クルド家は、かつての家のすぐ前の空き地にテントを張って生活をしています。その空き地はパレスチナ人の所有とされています。そのテントの前を通りかかったのは、17日。そこでは家族が10名ほどの外国人に話しをしているところだった。一緒に話しを聞く時間はなく、その日は通り過ぎただけでした。その2日後、「シャイフ・ジャラのテント破壊」のテキストメッセージが入ってきました。どうやら、このテントが「連帯テント」と呼ばれ、外国人(政府関係者なども含む)やジャーナリストが集まっていることが、当局の反感を買ったようです。しかし、その日の午後には、再度テントが張られました。ところが、その2日後、「シャイフ・ジャラのテント再度破壊」のテキストメッセージが入ってきました。遅まきながら、今回はエルサレム州知事や、パレスチナ大統領事務所からも非難の声があがりました。しかし、今日流れてきたメールは更にショッキングなものでした。昨晩、アル・クルド家の長、アブ・カメルが心臓発作で亡くなり、今日は葬儀があるとのことです。テントの脇には、プレハブのような簡易建造物が出来ていました。ここで通夜をするようです。アブ・カメルはアル・アクサ・モスクで永眠につきました。

私が受け取っているこのテキストメッセージは国連機関、国際NGOや現地NGOで構成される、避難民ワーキンググループからです。この避難民ワーキンググループでは、特に東エルサレムで急増する家屋破壊などにより、住居を失う避難民達に、迅速な人道的対応をすると同時に今後発生が予想される避難民への人道的対応を事前に協議するために作られました。JVCはワーキンググループのメンバーとして、緊急事態において、共同で学校保健プロジェクトを実施している医師達に駆けつけてもらうことで協力しています。

現在、東エルサレムにはシャイフ・ジャラのように、避難の危機にさらされている地区がいくつもあります。旧市街のすぐ南に位置するシルワンもその一つで、80以上の家屋に破壊命令が出されています。11月5日にはブルドーザーにより3件の家屋が破壊され、16日には破壊に反対した住民が連行されています。そのほとんどは13歳未満だそうです。エルサレム市はこの一帯を考古学公園にする計画していると言われています。

加速度的に増え続ける東エルサレムでの家屋破壊や強制退去。あらゆる団体の非難も空しく、毎日のように届く携帯電話へのメッセージ。その着信音は、家屋が今にも破壊されようとしている家族の悲鳴のように聞こえるのです。


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