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デール・ヤシン村の追悼

2008年4月10日 更新

パレスチナは今年の5月、「ナクバ」(「Catastrophe=大惨事」を意味する)から60年を迎えます。イスラエルが建国宣言をしたのは1948年5月15日。その前後に400以上の村、10の都市に住んでいた多くのパレスチナ人が殺害され、またほとんどのパレスチナ人が住んでいた土地を追われて70万人以上が難民となりました。現在、国連難民救済事業機関(UNRWA)に登録されているパレスチナ難民は、ヨルダンやレバノンなどパレスチナ自治区外に住む人も含め450万人以上となっています。

4月10日、エルサレムの西に位置するデール・ヤシン村へ、イスラエルのNGO「Zochrot」のツアーで行ってきました。この日は50人以上の参加者に加え、多くのメディアが集まりました。

750人ほどが住んでいた小さな村、デール・ヤシン村がユダヤ人武装組織の襲撃を受けたのは、1948年4月9日の早朝(夜中)。100人以上の人々が殺害され、生き残った人々のうち二十数名がエルサレムでイスラエルの「勝利の証」として行進をさせられた後、殺害されました。この村の虐殺の話が広まり、多くのパレスチナ人が攻撃を逃れるために自らの村から逃げ出さざるを得なかったと言われていますが、一方、この虐殺の話はパレスチナ人が“自ら”村を去っていくよう恐怖を煽るためにイスラエルが流した噂である、とも言われています。しかしこの日のツアーには、この虐殺を生き残った男性とその家族、親戚が同行し、当時の様子を聞くことができました。

学校だった建物学校だった建物

デール・ヤシンがあった場所は現在はイスラエルの町となり、ビルや民家、宗教学校も立ち並んでいますが、当時の民家や学校も残っています。所々で立ち止まり、「あの辺りにオリーブ林があったんだ」と今は見えない風景を指差します。しかし多くの民家が今も残っているという場所は、今はイスラエルの精神病院になっていてフェンスで囲まれており、入ることはできませんでした。

「あの辺りに…」と村の様子を語る女性「あの辺りに…」と村の様子を語る女性

当時2歳だった、という女性も同行しました。2歳でありながら村に住んでいたとき、そして追われたその日の記憶が残っているといいます。特に「匂い」の記憶が強いようです。春先の青々とした緑の匂い、土の匂い。そしてあの日、突然漂ってきた何かの焦げたような匂い。彼女は何度もこの村を訪れているそうですが、「そう、この匂いだわ」と涙ぐみながら周辺の草花の匂いをかいでいました。

虐殺された人々の名前を見つめる男性虐殺された人々の名前を見つめる男性

虐殺された人々の名前が書かれたプレートを掲示しながら、その男性は言いました。「近所に住んでいた親友の名前はこの中にはないけれども、彼とはあの日以来一度も会っていないんだ」。生き残ったデール・ヤシンの人々は、エルサレム周辺、西岸、ヨルダンなどへと、散り散りになったのです。

この日同行した家族は、デール・ヤシンを追われた後、現在の東エルサレムのシュアファットという地域に住みました。しかし数年前、彼らの家はエルサレム市により「無許可での建設」と取り壊され、今はその近くのベイト・ハニーナという地域に住んでいます。ある女性は、「また自分たちの家を追われたのよ。私たちはずっと、自分たちの家に戻ることも新しい家に住むこともできないっていうの?」と怒りと悲しさの混じった声で言いました。

Zochrotのツアーは基本的にはアラビア語とヘブライ語で行われます。この日のツアーで通訳をしてくれた若いユダヤ人の男性がいました。彼はイスラエルのいくつかのNGOでウェブサイトの情報更新や翻訳などのボランティアをしています。なぜこのツアーにボランティアとして参加しているかと聞くと、「自分たちの歴史を知るため、そして外国人の人たちにも知ってもらうためだよ」と言いました。「Zochrot」とはヘブライ語で「Remembering」を意味します。「過去を認識することが、結果に対して責任をもつことの第一歩になる」と、イスラエル人にナクバの認識を広めることを目的に活動をしています。しかし、「歴史を共有できないまま今年で60年が経ってしまった」とこの男性は言いました。パレスチナの人たちにとっても、イスラエルの人たちにとっても、「ナクバ」は終わっていないのだと感じた日でした。


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