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お念珠づくりの3人の女性たち

2008年5月26日 更新

現在、お念珠づくりには、ベツレヘム、ベイト・ジブリン難民キャンプに住む3人の女性がかかわっています。今日はその3人の女性を紹介します。

ナワールさん(37歳)は、5人の子どものお母さんです。一番小さいモハンマド君は3歳。以前は私立学校で先生をしていましたが、子どもたちを育てるために、また忙しいご主人を支えるために仕事を辞めました。ご主人は以前、イスラエルで日雇いの建設業に携わっていましたが、第二次インティファーダ以降はイスラエルに働きに行く許可がとれず、それ以来失業中です。今は日雇いの仕事を探している日々ですが、なかなか仕事は見つかりません。

「教師の仕事は好きだし、夫も仕事が見つからないから、また教師の仕事に戻りたいと思っているわ。仕事が見つかるかはわからないけれど、今はしっかり子どもを育てたいの。お念珠づくりは子どもたちの面倒を見ながらできるからとてもいいわ」

ナワールさんの横にはいつもタイマちゃんとモハンマド君ナワールさんの横にはいつもタイマちゃんとモハンマド君

ナワールさんの横には、モハンマド君とタイマちゃん(4歳)がいつも一緒で、ナワールさんはタイマちゃんに英単語を教えながらお念珠を作っています。モハンマド君が紐をお母さんに渡すなどの小さなお手伝いをすると、お母さんは「はい、シェケルよ」とハーフ・シェケル硬貨をお駄賃に渡します。子どもたちが「シェーケル、シェーケル!」とリクエストするのは、実は1シェケル(30円)硬貨ではなく、ハーフ・シェケル(15円)硬貨のこと。半分でも、実は一番大きなサイズの硬貨なのです。そしてこの大きな硬貨があればお店でチョコレートやガムが買えるので、子どもたちにとっては『無敵の“シェーケル”』なのでしょう。

一度、私もお手伝いをしてもらったので1シェケル硬貨を渡したのですが、「これは“シェーケル”じゃない」と怒られてしまいました。いつも子どもたちの笑いが溢れていて、ナワールさんはとても楽しそうに仕事をしているのです。

ドゥアちゃんは21歳。大学生ですが、今年の秋に結婚します。「学費を自分で払いたいから」とお念珠づくりを始めました。お母さんは家でマフトゥール(クスクス)を作って売っており、これが家族の唯一の収入でした。お父さんには仕事がありません。お母さんの横に並んで座って一緒にマフトゥールを作ることもあります。マフトゥールの粒が均等に揃うようになるには相当の経験が必要ですが、ドゥアちゃんの作るマフトゥールはお母さんのお墨付きです。「お念珠も全てをきっちり同じサイズに作るのは、その器用さからかなあ」と言うと、「お母さんのマフトゥール作りの特訓、そしてお母さんに教えたおばあちゃんのおかげ。とっても厳しいのよ!」と笑いました。「結婚したら私は家を出てしまうから、せめて学費は自分で払いたいと思っていたの。もちろん、ちゃんと勉強を続けて卒業するわ」と言う目は、凛としていてとてもきれいです。

もう1人のドゥアちゃんも大学生。16人の兄弟という大家族です。海外で働いたり勉強している兄弟もいれば、まだ中学生の妹もいます。お母さんは刺繍グループのメンバーです。お父さんはやはり失業中で体も強くなく、最近足の手術を受けたばかりです。家族の生活を支えるのは主にこの女性たちの収入です。このお家にお邪魔すると、大家族に加えて親戚がやってきたり、子どもの友達がやってきたりと、常に賑やかでついつい私も長居してしまいがち。

ナワールさん(右)から結び方を教わるドゥアちゃんは16人兄弟ナワールさん(右)から結び方を教わるドゥアちゃんは16人兄弟

大勢でソファにぎゅうぎゅう詰めになってお茶を飲みながらおしゃべりしている横で、今年高校卒業試験を受ける弟が試験勉強をしています。その彼に今度は、中学生の妹が宿題のわからないところを聞きに来たり、わからないとその場にいる全員で問題をまわしたり、という光景が、私にはとてもほのぼのとした家族の絵に見えるのです。

ドゥアちゃんも、その中でお念珠づくりをしているのですが、おしゃべりに花を咲かせる一方で手はサクサクと動いていて、それはお母さんがおしゃべりをしながらも刺繍の手はずっと動いている光景を見ているようです。家族が大きいと経済的に困難になるというよりも、家族が大きければ皆で助け合える、というメリットを感じさせてくれる家族です。

3人の女性たちは皆、それぞれの家庭が経済的に厳しいからという理由でお念珠づくりを始めました。もちろん、厳しいのは彼女たちの家庭だけではありません。食料、日用品と多くのものが値上がりを続ける一方、働き盛りの男性ですら日雇いの仕事でさえ職を見つけるのは困難な状態は変わっていません。それでも家族で支えあっていくという強さは、パレスチナでは健在なのです。彼女たちの頑張りは、それを私に教えてくれます。


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