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ある少女の話

パレスチナ現地調整員 藤屋 リカ
2006年7月 1日 更新

ガザの状況ですが、一向に解決の兆しは見えません。
イスラエル兵を拉致したパレスチナ側の武装抵抗組織は、イスラエル側の刑務所に収監されている女性と18歳未満の子どもの解放を求めましたが、イスラエルは応じません。拉致されたイスラエル兵の家族や友人のコメント等は、国際メディアからも流れてきます。

約2年前、ベツレヘムの難民キャンプの17歳の少女がイスラエル軍に拘束されました。明け方、兵士が彼女の家に突然来て、「2−3日分の荷物をまとめるよう」に言われ、理由を告げられることなく、彼女はそのまま軍のジープで連れて行かれました。

誰も全く予想していませんでした。父親は以前イスラエルに出稼ぎに行っていましたがインティファーダ以降は失業状態。UNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)の雇用創出としての短期プログラムの道路補修や清掃の仕事が時々ある程度でした。母親は裁縫で家計を助けていました。つつましく生きてきた家族です。両親は非常に驚きました。母親は泣き続けるばかりでした。母親は刺繍グループの縫製担当で、私たちは、とにかく気晴らしになるから仕事に戻りましょう、と彼女に仕事を届け励ましました。少女が拘束されて2日後、やっと彼女はミシンの前に向い、父親も普通の生活に戻るためにと病院に健康保険の更新手続に出かけました。

病院で手続を待っているとき、突然父親は倒れました。医者が駆けつけたときには全く意識がありませんでした。心労がたたったようで脳出血でした。そのまま、集中治療室に運ばれましたが、意識を回復することなく2日後に亡くなりました。まだ、50歳代でした。
父親の死は娘には知らされませんでした。その時点では知らせるすべさえありませんでした。しばらくして、家族が収監されている刑務所に行って彼女に会えるようになってから知らされたようです。

少女は、「自爆攻撃志願者」としてセキュリティ上の理由から捕らえられたとのことです。3年半の刑期と罰金が言い渡されていると聞きました。彼女の親しい友達と「自爆攻撃」を話していたことはあるようです(これは「共謀罪」に当たるのでしょう)。友人が最初に捕まり、その後芋づる式に別の友人と共に捕まりました。

難民キャンプのある女性は「多感な時期の女の子は色んなことを話すものよ」とだけ言いました。同年代の子どもを持つ母親は「どんな誤解を招くかわからないから、友達と話すことには注意するよう、いつも言い聞かせている」とのことです。少女の本当の気持ちがどうだったのかは、彼女に聞いていないのでわかりません。

少女は19歳になり、先日、刑務所の中で1年遅れの高校卒業試験を受けました。
母親は、今回のイスラエル兵の拉致事件のことをあまり語りません。夫の死後、自らの収入で子どもたちを育てています。働いている息子2人はパレスチナ自治政府の職員で3月以降給料はほとんど支払われておらず彼らの生活も支えています。結婚している息子には定職がなくその家族5人も彼女の収入が頼りです。とにかく今は、日々、自分の裁縫の技術で家族を食べさせるのに必死です。

あまり注目されない、捕らえられている約300人のパレスチナ人の女性の内の一人の話です。一人ひとりにこのようなストーリーがあるのでしょう。(7月1日)


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