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エリコ研修旅行・もう一つの「パラダイス・ナウ」

パレスチナ事業担当/看護師 藤屋リカ
2006年4月20日 更新

 今年のアカデミー賞では、パレスチナ映画「パラダイス・ナウ」が候補にあがり、議論を呼びました。自爆攻撃志願の若者の心理を鋭く描いた映画でした。私もイスラエルの映画館で見ましたが、一般市民を巻き込む自爆攻撃は決して許されるものではありませんが、この映画は自爆攻撃に走った一人ひとりにはその人なりのライフヒストリーがあり希望のない追い込まれた状況が何をもたらすかを考えさせられるものでした。パレスチナ社会の内部問題も取り上げていました。

映画については、下記のサイトに概要が詳しく出ています。
イスラエルの平和団体の代表 ウリ・アブネリによる評論 (ナブルス通信より)
『パラダイス・ナウ』と『ミュンヘン』映画に見る
イスラエル−パレスチナ Shall We Not Revenge? ウリ・アブネリ/Uri Avnery
http://www.onweb.to/palestine/siryo/pradise-munich06feb.html

レバノンの新聞の評論(東京外国語大学アラビア語メディア記事より)
映画『パラダイス・ナウ』 自爆攻撃者の生を描く(アル・ナハール紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2005108_1036.html

この映画の主人公のナブルしに住むパレスチナ青年の父親は、イスラエルの内通者だったため処刑され、青年はそれを背負って生きてきました。占領下のパレスチナ社会において、「内通者」の存在は、誰もが知る暗い事実なのです。

2000年の第2次インティファーダが始まって、しばらくしたとき、ベツレヘムのベイト・ジブリン難民キャンプの男性が、イスラエル兵を殺害、彼もその場で射殺されました。彼は死後「殉教者」と呼ばれましたが、彼の死は人々にとって複雑なものでした。パレスチナ人の彼が、イスラエルへの「内通者」だったからです。
「彼は自分が内通者として人々を裏切ってきた罪を償うためにあのような死を選んだ」「彼のしてきたことは許されるべきことではない」「彼に残された道はなかった」等様々な声がパレスチナ人の間からは聞かれました。ある女性は、「私たちの社会は複雑だから」とため息をつきました。彼の家は2003年にイスラエル軍によって爆破されました。

彼には3人の子どもがいました。2人は女の子で、母親は積極的にベイト・ジブリン難民キャンプのハンダラセンターでの活動(関連記事No.127,No.128,No.129,No.130)に参加させています。センター主催のほとんどの活動に参加、一人はダンスグループの主要メンバーです。センターは、全てのキャンプの子どもたちを対象にしていますので、家族の背景によって子どもを受け入れないようなことはありません。

エリコでの研修旅行(関連記事No.151,No.152,No.153,No.154)では、刺繍グループの女性とその家族の女性と子どもを対象にしていましたが、研修旅行の話を聞いて多くの女の子たちが一緒に連れて行って欲しいと頼みに来ました。
旅行は定員オーバーだったのですが、センターにいつも来ている女の子は特別に受け入れました。いつもセンターに来ている2人の娘は、母親は刺繍グループのメンバーではなかったのですが、特別に参加できることになりました。彼女たちが、父親の死以降、ベツレヘムから殆ど出ることができず、様々な制限と困難の中で過ごしてきたことを、研修旅行を企画した女性刺繍グループのリーダーは知っていました。

2人は喜んで参加、とても楽しそうでした。団体割引があったので、遊園地にも出かけました。このような遊具を見ることさえ初めてのようで、みんなと一緒に大騒ぎでした。彼女たちにとっての、本当にわずかな時間かしれませんが、「パラダイス」のような時間であって欲しいと願わずにはいられませんでした。

この2人の女の子たちが地域の中で、伸び伸びと育って欲しいという願いをこめて母親はセンターの活動に参加させているようです。複雑社会状況の中、子どもたちは自分では選べないような困難を背負ってしまうこともあります。そのような状況に絶望、潰されてしまうことなく、生き生きとできる時間を見つけ、将来の希望へとつながって欲しいものです。


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