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オリーブ摘み

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2003年10月28日 更新

パレスチナでは今秋初めての雨が降り、オリーブの収穫シーズンがやってきました。パレスチナのオリーブオイルはかつては地中海一の品質と言われたそうです。しかし、今では多くのオリーブ畑が没収され、根こそぎにされてしまいました。残っているオリーブ畑も収穫中に入植者に攻撃されるなど収穫が出来ず、腐って落ちるのを見守るしかないことも少なくありません。さらには「防護壁(アパルトヘイト・ウォール)」によって、オリーブ畑と家が分断され、自分のオリーブ畑に入れない村が続出しています。

どこまでも続くオリーブ畑どこまでも続くオリーブ畑

このようにオリーブの収穫が困難な村に出向き、収穫の手助けをする活動をいくつかのイスラエルの団体が行っています。10月25日に行われた活動はGush Shalomなど5つのイスラエルの平和団体の合同企画で、今シーズン最大規模のものでした。エルサレム、テルアビブなど各地から300人ほどのイスラエル市民がバスに乗って集まりました。訪れたオリーブ畑はトゥルカレムの南に位置するジュバラ村とアル・ラス村の畑で、『壁』とグリーンラインの間にはさまれた「Seam Zone」(継ぎ目地帯)と呼ばれる地域にあります。このあたりは昔から水資源が豊富で豊かな土地で、一面にオリーブ畑が広がります。このオリーブ畑の先の丘には入植地があります。この入植地と水資源のために『壁』がグリーンラインよりはるか東(パレスチナ側)に建設されているのです。そして入植者による妨害でオリーブの収穫もままなりません。

ジュバラ村では村も畑もSeam Zone内にあり、アル・ラス村では村は『壁』の東側にあって畑だけがSeam Zoneに取り残されています。ジュバラ村の人たちはパレスチナの村や町から切り離され、学校も病院も全て『壁』の向こう側です。生徒たちはまだ通りやすいようですが、先生達が通してもらえないケースが多く、学校に到着する先生の数がどんどん減っているそうです。ジュバラ村の人たちはイスラエル軍が発行する「居住許可証」がないと「不法居住者」扱いになります。もちろんイスラエルの市民権は与えられません。一ヶ月のみの有効期限なので毎月更新が必要です。いつ発行拒否にあって土地を追い出されるかわからない、不安な日々を人々は過ごしています。

アル・ラス村の人たちは、Seam Zoneにある畑に行くのに『壁』を越えなければなりません。『壁』のゲートを通るにはイスラエル軍の発行する許可証が必要ですが、村の住人の半分しかこの許可証を発行されていないとのことです。ゲートも毎日開くわけではありません。たまたま開いたときに、できる限り収穫しなければなりません。

オリーブの木囲む老若男女オリーブの木囲む老若男女

村に着いた私たちは約20人ずつのチームに分かれて収穫します。私たちのチームには20代の若者から74才のおばあちゃんまでいます。韓国人、アメリカ人、スペイン人などの学生ボランティアも参加していました。この混合チームが地元の農民の指示に従って、1本ずつオリーブの木を摘み取りながら移動して行きます。一日(実働4時間ほど)かかって収穫出来たのは10本ほどで、大きな麻袋一つ分ほどのオリーブしか収穫できませんでした。でも幸い、300人という数に圧倒されたのか、その日は入植者や兵士との衝突もなく無事オリーブ摘みは終わりました。

あるイスラエル人女性は、このような活動に参加することを家族からあまり歓迎されてないと語ります。「右派」支持の男性と結婚したお姉さんは、妹の左寄りの活動にとまどいを隠さないようです。お姉さんの言葉ではこのようなオリーブ摘みのことを「政治的オリーブ摘み」と呼ぶそうです。イスラエルでは家族の中でも、国の政策について意見の相違があることが珍しくないようです。まだまだ少数派の平和活動家達は、まわりの冷たい目にさらされながらも、政府の政策を憂い、一日でも早く和平が訪れることを望んでいるようです。

※グリーンライン=1967年6月までの停戦ライン


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