2007年12月の記事一覧

今年もイエス・キリストが生まれたとされるベツレヘムにクリスマスがやってきました。昼頃からは、ベツレヘムの子供達、イスラム教徒もキリスト教徒も一緒に、生誕教会への道をパレードしながら、ローマ・カトリック教会のエルサレム総大司教ミハエル・サバハ氏を迎えます。総大司教がベツレヘムに入ったのは、午後2時ごろ。そこからは、ベツレヘムの警察による護衛がつきます。昔ながらに馬に乗った騎馬警官が三人が先頭に立ち、バイクやパトカーの護衛が続きます。その周りを難民キャンプの子供達が見守ります。
「夫と一緒に、ウサギをカゴに入れて市場に売りにいくの。ウサギを売ったそのお金で、子どもたちが学校に必要なものや他の食料品を手に帰ってくるのよ」―ガザ南部、ラファに住むサバーさんは、誇らしげに言いました。この日は、ガザでローカルNGOの収入創出プログラムに参加する女性たちを訪問してきました。

ガザの地中海に面したマワシ・ラファ地区にある幼稚園を訪問しました。今年からJVCの栄養改善プログラムに加わった幼稚園です。今回の訪問は、この幼稚園の庭に野菜畑を作ることが目的です。農家から苗を買って、幼稚園に持っていきました。苗の種類は、キャベツとねぎ。園児に苗を植えたい人、と訪ねると、「私!私!」と元気な声が戻ってきました。みんな野菜畑作りにワクワクしています。現地のボランティアにも手伝ってもらって、園庭の奥に園児1人1人に苗を植えてもらいました。野菜を育てることで子供達に生命の大切さを知ってほしいのと、家に持って帰って、充分なビタミン補給にもしてほしい、と思っています。

JVCが今年の9月から栄養強化の支援をしている幼稚園にウム・エル・ナセル村の幼稚園があります。子供達は褐色の肌を持ちクリクリした目がとても愛らしいのです。私が訪問すると、皆が挨拶してくれて、歓迎の歌を歌ってくれました。今日はバナナ味の牛乳パックを配りました。一人も残さず一気に飲んでくれました。牛乳の好きな人は、との問いに、「ハーイ」と元気な声が返ってきた。ビスケットの好きな人は、との問いにも、「ハーイ」と元気な答えが返ってきた。子供達は毎日の牛乳とビスケットが大好きのようです。
ガザではスーパーから商品が消えつつあります。かつて棚に並んでいたヨーロッパ産のチョコレートや、コカコーラは消えていました。もっとも早く店頭から消えたのはタバコです。また、トイレットペーパーやティッシュペーパーも種類が減っています。シリアルの種類もかつてはありとあらゆる種類があったのが今では「コーンフレーク」しかなくなっています。訪れたスーパーの店主の話では、600品目が入ってこなくなったとのこと。また、輸入製品は、イスラエルからの通過許可を待つために、港での倉庫代や輸送費が嵩み、価格も値上がりしているとのこと。
ガザ市の街中の商店は今では半分ほどがシャッターを閉めています。イスラエルからの輸入に頼っていた商品が入って来なくなり、また原材料も入りにくくなっているからです。今回はその中で、お店を開けて頑張っている商店を訪問しました。
12月初めに訪れたガザは燃料供給制限が開始した後で、ガザの燃料組合はその抗議のためにガソリンスタンドを閉鎖していました。ガザの交通手段乗り合いタクシーが町から消えて、ガザの人々は通勤、通学、通院の足を奪われたのです。乗り合いタクシーならガザ市内は2シェケル(約60円)なのに、タクシーを呼ぶと10シェケル(約300円)かかります。ほとんどが支援物資で生活するガザの人にはとても払えない金額です。
パレスチナでは、アナポリス会議の批判をよく耳にします。「自分達をこんなに苦しめているイスラエルに自分達の権利を売渡すのか」とか、「アッバス大統領には自分達を代表する権利はない」とか。特にガザではその傾向が強く、「イスラエル軍がガザを空爆しているのに何故オルメルト大統領とキスが出来るのか」とか、「ガザ制裁に加担して自分達を苦しめるなんて大統領にあるまじき行為だ」という批判、そして「どうせまた口約束だけで、何も変わらないよ」と言うあきらめの声をよく聞きます。実際、会議開催前日には、西岸とガザで和平会議に反対する大きなデモが繰り広げられました。