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同時多発爆破事件の日

イラク事業担当 原 文次郎
2012年4月26日 更新

その1:キルク-ク

4月19日にイラク各地で道路脇に置かれた爆弾や車両を使った爆弾による攻撃が20回以上発生し、少なくとも36人が死亡、約150人が負傷した。(バグダード発ロイター通信4月19日より)

この日の攻撃の中には、北部キルクークで起きた警察を狙った攻撃も含まれ、車2台を使った爆弾により、4人が犠牲になり、24人が負傷したとされている。

イラク戦争開戦からちょうど9年目に当たる3月20日にも、イラク全土の30カ所で爆発があり、少なくとも52人が死亡していて、それ以来の全国規模の同時多発攻撃である。

19日の午前中に起きた攻撃の影響が心配されたので、その日の夕方7時過ぎにキルクークとバグダードに電話をして様子を聞いた。

キルク-ク市ラパリーン地区で実施した「子どもたちとつくる地域の平和」ワークショップの様子(2012年2月撮影)キルク-ク市ラパリーン地区で実施した「子どもたちとつくる地域の平和」ワークショップの様子(2012年2月撮影)

キルク-クでのJVCの「こどもたちとつくる地域の平和」ワークショップの現地パートナーであるNGOの"INSAN"代表のアリーさんは、キルク-ク県でいくつかの爆破が起きているとした上で、キルク-ク市内カディシーヤ地区の爆破は、活動地のラパリーン地区のすぐ近くだったと言う。しかし、彼は、 「この程度の爆破事件はしばしばある。ラパリーン地区の活動に影響は無い。」と、まるで日常茶飯事の様に話して動じない。しかし、さらに話を聞いてみると、「きょうの攻撃は2時間余りの時間の間に全国的に同時多発で起きているので、その点は気になる」と言う。

続けて、「今のイラクの国内対立は政治のトップの間で、クルドとアラブの民族、そしてアラブ民族の中でもスンニ派とシーア派のグループが割れている、これが良くない。これに乗じて、アラブ人とクルド人がそれぞれ多く住む地域の境目で緊張が高まっている。」と言う。
犯人は政治的な緊張に乗じたイラク人であって、アル・カーイダのような組織ではないと言う。ちなみにイラク人の間では、アル・カーイダと言えば外国人の武装勢力を指すことが一般的で、イラク人の支持がなければ、勝手に外国人がイラクで暴力事件を起こすことなどはできないと言う者が多い。

私たちが「地域からの平和づくり」を目指した活動を実施している現場の近くで爆破事件が起こったことについて、活動によってもこのような攻撃を止められないのではないかと心配する質問に対しては、「確かに、地域からの平和づくりとひとことで言っても簡単なことではない。キルク-クでの活動では、JVCの活動のように、民族の異なる背景を持つ子どもたちの相互理解のプロジェクトだけではなく、大学を卒業しながら仕事に就く機会に恵まれない者などを対象にした若者グループのネットワーク化や、紛争を煽らない報道を目指す若手ジャーナリスト向けの研修など、様々な活動があり、成果を上げていると信じている。そのような下からの積み上げだけではなく、今回のような事件を防ぐには政治権力を持つ者が率先的に対話を元に対立を解消する融和政策を進めなくてはいけないのはもちろんだが。」と言い、日々の活動に自信をのぞかせた。

「爆破事件は確かにゼロではない。きょう起きた事件がいつまた起きないとは限らない。その意味で、爆破事件は私たちにとっては日常茶飯事と言えるかもしれない。けれども、今の状況を考えると、きょうのことが明日、明後日と連続して起きてそのまま悪化するというシナリオも考えにくい。僕らは明日を信じて生きていくよ。」とその口調は日本の私たちが心配するよりは明るい。

そのように明日を信じて生きてゆける人々がもっと増える事を願って、私たちの活動も続く。

その2:バグダード

同じくイラク全土で同時爆破事件が起きた19日の夜、バグダードはどうだったか。 バグダードのムスタファさん(仮名)は言う。

8年前のバグダード、この時も市内は車で賑わっていたが、その後に治安は悪化した。 (2004年4月17日撮影) 8年前のバグダード、この時も市内は車で賑わっていたが、その後に治安は悪化した。 (2004年4月17日撮影)

「きょうはここのところでは最悪の日になった。でも、このまま悪いままというのも無いんじゃないかな。確かに、ほんの数日前まではもっと良くなる、日本人だってバグダードに来て欲しいと思っていたところがこの有様だから、きょうは良くないけれど、明日もこの様子だとは限らない、神のみぞ知るところだ。」と、動揺している様子は見られない。

「ちょうど今は一番良い季節で、冬の寒さが終わって夏の本格的な暑さが来る前だから、冷暖房に電気を使う必要がない。電気の需給が安定しているので、停電が少なく、電気は必要な時にいつでも使える状態だ。街もさすがに爆破事件があったきょうばかりは物騒なので、出かけ先に行き着く前に引き返して来たが、ふだんなら街は賑わっていて、交通渋滞になるくらいだ。」

ちょうど電話したのは現地の午後8時台でもう日が暮れている時間帯、「今は家の玄関先で外の様子を見ていて携帯電話で話をしているところだ。日が落ちて暗くなる前に、きょうは砂嵐のおかげで暗くなり、視界がきかなくなっていた。英語で話していても危なくないかって?隣近所の付き合いでは大丈夫さ。」などと話しているうちに、大音響の音楽で電話の会話が妨げられた。「結婚式だ。新郎新婦のお祝いに楽隊が来ている。」とのこと。

朝は同時多発爆破事件で死傷者が出たというのに、同じバグダード市内で夕方にはつつがなく結婚式が開かれる。日本の私たちには不思議に思えてしまうが、爆破事件に動じることなく、日々の生活が営まれている。それが今のバグダードの様子らしい。

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