2004年7月の記事一覧
よく考えれば、実に当たり前のことに気がついてきたのだが、いろんな団体が小中規模の資金支援してくれた場合、十分な資金を獲得するまでに、各方面に申請書や、活動報告書などを延々と書き続けざるを得ず、その結果、肝心の活動がおろそかになってしまう。逆に巨大な資金支援団体に頼ると、この書類作業が比較的楽になるかもしれないが、結局、最近はこの巨大な資金を支援するのは外務省やJICAの資金が多いので、市民団体としてのNGOの存在基盤が危ぶまれる。本当に難しいジレンマに悩まされています。
まあ自分は評論家ではなくプロジェクト担当者なので、なんとかしてこれを打開する戦略を考えてみます。
そうなんですよね。
どうみたって、ラオスは貧困ではない。少なくとも、普通に暮らしている村人が飢えて死ぬことなど、まずない。村人は困難な状況に陥っても、ある意味ものすごい生存戦略を展開する力をもっている。そんなこと分かっていながら、ラオスを最貧困国にしたがる援助業界。かわいそうで悲劇的だというフィクションがなければ、援助業界は必要なくなるから、必死で「貧困」のラベルを新しく貼り続ける。
村人が貧しくて生活が立ち行かないから支援するわけではなく、実現したい社会のビジョンがあるからNGOは活動する。そのことをNGOを支える方々に理解してもらわないと、地道に活動をしている農村開発型のNGOは衰退の一途をたどるであろう。
今日は来客が多く、団体さんもいれると、約20人ぐらいとお話をする。
夜は2グループに招待され、ディナーを2回食べることになったが、これははっきりいって自分の性格には合ってない。どっちに対しても失礼になるような気もする。
午後は新潟から来た中高大学生などを相手に、JVCのプロジェクトについて紹介。この世代はいつの時代も変わりませんね。というか、少なくとも自分の高校時代よりしっかりしている子達ばっかり。高校生向けの話を、とおもって軽い気持ちで話していたら、ばしばし専門的な質問がきて、途中から本気モード。あなどれん。
これから先の行程の途上で、そのまだ幼い眼に映るラオスの光景は、きっと忘れがたい断片として脳裏に刻まれることになるだろう。その記憶の断片が、これからの人生を左右することはほとんどありえないだろうけど、齢と共に理不尽と怠惰を重ねて茫漠としても、朦朧とした後頭部の片隅に、小さな光輝となって輝き続けるでしょう。
まだまだ未知なる可能性を秘めた10代。でも、もう一度この時代に帰りたいか、と聞かれたら、自分はぜったいいやですね。
田坂氏にカムアンプロジェクトの会計方法についての引き継ぎ。
JVCラオスの会計方法は複雑だと言われており、一見難しそうに見えますが、要は入金と出金の経緯を、証拠付きですべて記録すること、そしてその記録と現金があっていること、というごくごく単純な業務なのです。
ここでの会計をうまくやっていくコツは、キップというラオス通貨に慣れることですかね。ちょっと車を修理して「ハイ、180万キップです」といわれると、最初の内はいささかビビります。1000$分を1000キップ札に換えようものなら、スーパーの大袋にでもいれて持ち歩かなければならないほど巨大な札束となります。でもこれも最初の3ヶ月だけ。お金の束を一目見ただけで、あーこれはいくらぐらいだ、と分かるようになります。
田坂氏を連れて村訪問。土砂降りの洗礼をうけましたが、雨季の村の状況が、すこしづつわかりかけて、おもしろい。それにしても、縦3mぐらいの爆弾の薬莢をつかった家庭菜園がめちゃめちゃ多いですね。こんなの森に入ればたくさんあるよ、と村人はいってますが、この地域の森林踏査は、ある種命がけですね。
ここでは子供達が竹馬遊びをしていた。「これは雨季の遊びなんだ、なんてったって泥だらけの道で、泥をよけてあるけるからだ」っていう多少無理のある説明を聞きながら、ラオスと日本ってなんて似ているんだろうと改めて感心。ほかにもゴム飛び、ケンケンッパ(なんてよぶのか知らない)なども、みたことがあります。
今日はひょんな機会から、カイソン博物館を訪問。
現政権の初代大統領であるカイソン大統領の歴史を中心に、ラオスの現政権側からみた近代史が綴られている博物館です。
ここの展示については、ラオスで使われている木製農機具の展示をみながら、ここで展示しなくても十分村でみることでできるやん、という軽いつっこみをいれたぐらいで、あとは総じて非常によくできています。ラオスを観光するだけでなく、もうすこしつっこんでラオスを知りたい人には、おすすめです。ただし、一般の旅行者にとっては、とってもアクセスの悪いところにありますが。
田坂氏とグレン氏のオリエンテーションを兼ねて、JVCラオスの財務状況や資金獲得戦略についてシェア。説明しながら、やはり資金調達って難しいと改めて感じる。
「資金が追いつかなくて、業務が維持できない」っていうのって、理想論からすれば、なんだかおかしいんじゃないか?ひょっとして順番が逆なんじゃないか?と思い悩むこともあります。あえてプロジェクトが商品としたら、買いたいと思う人が少ないってことですもんね。
今日の夜の飲み会で、名村は援助業務についてポジティブ思考だといわれた。けど、自分はむしろ、ネガティブ思考ながら業務を前に進める忍耐力のある人のほうが大人な気がする。
一時帰国まであと1ヶ月を切り、帰るまでにやるべき業務をリストアップしたら、帰国できそうもないほど並んでしまった。それにもかかわらず、業務に対するちょっと集中力を欠いている。間違いなくスランプ気味。やるべき業務の多さと責任の重さに途方に暮れがち。なんだか突き抜けるような刺激がほしい。