森林保全と持続的な農業の推進
活動地であるサワナケート県について
政府の脱最貧国政策に呼応して、ラオスには急激な開発の波が襲っています。サワナケート県も例に漏れず、鉱山開発、工業団地開発、産業植林を中心とした開発が、急速に進んでいます。むしろ、道路整備により交通の要所となったサワナケート県は、ラオス国内で最もその環境を急速に変化させつるある地域ともいえます。
しかしながら、この開発は、これまで自然からの恵みに頼ってきた人々の生活を脅かすことに繋がっています。本来であれば、開発によって不利益を被る人々を補償するシステムが、開発を入れる際には必須なのですが、ラオスではそのシステム策定が追いついていなく、現在のところじゅうぶんに機能していない状況です。そのため、自然資源が豊富な森林の開発権が、住民の知らない間に、村の顔役や一部の役人によって、産業植林を行う会社などに貸与されてしまうケースも見られるようになっています。その結果として、伝統的に食料や生活物資を森林に頼ってきた人々の中には、生まれ育った地での生活が難しくなった人々が現れてきました。
共有林登録による森林保全
伝統的に使用してきた森林を地域の人々が将来にわたっても使用できるようにするため、ラオス政府が2010年5月に発表した新しい土地区分政策「参加型土地利用計画(PLUP)」に基づき、森林を「村の共有林」として正式に登録できる環境作りを支援しています。その前提として、県や郡の行政官や地域の住民が、この新しい政策を正確に理解し、自然資源を適切に利用する知識を得る必要があります。したがって、JVCでは法律研修や自然資源管理の研修の提供、森林ボランティアの育成などの活動を行っています。
最近の活動
2009年度報告
(1)住民参加による調査
対象地の住民が直接参加して行う調査を15村で実施しました。この調査の結果、企業の進出や、村の境界線の曖昧さが原因で起こる問題を抱える村が複数あることが明らかになりました。
(2)法律と自然資源管理の研修
難解な法律や自然資源管理方法を住民が理解するのを手助けするために、これらを図解したカレンダーを作成し、研修を通じて配布しました。また住民が楽しみながら学べるように、このテーマでの人形劇を上演しました。
(3)魚保護エリアの設置
自然資源管理の活動として、制度作りに続いて魚保護エリアを設置しました。
(4)その他
行政官に向けて、住民の生の声に耳を傾けられる機会を提供しました。
2010年度計画
2009年の調査をもとに、新しい法律を適用した「村の共有林」登録を探っていきます。また、さらなる魚保護エリアの設置や学校での環境教育を通じた自然資源管理の活動や、森林ボランティアを中心とした人材育成にも力を入れます。
持続的農業による生活改善
伝統的に使用してきた土地が失われるということは、つまり住民の稲作と採取に頼ったこれまでの生活が維持できないことを意味し、実際に現在食料不足に陥っている村が少なくありません。そこで、住民が米や野菜などの食料を確実に得られるよう、JVCでは農業面の支援を行っています。米の栽培方法や肥料の作り方の改善方法をテーマとし研修を中心に提供すると同時に、養魚や家畜飼育による複合農業の紹介、米が不作の際のセーフティネットに位置づけられる米銀行の設置、さらに井戸の補修や採掘による水支援を併せて行っています。
最近の活動
2009年度報告
(1)稲作改善
幼苗1本植え(SRI)という技術を伝えるためのビデオ上映会、すでに実践している村への訪問、稲作技術と堆肥作りの研修を提供しました。
(2)養魚や家畜飼育による複合農業
稚魚の育成方法を学ぶ機会を設けた上、家畜へのワクチン接種に向けて草の根獣医を育成しました。
(3)米銀行設置
米を地域内で貯蓄・管理し、米不足に陥った村人が低利で借りられる仕組みである「米銀行」の支援を実施するため、調査や準備を進めました。
(4)井戸の補修と掘削
乾季の水不足に対応するため、村人と共同で深井戸の補修と掘削を実施しました。
2010年度計画
2009年度の活動を進化、拡大するすると同時に、家庭菜園や果樹栽培、家畜銀行等の活動にも着手する予定です。また、住民自らが持続的に米銀行や井戸を活用できるように、そのシステム作りとフォローアップにも積極的に取り組みます。
こんな人が活動に参加しています
ヌアンさん(ナーケー村:井戸修理ボランティア)
研修で井戸の修理技術を学ぶことができました。井戸が壊れて池の水を飲むなどと困っていたのですが、JVCが井戸の掘削と修理を支援してくれて、清潔な水が飲めるようになり、村人は喜んでいます。今後とも井戸を使っていけるように、柵を作ったり、基金を存続させたりと、管理していきます。水がすぐ汲めるので、家庭菜園もやってみたいです。

ラーさん(ナーケー村)
JVCの家庭菜園の活動に参加しています。研修で習った堆肥も液肥も実際に作りました。すでに実践している人たちとの経験交流の機会を得て非常にうれしく思います。一緒に参加した仲間が賛成すれば、自分の村でも今回見た村のような、より共同農場的な家庭菜園を行いたいと考えています。












