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犠牲祭とサダム・フセイン

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2006年12月31日 更新

今年の犠牲祭(イード・アル・アドハー)は12月30日に始まりました。4日間の祝日です。
 メッカ巡礼の最終日に合わせて行われる犠牲祭はラマダン明けのお祭りイード・アル・フィトルと並んだ、パレスチナの2大行事です。
 パレスチナの人々はこれらの行事に合わせて、年に2回、家族・親族が集まります。日本でのお盆とお正月休みの感じです。難民キャンプでは、家族・親族が近くに沢山いるので、朝から夜中までお互いの家を訪問しあいます。娘が遠くに嫁いだ家では、お父さんやお兄さんが嫁ぎ先に挨拶にいったりもします。母親は子ども達のために新しい服を用意します。そして、子ども達は、大人から「お年玉」をもらい、おもちゃやお菓子を買いにいきます。

今年の犠牲祭も、子ども達は元気です。エルサレムでは、最初の2日間は、ほとんどのお店が閉まっています。そこに、子供用のおもちゃとお菓子を並べた、屋台が立ちます。街は新しい服でおめかしした子ども達で溢れます。子供たちはお年玉を握りしめて、街を物色します。人気なのは、くじ引き。引いたくじと同じ数字の書いたおもちゃの袋をもらうもので、誰かがくじを引くたびに歓声が上がります。

でも、パレスチナの大人にとって、今年の犠牲祭は、暗く悲しいものになりました。
 ムスリムにとって神に捧げる犠牲以外の殺生を禁じられている神聖なこの犠牲祭の初日に、サダム・フセインの処刑のニュースが飛び込んで来たからです。しかも、携帯電話で録画された処刑シーンも流れてきました。
 パレスチナの人々にとって、サダム・フセインは、アラブ諸国が次々と米国よりに傾き、パレスチナが見放されていく中、最後までパレスチナの大儀を守ろうとしてくれた英雄と見なされています。
 実際サダムはイラクに住むパレスチナ人を手厚く保護し、パレスチナ人の留学生も数多く受け入れてきました。

サダムは彼を暗殺しようとしたグループへの報復として約140人を殺害した罪で、死刑宣告を受け処刑されました。暗殺未遂の報復として140人殺すことくらい、他のアラブ諸国でもしている。何故、サダムだけが処刑されないといけないのか、という声を聞きました。また、米国が作ったイラクの法廷にはサダムを裁く権威はない、という声も聞きました。
 そして、ビデオを見て、処刑が公正なものでないと、確信したようです。パレスチナの各都市で、抗議のデモがありましたが、参加者は多くなかったようです。怒りよりも悲しみの方が大きかったと感じます。
 私の友人は、処刑のニュースがあまりにショックで、親族の家に訪問することも出来ず、テレビの前でニュースを見ながらただただ一日泣いていたと言います。友人は特別なケースだとしても、パレスチナ人の多くはアラファトという絶大な指導者を失い、サダムというもう一人の指導者を永久に失ったことと、内政の混乱や、イスラエルによる入植地と「壁」の建設によりパレスチナ主権独立国家の実現が遠のいていく現実とを重ね、将来への不安、見放されていく不安を感じ途方に暮れたんだと思います。


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